2年ぶり復帰で本音ポロリ「遠くなった」 ”監督”の立場に戸惑いも…J1元年で「驚かせたい」

今季から水戸を率いる樹森大介監督【写真:徳原隆元】
今季から水戸を率いる樹森大介監督【写真:徳原隆元】

樹森大介監督が掲げたチームのテーマ

 J2優勝から一転、挑戦者として迎えるJ1の舞台。水戸ホーリーホックは、樹森大介監督の下、明確な設計図を描きながら新シーズンへの準備を進めてきた。培ってきた守備力を土台にしながら、J1で戦うための強度と再現性をどう積み上げていくのか。第3回は今季、チームが掲げるテーマ「継続と進化」について。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・上原拓真全4回の第3回目)

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 監督として2度目のキャンプを迎えた今季、水戸は明確な設計図のもとで準備を進めてきた。シーズンが始まる段階から計画を立て、そのコンセプトに沿ってチーム作りを実施。すべてを一気に詰め込むのではなく、段階を踏みながら精度を高め、チームの土台を構築している。

「キャンプに入る前から、ある程度の計画は立てて、コンセプトの大枠を最初に落とし込んでいます。そのうえで、相手やシチュエーションに応じた応用になっていくと思います」

 2年ぶりに慣れ親しんだ地に帰ってきたが、立場の変化とともに、選手との距離感にも変化が生まれた。「特に変えているつもりはないんですけど」と笑いながらも、以前より自然と距離を感じる場面は増えたという。感情と責任の間で揺れ動きながら、自身の振る舞いを省みつつ、チームを率いる立場としてのスタンスを整えている。

「監督になったら、距離感が近かった選手が遠くなった感じはしますね(笑)。選手たちと結構やりとりはしていたのに、あまり近くに寄ってこなくなって、寂しい気持ちもあります。ただ、監督として色々な選手に平等に関わっていかないといけないと思いますし、いい距離感を保っていこうと。最初の頃は、よく知っている選手に声をかけてしまうこともありました」

 今季のテーマとして掲げているのは「継続と進化」。J2優勝、J1昇格という結果は、これまで培ってきた“守備力”がベースにあったからこそだ。一方で、守備だけではJ1を戦えない現実も、しっかりと受け止めている。

「ずっと守備だけで残留できるわけではない。攻撃でいかにいい時間を作れるかが大事だと思っています。さらに強度を上げて、いい形でボールを奪う回数を増やしたいですし、攻撃でも再現性のある意図的な攻撃を少しでも増やしていきたい。攻守ともに、いい部分をアップデートさせていきたい」

 J1という舞台では、長く戦ってきたJ2の基準がそのまま通用するわけではない。「相当厳しいシーズンになる」と樹森監督が話したとおり、日常からプレー基準を引き上げていくことが重要になる。

「戦術には限界があると思っています。だからこそ日常から、ちょっとしたミスを減らしたり、寄せのスピードだったり、球際の強さだったりは変えていかないといけない。今まではこれくらいの寄せで取れていたのが、J1だとそれくらいじゃプレッシャーになっていないよね、とか。そういった部分には今、こだわっていて、選手たちも前向きに取り組んでくれているのかなと思います」

 攻撃面では、再現性のある意図的な形の構築がテーマ。GKからのビルドアップも、新潟時代のように「つなぐこと」そのものを目的としているわけではないが、J1では守備の時間が長くなることは承知の上だ。だからこそ、自分たちのリズムで試合を進める時間がより重要になってくる。

「後ろでボールを持つことを目的にはしていないので、いかにボールを持ちながら裏を取れるか、ゴールに向かえるかということを選手たちには提示しています。キャンプではロングボール一辺倒になる場面もあったので、バランスを取りながら取り組んでいるところです」

 シーズンが始まり、ここまで8試合を終えて1勝4分3敗。第7節の横浜F・マリノス戦でJ1公式戦の初勝利を挙げた。直近の柏レイソル戦には0-3で敗れたが、「そこまで下を向く必要はない」と強気な言葉。J1との差に向き合う日々が続く。

「選手は本当に水戸ホーリーホックとしてやろうとしたことをしっかり表現してくれたと思ってます。ただ結果相手に上回られてしまった、それだけだと思っています」

 今季の水戸は、J1でも注目を集めるクラブの一つと言えるだろう。初のJ1ということもあり、期待の声がある一方で、懐疑的な視線も向けられている。「いい意味で期待に応えたいし、期待していない人たちを驚かせたい」。特別シーズンの半年間は「経験の場」ではない。J1の本番を戦う覚悟で臨み、”残留以上”という目標に向かって、一戦一戦を積み重ねていく。

(FOOTBALL ZONE編集部・上原拓真 / Takuma Uehara)



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