カズの契約延長「邪魔が入らなければ」 来季で還暦…J2昇格へ向けて厳しい目「まだ足りない」

福島の三浦知良【写真:徳原隆元】
福島の三浦知良【写真:徳原隆元】

5年ぶりのJの舞台を振り返ったカズ

 J3福島のFWカズ(三浦知良、59)が、5年ぶりのJでのリーグ戦を振り返り、還暦を迎える来シーズンを語った。福島は5月24日、アウェーでJ3松本と対戦。3-3からのPK戦で勝ち、百年構想リーグ地域リーグラウンドを10チーム中9位で締めくくった。終盤に調子をあげたとはいえ、課題も残ったリーグ戦。目標の来季J2昇格に向けて、カズは「まだまだ」と慎重に話した。

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 終了間際にFW芦部晃生の2点目のゴールで勝ち越しながら、アディショナルタイムの失点でPK戦に突入。GK吉丸絢梓のセーブで4-2と勝ったが、カズは試合後「勝ち切らないと。勝てば勝ち点が3入るのに(通常の)リーグ戦なら勝ち点1ずつ。この積み重ねが大切なんだ」と残念そうに話した。

 終盤にきて、チームは調子を上げた。リーグ戦18試合で、最初の12試合まではわずか2勝(10敗)。ところが、最後の6試合は4勝2敗と勝ち越すなど結果が出てきた。寺田周平監督の目指す攻撃的なパスサッカーを負けが続いてもブレずに追求し、トレーニングを重ねてきた成果が出てきた。

 この日活躍した芦部は「周平さんの目指す攻撃的なサッカーができてきている。来季のJ2昇格に向けて、自信になった」と胸を張った。百年構想リーグは降昇格のない特別リーグで、多くのチームは来季に向けての準備リーグとして戦っている。選手を入れ替えながら終盤に結果を出してきた福島だけに、チームのムードはいい。

 それでも、カズは「昇格は簡単ではない」とあえて引き締めた。6月末に横浜FCからの期限付き契約期間が切れるが、来季の契約延長は既定路線。正式契約、発表はまだだが「変な邪魔が入らなければね」とジョーク交じりに話した。昨年12月に福島移籍を決めたのも、クラブにJ2昇格という明確な目標があったから。だからこそ、昇格に向けて「まだ足りない」と正直な思いを明かしたのだ。

「昇格するチームには、独特の雰囲気がある」とカズは言う。「言葉にするのは難しいけれど、チームの勢いや周囲のムード。何度も経験しているからね」と話した。プロ41年目、昇格や降格、昇格争いや残留争いも数多く経験してきただけに、その言葉は重い。

 JFLのアトレチコ鈴鹿でも、中位に低迷していた夏場に「このままではよくない。危ないよ」と危機感を口にしていた。クラブも報道陣も「さすがに心配しすぎでは」と思っていたが、カズの言葉通りに終盤失速。節ごとに順位を下げ、あと勝ち点1がとれずに地域リーグへ降格した。カズの「目」は鋭い。

 もちろん「雰囲気」は勝ちながらできてくるもの。ただ、勝利を重ねるだけがすべてではない。クラブ、サポーター、スポンサー、地域が一つになって生み出す「昇格ムード」が必要だ。福島は14年にJリーグ入りしてから12シーズン、一度もJ2に上がったことはない。だからこそ、カズは気を引き締めて「雰囲気」の重要性を訴える。

 5年ぶりに経験したリーグ戦は終わった。JFLからJ3へカテゴリーを上げ、選手個々のレベルも上がる。出場機会も減ったことから「もっと(監督に)アピールしないと」と真剣に話す。寺田監督の攻撃的なパスサッカー、細かいパスで中央突破を目指すサッカーは身についてきた。もっとも、59歳にも「課題」はある。

 寺田サッカーの「止めて、蹴る」を繰り返すスタイルに慣れず、ワンタッチでパスを出してしまうのが課題だ。「止めて」相手に食いつかせ、立ち位置の近い味方へ素早く「蹴る」。これが「寺田スタイル」だが「どうしても、長年のクセでワンタッチでだしてしまう」とカズ。さらにアジャストできれば、出番が増える可能性もある。

 リーグ戦後のプレーオフが2試合。「まだ終わっていない。残り試合も大切」とカズは言う。どう2試合を戦い、どう昇格を目指す来季につなげるか。この百年構想リーグで、どれだけ周囲を巻き込んで昇格への「雰囲気」が作れるか。もちろん勝利が最も大事だが、それとともに昇格へのムードを高めていく必要もある。

 還暦を迎える26-27シーズン。福島のJ2昇格は、カズにとって最後の「大仕事」になるかもしれない。だからこそ、何としても夢をかなえる助けになりたい。「まだまだ」という厳しい言葉も、そんな思いが強いから。プロ41年目の「リーグ戦」は終わったが、42年目の「リーグ戦」もカズは変わらず走り続ける。

(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)



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荻島弘一

おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。

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