ブンデスで「余裕すら感じる」 圧巻2アシスト…日本代表OBが注目する”唯一無二”の能力

ハイデンハイム戦で2アシストをした藤田譲瑠チマ【写真:picture alliance/アフロ】
ハイデンハイム戦で2アシストをした藤田譲瑠チマ【写真:picture alliance/アフロ】

【専門家の目|太田宏介】ザンクトパウリの藤田譲瑠チマが2アシスト

 ドイツ1部ザンクトパウリは現地時間12月13日のブンデスリーガ第14節でハイデンハイムと対戦し。2-1で勝利を収めた。日本代表MF藤田譲瑠チマが2アシストの活躍でチームを勝利へ導いた。このアシストについて元日本代表DF太田宏介氏が「さすがヴェルディ産だな」と言及している。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)

【PR】DAZNを半額で視聴可能な学生向け「ABEMA de DAZN 学割プラン」が新登場!

  ◇   ◇   ◇

 開幕から14試合連続先発となった藤田は前半35分、エリア手前での巧みな反転から右足アウトサイドでの優しいラストパスを通す。これを受けたFWマルティン・カールスが先制ゴールを決めた。

 1アシスト目について「1回アウトで叩いて、そのあと中に入って行ったあとのプレーも、うまく体は左に、でもボールは右足にぴったり足元に止めて、相手を翻弄している。体の向きと置く位置のアクションだけで相手を剥がしてますし、そのあと右足でトラップした後のプレーもスムーズで、トントンとダブルタッチのような両足を使った繊細な技術はさすがヴェルディ産だなと」と振り返っている。

 さらに退場者を出して10人で戦うことになったが、それでも後半7分に藤田は自陣から最終ラインの裏へスルーパスを送ると、再びカールスがゴールを決めてリードを2点に広げた。

「基本的に1つ1つのパスにメッセージが込められている。打ってください、このまま突破してくださいみたいな。体めちゃめちゃごつい割に、そのあとのパスが、小野伸二さんのような優しいタッチ。割とシンプルに見えるインサイドパスですけど、あれもフォワードの選手のスピードを殺さず、なおかつ相手ディフェンスが足の届かないところに少し巻いてますよね。ピッチもかなり濡れているから強弱が難しいと思うんですけど、その丁寧さは藤田選手らしいなと思って見ていましたね」と2アシスト目シーンでは、名手の名を出しつつ絶賛した。

 そして藤田にプレースタイルについて「相手の間で受けるのが非常にうまいなと。ボランチで中盤の底で構えて、来たボールを散らすだけではない。相手のボランチとディフェンスラインの間で受けるのは結構簡単なことではないけど、この強度の高いブンデスのなかで、余裕すら感じます。ボールを持っていても慌てないですよね。あと軸がすごくしっかりしていて両足も使えるから、次のプレーを選択しやすい場所に常にボールがあるなって感じています」と解説する。

 さらに藤田は日本人のなかでも他の選手にはない能力もあると太田氏は語る。

「日本人の特徴としたハードワークできて、戦えて、技術守れてっていうのがよくある特徴なんですけど、藤田選手はプラスでゴール前に入っていけるし、前線と守備ラインのリンクマンとして、うまくつなぎ役を果たしていて他の選手にはないなと。ものすごく派手ではないけど、チームの潤滑油となっていってる」

 代表では佐野海舟や鎌田大地に田中碧、そして鉄板コンビであった遠藤航や守田英正と熾烈なポジション争いが待っている。クラブでも活躍を続けていれば自ずとW杯への道も見えてくるはずだ。

page1 page2

太田宏介

太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング