U-17日本代表から定位置奪取…不在期間は「チャンス」 優勝に感慨「諦めないでよかった」

神村学園の細山田怜真「ボランチでも出られないときは本当に苦しかった」
12月28日の開幕戦を皮切りに幕を開けた第104回全国高校サッカー選手権大会。全国各地の予選を勝ち抜いた48代表校がしのぎを削って、1月12日の聖地・国立競技場の舞台を目指す熱戦を彩った選手たち、チームを紹介していく“冬の主役たち”。
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今回は決勝戦で鹿島学園を3-0で下して初の選手権王者に輝いた神村学園の右サイドバック・細山田怜真について。U-17日本代表の2年生DF竹野楓太からサイドバックのレギュラーの座を奪い取った男が示したものとは。
鹿島学園との決勝戦。1-0で迎えた前半29分、細山田は自陣右サイドでボールを奪取すると、すぐに前線に飛び出したFW徳村楓大の動きを見逃さずにワンステップで右足のロングフィード。相手DFラインの裏に落としたボールに徳村が追いついて、切り返しから中に入ると、相手DFに倒されてPKを獲得。このPKは鹿島学園のGKプムラピー・スリブンヤコのビッグセーブに阻まれるが、同39分に再びチャンスに絡む。
左からのクロスに対し、細山田は「逆サイドのクロスはサイドバックがゴール前に飛び込むことになっている」とチームコンセプトを忠実に遂行し、ゴール前に飛び込んでいた。クロスはプムラピーのパンチングで阻まれるが、後方に落ちたボールに鋭く反応。
爆発的な加速から、「後ろにフリーで待っている(堀ノ口)瑛太が見えたので、なんとしてもつなげないといけないと思った」と、スライディングでルーズボールに寄せてきた相手よりも先に触ってバックパスをすると、堀ノ口の右足から鮮やかなミドルシュートが生まれ、貴重な追加点をアシストした。
3-0の快勝に大きく貢献したが、試合後のミックスゾーンでは「シュートを2本打ったのに、決めきれなかったのが悔しい」と貪欲な姿勢を見せていた。
「僕は勝つために走って、奪って、つないで、最後は決めるところまでやりたいんです。きょうの試合も最後の方はゴールが欲しくて駆け上がっていました」
細山田はもともとサイドハーフ、右サイドバックが主戦場で、神村学園中では右サイドバックでプレーをし続け、ここが希望のポジションとなった。だが、高校2年生のときはセカンドチームが所属する鹿児島県リーグ1部ではボランチとしてプレーしていた。
「僕がボランチをやっているときに竹野が伸びてきたときは正直かなり焦りました」
今年に入り、プレミアリーグWESTでは竹野が4バックのときの右サイドバック、3バックのときの右ウイングバックが定着。細山田はボランチとして不動の存在となった。それゆえに背番号も7番に定着した。
だが、優勝したインターハイでは堀ノ口が台頭してきたことで、ボランチのポジションも奪われてしまった。全試合ベンチスタートとなり、大津との決勝では後半アディショナルタイムにボランチとして投入され、延長前半10分に逆転ゴールを叩き込んだ(試合はその後、追いつかれてPK戦の末に勝利)。
「本当はずっとサイドバックがやりたくて、ボランチでも出られないときは本当に苦しかった。でも、竹野が(U-17)代表で抜ける期間が僕にとって大きなチャンスだと思っていたので、毎日のトレーニングから手を抜かないで全力で取り組んで、チームの誰よりも走ろうと心に決めたし、守備の強度をあげることを徹底して意識をしました」
その努力が実る形で、爆発的なスピードかつ圧倒的な走力を生かして、帰陣の速さ、クロスやシュートまで持っていく前への推進力、そしてクロスを合わせる能力がどんどん磨かれ、竹野が不在時に不動の右サイドバックの座をその手に掴み取った。
「神村学園のサイドバックは両方とも攻撃的でどんどん上がっていかないといけない。当然、相手は僕らの裏を狙ってくるけど、そのリスクは覚悟の上だし、狙われたら全力で戻る。戻るだけではなく、奪い切ってもう一度攻め返す。これをやれないと、すぐにベンチに回ると思います」
変わらぬ危機感と実力で掴み取った自信が今大会で一気に花開いた。初戦の東海学園戦で1アシスト、3回戦の水口戦はFW倉中優駕のシュートのこぼれ球に反応して1ゴール。1アシストも記録し、4-0の勝利の立役者に。そして決勝では1アシスト。1ゴール3アシストという結果で優勝に大きく貢献した。
「ポジションを奪われても、本来のポジションではなくても、どこでもどんなときも自分の良さを出すことに必死でしたし、絶対に諦めない気持ちはすごく大事にしてきたので、優勝して『諦めないでよかった』と本当に思っています」
まだ進路は未定だ。プロか大学か、どちらになるかは分からない。だが、細山田は「プロサッカー選手になる」という強い決意を持っており、どの道に進んでも自己研鑽を続けていくだろう。
「高校生で満員の国立という最高の舞台に立つことができた。大勢の前でプレーするのは緊張よりも楽しさの方が大きかったし、楽しめてプレーができたことが大きな自信になりました」
かけがえのない財産を掴んだ細山田の目は、将来への不安よりも希望の方が大きかった。
(安藤隆人 / Takahito Ando)
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。












