孤独に打ち勝った苦労人 負傷乗り越え初代表…背番号10に出した指揮官の“注文”「日本の戦力に」

QPRで活躍する斉藤光毅【写真:REX/アフロ】
QPRで活躍する斉藤光毅【写真:REX/アフロ】

斉藤光毅が日本代表に初招集

 イングランド2部QPRに所属するMF斉藤光毅が日本代表に初選出された。パリ五輪代表の背番号10が待望の初代表。何度も負傷に悩んだ苦労人が、逆転での北中米ワールドカップ(W杯)切符を目指す。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 待ちに待った。MF久保建英やMF鈴木唯人らと同世代の24歳。左ウイングのスペシャリストが初めて日本代表メンバーに名を連ねた。森保一監督は「国内にいた時から攻撃のアクセントとなる仕掛けができるウイングプレーヤーだということで見てきていました。今年の6月、W杯の出場を決めた後にメンバーを入れ替えて招集した中、彼もリストに上がっていて、招集してもおかしくないようなパフォーマンスを見せてくれていたが、怪我で招集はできなかった」とアジア最終予選での招集を検討していたことを明かした。肩の怪我から復帰した8月30日のチャンピオンシップ第4節チャールトン戦で今季初出場を果たして、いきなりゴールをマーク。出場時間を重ねて、日本代表入りを果たした。

 スピードと技術、攻撃センスを兼ね備え、シャドーとして新たな色を加えてくれる存在。横浜FCのアカデミーで育ち、16歳でJデビューを果たした。翌年にはJ2で29試合6ゴールと結果を残し、2021年に19歳でベルギー2部ロンメルSKへ移籍。2022年からオランダ1部スパルタ・ロッテルダムへ渡り、昨季からQPRでプレーする。同年代に久保がいるものの、常に世代を牽引してきたエースだ。

「子供の頃から憧れ、夢見てきた日本代表に選出していただき嬉しく思っています。日頃から自分を支えてもらっている皆さんに感謝したいです。ただ、選ばれたことがゴールではないので、スタートラインとしてしっかり自分を出して活躍して、もっと自分自身を成長させていきたいと思います。楽しむことを忘れず頑張ります!」

 注目を浴びたのはやはりパリ五輪。年代別代表の常連だった斉藤だが、悩まされたのは度重なる怪我だった。特にパリ五輪前年の2023年10月に右ハムストリングを負傷して手術を受けた。五輪へ暗雲かーー。3か月半の離脱は精神的にも追い込まれた。当時はオランダのスパルタ所属。だが、保有元のロンメルがシティ・フットボール・グループなことから、1人でマンチェスターへ渡り手術を受けた。そのあと当日に4時間半かけてタクシーで帰り、その後再びシティのリハビリ施設へ。ホテル暮らしで不自由も多く、孤独と戦う日々は「キツかった」。だが、その時期を乗り越えたからこそ、メンタル面でも大きな成長を遂げ、パリ五輪で飛躍することができた。

 あれから1年が経った。今度は日本でトップの舞台に上がる。森保監督は「彼がレギュラーとしてチャンピオンシップのタフな戦いを乗り越えて成長してくれれば、さらに日本の戦力になってくれるのではないか」と将来性にも期待を寄せた。斉藤にとって貴重で大きな挑戦がスタートする。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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