「ある意味ポジティブ」 “3戦勝ちなし”で産みの苦しみも…森保Jで一致する逆算の視点

2次政権では初めての3戦勝ちなし
森保一監督率いる日本代表は10月10日、パナソニックスタジアム吹田で行われたキリンチャレンジカップ2025パラグアイ戦で2-2のドローに終わった。敗戦濃厚の後半アディショナルタイムに途中出場のFW上田綺世が劇的な同点弾。6年ぶりの連敗は逃れたが、2年ぶりの3戦勝ちなし。“産みの苦しみ”を味わう森保ジャパンだが、8か月後のワールドカップ(W杯)に向けて確実に歩を進めた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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示された現在地。1点を先制された日本は前半26分、MF佐野海舟のインターセプトからボールを受けた小川がゴール正面から強烈なミドルシュート。無回転気味のボールは相手GKロベルト・フェルナンデスに弾かれるも、そのままネットを揺らした。だが後半19分、相手の右クロスをMFディエゴ・ゴメスに頭で合わせられて勝ち越しを許す。敗戦濃厚かと思われた後半アディショナルタイム、出場からわずか5分のFW上田綺世がヘディングシュートを決めて、土壇場で追いつき、2-2で引き分けた。
これで2022年〜23年以来の2年ぶりの3試合勝ちなし。W杯出場国にはオーストラリア(0-1)、メキシコ(0-0)、アメリカ(0-2)に続いて4試合連続で勝利できていない。とはいえ、パラグアイは南米予選6位で4大会ぶり9度目のW杯出場を掴んだ強豪。予選の主力メンバーを揃えた相手にコンディション不良で選外のMF三笘薫や、足首の負傷で別メニュー調整が続くMF久保建英、最終ラインでも怪我人が続出しているなかでゴールを奪い、課題が出たことは大きな収穫だ。
森保監督にも苦悩があった。パラグアイ戦の前日、「積み上げる理想は持っているが、代表は活動と活動の間が空いてしまう現実がある。基本に戻すところから1回1回始めないといけない。9月、10月の活動で感じている」と吐露。W杯切符を3月に獲得したことで、6月シリーズはメンバーを大幅に入れ替え。若手を中心に底上げを図った。9月のアメリカ遠征は約半年ぶりにいわゆる“コアメンバー”が招集された。そのためベースの構築と新たな戦術の積み上げを同時並行に行っている。
ただ、この指揮官が話す状況についてMF堂安律は「ある意味ポジティブな発言であると思う」と分析した。
「積み上げの難しさというか、対戦相手のレベルがアジアから世界レベルに変わった。戦術に頭でっかちでネガティブになりがちですけど、それは戦術的にチーム全体がフォーカスしていることなので。バランスをとりながらやれたらいいな、と」
8か月という残された時間は決して長くはない。W杯優勝という目標から逆算して“産みの苦しみ”を味わう時期でもある。だが、実際に9月からは4バックや2トップなど徐々に新たな引き出しにもトライ。本大会への備えにしている。すべてはW杯本番で笑うため。今は力を蓄える時なのだ。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)




















