カズ、古巣とスポンサー契約「何か協力できることは」 現役選手では異例…オーナーも感謝

福島の三浦知良【写真:徳原隆元】
福島の三浦知良【写真:徳原隆元】

東海リーグに所属するアトレチコ鈴鹿のユニフォームスポンサーとなった

 カズがサッカークラブのスポンサーになった。東海リーグに所属するアトレチコ鈴鹿は5月4日、クラブのユニフォームスポンサーとしてJ3の福島ユナイテッドFCのFW三浦知良(59)と契約したことを発表。昨年までJFL時代の同チームでプレーしたカズが、三重・鈴鹿市からJリーグを目指す古巣を支援する。

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 カズが契約したのはメインの胸スポンサーに次ぐ鎖骨左上の部分。カズ本人の名前ではなく、静岡に昨年オープンしたカフェとサッカーミュージアムの複合型施設「GOAL BASE SHIZUOKA」のマスコットキャラクター「ゴール坊や」がデザインされている。

 静岡市内にある「GOAL BASE」はカズの父・納谷宣雄氏らが日本初のサッカー専門ショップとして1965年に創業した「ゴール」を継ぐ店。店内にはカズと兄・泰年氏のユニホームなどが飾られ「カズミュージアム」でもある。カズは自身の名前を入れるのではなく、ゆかりの店の名前とキャラクターに支援の気持ちを込めた。

 現役選手がクラブのスポンサーを務めることは極めて異例。セリエA時代の中田英寿がnakata.netとして古巣の湘南ベルマーレのスポンサーになったことはあるが、地域リーグ所属クラブが支援対象となることはほとんどない。

 カズがスポンサーになったのは、クラブへの強い想いがあったからだ。所属する横浜FCで出場機会に恵まれず、J1から数えて4部にあたるJFL(当時)の鈴鹿ポイントゲッターズに移籍。ポルトガル移籍を経てチーム名の変わったアトレチコ鈴鹿に復帰し、J3昇格を目指した。しかし、昨季は自身もコンディション不良で満足いくシーズンを過ごせず、チームはJリーグ入りどころか勝ち点1足りずに入れ替え戦に回り、地域リーグ(東海リーグ)に降格した。

 昨年末に福島からオファーがあったときも、チームが降格しながら自分だけJクラブへ移籍することに迷いがあった。後ろ髪を引かれる思いで福島と契約したが、常に鈴鹿のこと、鈴鹿市のこと、鈴鹿市民のことは気になっていた。JFLから一度地域リーグに落ちたチームが再び上がることが難しいことは分かっている。地域リーグのレベルに慣れ、Jリーグ昇格という目標を失っていくクラブも少なくない。

「鈴鹿は東海リーグにいても、そこに甘んじてはほしくない。あくまでもJFL、Jリーグを目指してプロのクラブであってほしい」とカズ。クラブ側に「何か協力できることはないか」と申し出ていたことが、スポンサー契約につながった。

 鈴鹿の斉藤浩史オーナーは「離れてもクラブのことを考えてくれるカズさんの気持ちはうれしい。ありがたく、スポンサーになっていただきました」と話した。クラブは東海リーグに降格こそしたが「Jリーグを目指して活動してくことに変わりはない」と同オーナー。今季は京都や徳島などJクラブでの監督経験も豊富な美濃部直彦氏を迎え、1年でのJFL復帰を目指している。

 カズはリリースで「現役選手として挑戦する機会を与えてくれた鈴鹿への感謝、そして恩返しの気持ちも込めています」とスポンサーとなった経緯を説明。さらに「鈴鹿での経験を胸に、これからも走り続けてまいります」とコメントしている。

 鈴鹿は3日、東海リーグの初戦でここまで2連勝のワイヴァン知立と対戦し、0-0の引き分け。カズも「悪くないスタートだと思う」と古巣の健闘を祈った。鈴鹿への強い思いが実現させたユニホームスポンサー契約。志半ばで去った鈴鹿のためにも、カズは福島での試合出場とゴールを目指す。

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荻島弘一

おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。

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