大学3年生でJ内定も…初出場で「潰されてしまう」 元日本代表に衝撃「痛感しました」

日本大の五木田季晋【写真:安藤隆人】
日本大の五木田季晋【写真:安藤隆人】

日本大の五木田季晋「昌子源選手と岡村大八選手の2センターバックは本当に強烈」

 3月1日に関東B選抜の優勝で閉幕したデンソーカップチャレンジ刈谷大会(通称・デンチャレ)。ここではデンチャレ本戦で目に留まった選手の物語を紹介していく。今回は決勝で関東A選抜を1-0で撃破し、見事に優勝を飾った関東B選抜のストライカー・五木田季晋(日本大)について。184センチのサイズとスピードを生かした水戸ホーリーホック内定のフォワードがJ1を経験して今に生かしていることとは。

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 水戸内定が発表されたのは昨年9月のことだった。大学3年生で早々にプロ入りを決めたことで、五木田はこれまで貴重な経験を積んでいる。

 J2第33節のホーム・ジェフユナイテッド千葉戦。J1昇格争いも佳境に入っていた重要な一戦で途中出場でプロデビューを果たした。出場時間はわずか3分だったが、なかなか味わうことができない緊張感のなかで過ごした試合前での時間、90分間はプロフェッショナルとしてサッカーをする意義を十分に教えてくれた。

「空気感がすごかったですし、あの緊張感のなかで本当にチームを救うことができる選手になれるかどうかということは、本当に難しいことだと思いましたし、ストライカーとしてプロに入る以上、そうならないといけないと痛感しました」

 ゴールという形で期待に応えたい。この試合、チームは0-1で敗戦し、ロッカールームで本気で悔しがる選手たちの姿を見てそう思った。

「じゃあ、自分がそれになるためには何を積み上げていかないといけないのか」。自分のサイズとスピードをより活かすためには、駆け引きを鍛えないといけないと感じた。

「プロで感じたのは、駆け引きで1つ外してから体を当てたり、1つ相手より前に出たりしてボールを受けないと、すぐに潰されてしまう。大学サッカーだと僕が背負ってボールを受けられないことはあまりなくて、DFもガツンと来るか、来ないかのどちらかなので、止まってボールを受けられるんです。

 受けてから相手に体をぶつければよかったのですが、Jリーグのレベルになるとそうはいかなくなる。ボールを受けに落ちたときや、DFを背負う前に後ろや周りを見て、相手が来ているのか来ていないのかを確認してから当て方を工夫しないとやられてしまう。そこの差は強く感じました」

 日々の練習から相手を外す動き、受ける前に首を振って状況把握をしてから、ボールや人に対するアプローチを変える。その重要性を今年に入ってより痛感することになった。J1百年構想リーグ開幕戦の東京ヴェルディ戦でスタメン出場を果たすと、第2節の町田ゼルビア戦では後半16分からエースの渡邉新太に代わって投入されるなど、重要な戦力として期待されるなかで、思うようにゴールを決められない現実にぶち当たった。

「町田の昌子源選手と岡村大八選手の2センターバックは本当に強烈でした。普通にぶつかっても、僕のフィジカル的な部分を含めても収めることは難しい。昌子選手は当ててくると思ったら当ててこないとか、僕が駆け引きを仕掛けても、さらに駆け引きを仕掛けてきて透かしてくるんです。より相手を見てプレーすることの重要性を痛感しました」

 この思考はより自分が持つスピードという武器の重要を再認識するきっかけにもなった。これまではシンプルに裏を抜け出してから加速することをイメージしていたが、駆け引きの際にギアを上げてスプリントをしてから、一度止まって、方向を変えてスプリントをしたり、全力で落ちるスプリントを入れてから、高速ターンをして裏へ飛び出したり、スピードを組み込んだ駆け引きを取り入れるようになった。

「タイミングよく体を当てられたり、マークを外したりすることができれば、僕のフィジカルとスピードを生かして優位にプレーすることができると手応えを感じるようになりました。今まではなんでも背負ってという考えがありましたが、J1のレベルだとシンプルにスピードを生かしたスプリントで交わしていくことも必要で、両方が組み合わされば、よりストライカーとして1ランク、2ランク上を目指せると思うようになりました」

 デンチャレでは磨かれた駆け引きと、頭脳を使って活用した身体能力をプレーに反映させた。3トップのセンターフォワード、2トップの一角として、ポストプレーや裏抜け、前線からのプレスを見せ、関東B選抜の攻撃を牽引。

 グループリーグ第2戦のプレーオフ選抜戦で決勝弾をマークし、関東A選抜との決勝戦でもFW小林俊瑛(筑波大学)とともにハイタワー2トップを組んで、攻守に貢献して1-0の勝利。優勝の立役者の1人になった。

「目指すべきところ、基準がはっきりしたからこそ、これからの1年間の過ごし方は重要になってくると思います。J1の基準をいかに日常に落とし込んでやり続けられるか。チームを勝たせられる選手になること意識して取り組んでいきたいと思います」

 デンチャレ後のJ1百年構想リーグ第5節の浦和レッズ戦でベンチ入りし、後半34分から出場した。4月の関東大学リーグ1部開幕前にプロ初ゴールを挙げて勢いに乗るべく、五木田は駆け引きの質を研ぎ澄ませながらゴールを貪欲に狙う。

(安藤隆人 / Takahito Ando)

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安藤隆人

あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。

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