まさかの監督打診で「どういうこと?」 腹を括った決断…電撃就任の裏側「自分しかいない」

水戸を率いる樹森大介監督【写真:徳原隆元】
水戸を率いる樹森大介監督【写真:徳原隆元】

水戸の樹森大介監督が明かす、電撃就任の経緯

 昨季のJ2リーグで快進撃を見せた水戸ホーリーホックが、悲願となるJ1リーグに挑戦する。今季から指揮を執るのは、2年ぶりに水戸へ帰ってきた樹森大介監督。昨季はアルビレックス新潟で初の監督業に挑戦したが、6月にシーズン途中で解任となり、8月からは栃木SCでコーチを務めた。第1回は森直樹監督の後を継ぎ、腹を括って決めたという電撃就任の経緯について。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・上原拓真/全4回の第1回目)

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 沖縄のピッチで、監督としての2シーズン目を迎えた。白いキャップを被った新指揮官は、選手たちの様子をピッチ上でじっと見つめ、ときおり声を張り上げた。「そこで負けるな!」。一部トレーニングにも加わり、身振り手振りで選手たちにアドバイスを送る姿が印象的だった。

 水戸が悲願のJ2優勝を果たしてから、約1週間後。まさかの人事異動が発表された。昨季、クラブ史上初となるJ1昇格の立役者だった西村卓朗ゼネラルマネジャー(GM)が退任し、森直樹前監督は強化部へ異動。空席となった監督の椅子に座る人物として、樹森監督の名前が挙がった。

 元々、新潟での仕事が終わったあとに、「半年後には水戸に戻ること」が決まったうえで、栃木SCのコーチに就任。水戸に戻ってからは、2年前同様にコーチに就くだろうと、復帰後のイメージは漠然としたものだった。

 水戸の優勝が決まった翌日、西村GM(当時)から改めて復帰について話を受け、「監督をしてもらうことがあるかもしれない」と伝えられた。それでも樹森監督自身は「フワッとしていたし、そんなことはないだろうな」と受け止め、深く追求することなく時間が過ぎていった。

 しかし、その翌週に正式な打診が届く。西村GM、森前監督から説明を受け、樹森監督は腹を括った。決め手となったのは、「水戸ホーリーホックのJ1元年を率いるのは、樹森監督しかいない」という言葉。自問自答の末に「そうだよな」と覚悟を決めた。

「水戸に戻って監督をやる気は、正直まったくなかったので、『どういうこと?』と驚いたのが一番でした。でも、2024年にコーチから新潟に行き、監督をやらせてもらった。その経験を、水戸に戻って表現しないといけないと思ったし、それができるのは自分しかいないとも感じた。年齢を重ねて、そういう立場になったんだという自覚が芽生えたことも、大きかったです」

 その決断の裏側には、水戸を離れていた時間の中で積み重なっていた感情があった。コーチとして赴いた栃木SCでは、水戸の快進撃を喜びながらも、「寂しさ」を感じたという。長年、水戸に関わってきたからこそ、ホームのケーズデンキスタジアム水戸で優勝シャーレを掲げる歓喜の瞬間に立ち会えなかった事実が胸に残った。

「チーム内にはいなかったですけど、本当にすごいなと思っていました。ただ、優勝した時にあの現場にいれなかったのは、やっぱり寂しかった。水戸に長く携わってきて、Ksスタで優勝した瞬間、その場にいられなかったというのは、寂しかったというのが正直な気持ちです」

 だからこそ、新シーズンにかける思いは強い。「しがみついてでもいいから、水戸をJ1に残留させたい」。水戸がJ1に定着するために、新たな挑戦がスタートしている。

(FOOTBALL ZONE編集部・上原拓真 / Takuma Uehara)



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