W杯直前に“新ポジション”テスト「勝負できる」 39歳の適応力…長友佑都が描く「僕の仕事」

長友佑都が攻守に存在感を見せた
森保一監督率いる日本代表は5月31日、北中米ワールドカップ(W杯)前最後の強化試合のアイスランド戦で1-0の勝利を収めた。後半開始から途中出場した日本代表DF長友佑都は、39歳261日で国際Aマッチのピッチに。川島永嗣の39歳82日を上回り、日本代表史上歴代2位の年長出場記録を樹立した。
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ピッチに立った45分間が、何よりも雄弁だった。壮行試合となったアイスランド戦。長友は後半から左ウイングバックとして起用された。日本代表ではなかなか見ないポジションでの起用だったが、プレーぶりに戸惑いの色はなかった。「最初のポジション取りで高い位置を取るのは練習に入っていたので、そこは違和感なくやれた」という飄々とした言葉の裏に、ここまでしっかりと準備してきた人間だけが持てる落ち着きがあった。
長友がこの試合に至るまでの道筋は、決して平坦ではなかった。3月14日の試合で右ハムストリングスの肉離れを負い、5月6日のジェフユナイテッド千葉戦で実戦復帰を果たしたものの、代表合流前の2試合は出場機会なし。最終予選は全試合ベンチ外が続いていただけに、本大会でどれだけ戦力になるかは未知数だった。それでも、森保一監督は長友をW杯に挑む日本代表のメンバーに選んだ。ベテランへの義理や配慮ではなく、チームの戦力として必要だと判断したからこその選択。その信頼に、長友はこの45分間で応えようとしていた。
昨年9月のアメリカ戦以来、約9か月ぶりとなった日本代表でのプレーは、上々の内容だった。不用意なバックパスを奪われる場面もあったが、攻撃面では高い位置での仕掛けからクロスを上げるなど積極的な姿勢を崩さず、「いい形でもらえると縦の勝負ができるというのは自分の感覚として持てた」と確かな手応えを口にした。
この試合の1つのハイライトとなったのは後半10分のプレーだ。右ウイングバックの菅原由勢のクロスにファーサイドから入り込み、ボレーで合わせた。「ちょっとダフってましたけどね」と苦笑いしたが、逆サイドの攻撃に対していい場所へ入り込めたこと、菅原との意思疎通が取れていたことは紛れもないポジティブな要素だ。また、コンディション的な不安を抱えた中、45分間を走り切れたことも「フィジカル的にも詰められた。非常に自分にとっては大きい」と自信に変えており、W杯に向けて期待が高まる内容だったと言っていいだろう。
フィジカル面の不安を払拭し、ウイングバックというポジションでも適応できることを示した45分間を終え、長友は代表のスピード感やコンディション面を含めて「2週間で上げていきます」と言い切った。衰えを感じさせない断言の裏には、本大会でもプレーで貢献するという明確な意志が感じられた。
ただ、長友がW杯で自分に課す役割はそれだけではない。
「若い選手たちが何も考えずにピッチで全てを出せる状況を作るのが僕の仕事」
称賛も批判も自分が引き受ける覚悟で、若い世代の負担を軽くする。ベテランとしての使命を、彼は静かに、しかしはっきりと口にした。プレーで引っ張りながら、チームの空気をも整える。その両立を、39歳は北中米の地で体現しようとしている。
5度目のW杯に向けて「自分の経験からくるものでチームの一体感を生んでいければ」と先を見据えた長友。その言葉の重さを証明する舞台まで、あとわずかだ。
(林 遼平 / Ryohei Hayashi)

林 遼平
はやし・りょうへい/1987年、埼玉県生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と、憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。



















