「自分の特徴を出そうとしても」苦しんだ1年 プロ注目SBが制圧する右サイド「すべて自分が責任を」

桐光学園の萩原慶【写真:安藤隆人】
桐光学園の萩原慶【写真:安藤隆人】

桐光学園・萩原慶「今思うとプレーの整理がきちんとついていなかったと思う」

 4月4日に開幕した高円宮杯プレミアリーグと全国9地域のプリンスリーグ。ここではリーグ戦で躍動を見せた選手を紹介していきたい。今回はプリンスリーグ関東2部に所属する桐光学園の右サイドバック・萩原慶について。サイドバック、ウィングバック、サイドハーフからウィングと、右サイドならどこでもこなせるスペシャリストが挑む夏とは。

【PR】ABEMA de DAZN、2/6開幕『明治安田Jリーグ百年構想リーグ』全試合生配信!毎節厳選6試合は無料!

 右サイドを颯爽と掛け上がるスピードと細かいボールコントロール。そしてタイミングを見たクロスの質とカットインからのチャンスメーク。高い位置でボールを持った時の萩原は非常に相手に脅威を与える存在だ。

 そして、決して怠ることがない守備への献身性。攻撃から守備に切り替わると全速力で自陣に戻って、ハードワークを厭わない。この激しい上下動こそ萩原の魅力である。

 昨年はウィングバックを任されることが多く、攻撃の立ち位置の面で苦戦する姿があった。萩原の能力を考えればこのポジションも十分にこなせるが、スピードを生かす場所とステイをしてポジションバランスを整えるところの整理がまだついておらず、上下動を繰り返す中でゴールが遠く感じたり、消耗が激しくて終盤に運動量が落ちたりしてしまうことが散見された。

「自分の特徴を出そうとしても、思うように出せなくて、ポジション取りがうまくいかなくて、距離感の遠さなどに苦しみました。今思うとプレーの整理がきちんとついていなかったと思います」

 ウィングバックに起用した鈴木勝大監督の狙いもまさにそこにあった。運動量、スピード、技術はこの年代でもトップクラスだけに、その『使い方』を理解して、自分で自分のポテンシャルを引き出さないと上のステージにはいけない。時にはスタメンから外すなど、活を入れながら、苦しむ萩原を厳しくも温かく見守っていた。

 最高学年になった今年、萩原は【4-4-2】の右サイドバックとしてさらに進化したプレーを見せている。

「ポジション取りもサイドハーフをコントロールしたり、逆にコントロールされたりしながら周りと関われて、かつ自分のスピードを発揮できるスペースや立ち位置を意識するようになりましたし、いざ攻撃になったら思い切って自分の力を発揮できるようになってきた手応えはあります」

 取材に行ったプリンスリーグ関東2部・第7節の鹿島アントラーズユースB戦でも、5月とは思えない暑さの中、右サイドを精力的にアップダウンする萩原の姿があった。するすると高い位置を取ってボールを受けると、縦突破と右ポケットへの斜めの侵入でチャンスを創出。守備面でも相手のボールの動きを見ながらポジションを取って、鋭い出足のインターセプトや相手のサイド攻撃をプレスで潰すなど、ハードワークを見せていた。

「球際、切り替え、運動量、そしてスピード。これが自分に一番求められていることなので、サイド攻撃も守備も右サイドはすべて自分が責任を持ってプレーすることを意識しています」

 今年に入り、最高時速で34キロを出すようになり、90分間のスプリント本数で30本を叩き出した試合もあった。熱い思いと責任感で右サイドを疾走する萩原には、Jリーグスカウトからも熱視線が送られている。

「一番は高卒プロになりたいですが、プロで活躍するためのフィジカル強化もそうですし、1対1の守備、ヘディングも底上げしていかないといけないと思っています。それにラスト1年はリーグ、トーナメントで結果を出し続けて、プリンス1部昇格、インターハイと選手権で神奈川を制して、より全国で上のステージに行く。そのために全力で取り組んでいきたいと思います」

 もがき苦しんだ1年を自分の土台として、武器の整理と研磨方法を導き出し、それをいかに実戦で発揮し、かつそれによって浮き出てきた足りない部分を改善していく方向性もきちんと見出す。今、彼が取り組んでいることは非常に意味のあることで、有意義な時間を過ごしているのは間違いない。

(安藤隆人 / Takahito Ando)



page 1/1

安藤隆人

あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』、新刊は『ともに歩き出す サッカーと家族と新しい日常』(ともに徳間書店)。講演家としても全国を回っている。元・名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター(2022年〜2026年4月)、現・國學院大學体育連合会蹴球部コーチ。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング