4年前は原口、大迫が選外 メンバー発表前に森保監督も言及…W杯“サプライズ”の歴史

1998年フランスW杯では18歳の小野伸二が選出された
北中米ワールドカップに臨む日本代表メンバーは、5月15日に発表される。これまでのメンバー発表では、毎大会のように“サプライズ”が話題になる。若き才能の抜擢、ベテランの復活、あるいは当落線上と見られていた選手の滑り込み――。そして実際に、本大会でどのような役割を担ったのかまで含めて、後々まで語り継がれるケースも少なくない。
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日本代表初出場となった1998年フランスW杯では、18歳の小野伸二の抜擢が大きな話題になった。当時は高校卒業直後で、浦和レッズに加入したばかり。岡田武史監督は将来性を高く評価し、大舞台へ連れて行った。アルゼンチン戦、クロアチア戦での出番は無かったが、2連敗で迎えたジャマイカ戦で、岡田武史監督は残り15分で投入。小野は物怖じしないボールタッチや技術の高さで、強烈な印象を残した。18歳と272日でのW杯出場は日本代表史上最年少で、現在も破られていない。
2002年の日韓大会では、フィリップ・トルシエ監督がベテランの秋田豊、中山雅史を選出。当時の日本代表は準優勝に輝いた1999年のワールドユース(現U-20W杯)やトルシエ監督が自ら率いたシドニー五輪のメンバーを軸に、若返りが進んでおり、経験豊富な2人の招集は驚きを持って受け止められた。秋田は守備陣の精神的支柱として期待されたが、出場機会はなし。中山もロシア戦終盤の途中出場に留まった。ただ、初のベスト16進出を果たしたチームにおいて、経験値やリーダーシップという意味では大きな役割を果たしていた。
ジーコジャパンで挑んだ2006年のドイツ大会は巻誠一郎のサプライズ選出が注目された。しかも、当時のジーコ監督がメンバーの最後に名前を読み上げただけに、いまだに鮮烈な記憶として残っているファンも多いかもしれない。エースとして期待された久保竜彦の状態が思わしくなかった背景もあるが、高さだけでなく豊富な運動量も併せ持つ巻は、短期決戦で必要な要素を備えており、本大会での活躍を期待する声も高まった。しかし、結局は1-4で敗れた3試合目のブラジル戦の先発出場のみに止まった。
2010年の南アフリカW杯では、岡田武史監督のリアリズムを象徴する選考が話題になった。矢野貴章は高さと運動量、サイドもこなせる守備力を評価されて選出。本大会はカメルーン戦で1-0とリードした終盤に投入されて、逃げ切りの重要なピースになった。また大ケガから復帰途上だった川口能活のメンバー入りも大きな驚きだった。出場機会こそ無かったが、川島永嗣、楢崎正剛に続く第3GK、さらにチームキャプテン(大会中のゲームキャプテンは長谷部誠)としてベスト16進出を支えた。
ザックジャパンの大躍進が期待された2014年のブラジルW杯では、大久保嘉人の代表復帰が大きな話題となった。Jリーグで圧倒的な得点力を見せ、これまでアジア予選はもちろん、親善試合でも招集が無かった中で経験豊富なストライカーに白羽の矢が立った。当時の日本代表は香川真司や岡崎慎司など、アジア予選を牽引した攻撃陣がなかなか状態を上げ切れずにいた。大久保は“ぶっつけ本番”となる大舞台でゴールこそ無かったものの、前線で積極的に動き回り、多くのチャンスを演出。3試合すべてに出場し、確かな存在感を見せた。
個で違いを生み出せるドリブラーとして期待された齋藤学もサプライズ選出の一人だったが、こちらは3試合を通じて出場機会がなかった。ただ、当時のチームメートだった今野泰幸が「学は練習では絶好調だった」と証言しており、キレの良さはチーム内でも際立っていたという。実際、ギリシャ戦のように停滞した試合展開で「齋藤が投入されていれば」との声も少なくなかった。どこかで途中出場の機会を得ていれば救世主になっていた可能性もあり、グループリーグ敗退と相まって、残念な結果となった。
2018年のロシア大会では、本番直前に西野朗監督が就任。同年4月に解任されたヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の組み上げたベースにプラスして、早急にチームを立て直して短期決戦を戦い抜くために、選手の経験値を重視したチーム構成を採用した。その分、サプライズと呼べるような選出は無く、起用法のテコ入れに注目が集まる中で、西野監督は本田圭佑や香川真司のスタメン復帰や柴崎岳のボランチへの再コンバートなど、チームの流れや選手の適性を見抜いた采配で、日本をベスト16に導いた。
森保一監督が日本代表を率いた2022年のカタール大会では、長年チームを支えてきた原口元気、大迫勇也が選外。さらにメンバー発表後に負傷した中山雄太の辞退を受けて、追加招集された町野修斗が話題となった。代表経験は多くなかったが、湘南ベルマーレでの得点力を評価されて滑り込みでメンバー入り。しかし、森保監督も失敗の許されない試合の流れで、26番目の選手とも言える町野の出番を最後まで見出せなかった。こうした“サプライズ”は大会に臨む監督の戦略を映し出す側面もあるが、誰が選ばれるかだけではなく、どう使われるのか、どう言った影響をもたらすのかも見ていくことが大事だ。
そして北中米W杯へ向けた日本代表メンバー発表を5月15日に控える中、森保監督が報道陣の取材を通じて“サプライズ”に言及したことで、再び注目が高まっている。代表スタッフの中ではサプライズではないことを前置きしながら、世間にとっての驚きはありうることを示唆したのだ。
これまで主力としてチームを支えてきた遠藤航や南野拓実の長期離脱、さらにイギリス遠征で大きく評価を高めた鈴木唯人の負傷など、色々な不確定要素も絡んだ中で運命のメンバー発表を迎えるが、どう言ったドラマが日本代表の歴史に加えられるのか。もちろん本大会での結果が最重要だが、本大会のちょうど1か月前となる運命の日を待ちたい。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。





















