「なんで上手くいかないのか」 苦しんだ2年間…5分で窮地救ったエースの“特別な日”「向き合った結果」

圧倒的な数字を残す上田綺世
日本代表FW上田綺世が10月10日、パナソニックスタジアム吹田で行われたキリンチャレンジカップ2025パラグアイ戦(2-2)でチームの危機を救った。後半44分から出場してわずか5分で劇的な同点弾。所属するオランダ名門フェイエノールトでは8戦8発で得点ランク首位に立つ絶対的なストライカーが「嗅覚でそこが分かる」と意地のゴールを決めた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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エースの風格だった。1点を追う後半44分から登場。敗戦濃厚、嫌な空気が流れていたなか、新背番号18が完璧なポジショニングで示した。MF伊東純也が右サイドからスピードあるクロスを供給すると、飛び込んだ上田が頭で決め切りゴール。国際Aマッチ15点目で窮地から救い出した。
「短い時間だったので、こぼれ球とかチャンスに見えないようなものを仕留められないと結果を残せないと思っていた。噛み合っているな、というのはもちろんあるし、今日は来ましたけど来ない時は来ない。今はその運も含めていい状態なのかな」
約1年ぶり。2024年9月10日、アジア最終予選の敵地バーレーン戦以来のゴールだった。現在フェイエノールトでは開幕戦から8戦8発中。「得点感覚、嗅覚でそこ(得点の場面)が分かるというのはもちろん自分の状態がいい部分でもあると思う。逆にうまくいかない時とか、そういうところで僕が積み重ねたことが今結果になっている」。オランダへ移籍して丸2年が経ち、徐々にリーグへも適応。昨季の7ゴールはすでに超えた。さらに今年2月からは世界的ストライカーのロビン・ファン・ペルシー監督の指導の下で、圧倒的な力をつけている。
「なんでうまくいかないのか、なんで(パスが)来ないのかを考えてきた。チームメイトに要求することもある。フェイエノールトに入ってから上手くいかないことがいっぱいだったけど、1つずつ自分ができないことや足りないもの、必要なものをチームと協力しながら1つずつステップを踏んでやってきた。ここ2年間、いろいろ上手くいかないことに対して向き合った結果だと思います」
動き出しのポジショニングやタイミング、入る場所、ボールへの入り方……1つ1つ課題を消化してきた。「2年前と同じ環境、同じリーグでこれだけの差が出ている。今年何かを変えたから成功しているという感覚もない」。自らから逃げずに積み重ねてきたからこそ、日本代表でも欠かせない存在へと成長を遂げた。
W杯まで8か月。父を追いかけて付けた背番号18は「一番特別なこと」だった。この日は両親がスタンドから見守り、目の前でゴールを届けた。「恩返しができた。僕にとってはすごく達成感もある」。チームを救ったエースはどこまで上り続けるのかーー。世界を打ち破る過程を楽しんでいきたい。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)




















