アカデミーに「多額の資金を投入」 アジア新興勢力の今…語った「日本から学ぶべき」

ライオン・シティU-13監督のムハメド・カイリル・アスラフ・ビン・ロスラン氏【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
ライオン・シティU-13監督のムハメド・カイリル・アスラフ・ビン・ロスラン氏【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

「コパ・トレーロス2026」に参加したライオン・シティ・セイラーズFC

 ジュニア年代の国際大会「コパ・トレーロス2026」が今年3月から4月にかけて開催された。馬入サッカー場、しんよこフットボールパークで行われたU13には、シンガポール1部プレミアリーグのライオン・シティ・セーラーズも参加。U-13監督のムハメド・カイリル・アスラフ・ビン・ロスラン監督に聞いた。

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 2024-25シーズンのAFCチャンピオンズリーグ2では準優勝に輝くなど、トップチームが躍進を遂げているライオン・シティ。元々はホーム・ユナイテッドというクラブ名だったが、2020年2月に実業家のフォレスト・リー氏が会長に就任。シンガポール初となる私企業所有のサッカークラブとして牽引している。

「新しい経営陣が引き継ぎ、クラブに対する彼ら自身の夢と野心を持ち込んだことで、多額の資金が投入されました。シンガポール国内に自前のトレーニング施設なども持っています。彼はシンガポールのサッカー発展に対して、本当に真剣に取り組んでいます。このプロジェクトに参加できて非常に嬉しいですし、私たちはサッカー界でより大きなことを達成することを目指しています」

 リー会長は昨年、シンガポールサッカー協会の会長にも選出。そして今年、A代表は史上初となるアジアカップ出場権を獲得した。「彼はシンガポールサッカーに対して大きな夢を抱いています。シンガポールの国全体を巻き込んで、シンガポールサッカーを前進させようとしています」と、ロスラン監督は言う。

 そして、サッカーへの投資はトップチームにとどまらない。「彼は変革をもたらそうとしているので、その変化がユースシステム全体に行きわたることを期待しています。そうすれば、そこから成長していけます。私たちは今、まだその移行期にあります」。アカデミーの環境整備に巨額の資金を投入している。

 また、シンガポールは様々な民族、文化が混ざりあう多民族国家という特徴を持っている。インターナショナルスクールも多くあるが、地元の子どもたちと外国からやってきた子どもたちが、同じボールを追いかけて育っているのだ。

「外国人と地元の子どもたちがとても簡単に打ち解けています。ですから、非常に良い状態で、やりやすいですよ。例えば、私たちの選手の一人でストライカーのラファエルに気づいたなら、彼も外国人です。彼らが高いレベルをもたらしてくれるので、地元の子どももそれに追いつこうと切磋琢磨しています」

 そのような国民性もあり、ライオン・シティは海外遠征を重視。隣国のタイやマレーシアだけでなく、ポルトガル、スペイン、スウェーデンといった欧州にまで足を伸ばしている。コパ・トレーロスへの参加もその一環というわけだ。

「常に視野を広げ、経験を豊かにしてくれます。彼らはシンガポールでは常にコンフォートゾーンにいますよね? そこから一歩外に出ることで、サッカーに対する見識が広がります。サッカーが実際にはもっと高いレベルでプレーされうることを知り、サッカー以外の場でも新しい友人を作ることができます」

 実は2019年にも、コパ・トレーロスに参加しているライオン・シティ。「その経験から、コパ・トレーロスは非常にレベルが高いと知っていました。ですから、私の選手たちを連れてきて、日本のハイレベルなサッカーを経験させるのは、彼らにとって良い経験になると考えたのです」と、ロスラン監督は語る。

「日本の選手は技術的に非常に優れています。シンガポールの選手は、技術やプレーの仕方において、日本人から学ぶべきことがたくさんあります。柏レイソルのコーチたちとも話したのですが、彼らの選手がいかにチームワークが良く、情熱的で、モチベーションが高いか、といった点についても同様です。これらはすべて、私たちがシンガポールに持ち帰りたいと思っている要素です」

 そんなロスラン監督は、U-12のシンガポール代表として来日したことがあると明かす。そして、そのときの経験を子どもたちにもしてほしいと考えている。

「日本の選手たちが常に団結している様子や、彼らの闘争心、そして技術がいかに優れていたかを見ることができました。大会も素晴らしく、対戦相手はどこもハイレベルでした。そして一番覚えているのはフィールドでプレーしているとき、その背後に富士山が見えて『うわあ、すごい!』と思ったことです」

 その後、U-18までシンガポール代表としてプレーしたが、「シンガポールの兵役に就き、大学で勉強を始めたため、サッカーはいったん脇に置く形になりました」とロスラン監督。「しかし、今でもサッカーを愛しています。だからこそ、コーチとして恩返しをしたいと思いました」とサッカー界に帰ってきた。

「正直なところ、私には2つの野望、夢がありました。1つ目は、飛行機を操縦するパイロットになること。2つ目は、サッカーコーチになることでした。パイロットの面接なども受けたのですが、うまくいきませんでした。それで、『よし、もう一つの情熱であるサッカーの指導を追求しよう』と思いました」

 ライオン・シティは今大会、FC東京に2-0で勝利、ジュビロ磐田に2-2、横浜FCに1-1とJクラブのアカデミー相手に健闘した。ここからA代表の選手が生まれれば、「私は誇り高いコーチとして、「ああ、昔彼らを指導したんだよ」と言えますからね」とロスラン監督。彼らの情熱がアジアのレベルを引き上げる。

(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)



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