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「お金だけじゃない」ブラジル戦実現の舞台裏 描く強化プラン…3月には欧州遠征の可能性

日本代表は来月に国際親善試合でブラジル、パラグアイと対戦
北中米W杯が控える来年、そして10年後、100年後……日本サッカーが辿る未来図をどう描くべきか――。日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖会長が「今」と「これから」を語る「FOOTBALL ZONE」の独占インタビュー。過去、現在、未来に視点を向け、サッカーを愛するすべての人々とともに歩むための設計図を描く宮本会長の考えに迫っていく。今回は10月に実現するブラジル代表、パラグアイ代表との強化試合について。W杯本大会を見据えて行われているマッチメイクの意図と強化プランの狙いを聞いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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◇ ◇ ◇
北中米W杯まで残り9か月。森保ジャパンの本大会に向けた強化プランがスタートした。9月には北中米W杯開催国のアメリカ遠征を敢行。同国、メキシコ代表との対戦は約2年ぶりのアジア勢以外とのカードとなった。そして、10月にはビッグマッチを控える。南米の強豪ブラジル、パラグアイとの親善試合を実施。特に世界ランキング5位のブラジルは5回のW杯優勝を誇る世界最高峰の一角で、パラグアイも南米予選を戦い抜く実力を持つ強豪だ。
世界的に見てもトップクラスの実力、実績を誇るブラジルをはじめとする列強とのマッチメイク。宮本会長はその狙いをこう明かす。
「ほぼ現場からの声を尊重して、こういうところとやりたいというのが上がってくる中で、それを元に交渉しています」
森保監督をはじめとする現場スタッフの要望を最優先に、マッチメイクを進める姿勢を貫いてきた。そして、今回のアメリカ遠征とブラジル、パラグアイとの対戦が実現した。
特に王国ブラジルとの対戦実現は容易ではない。しかも、敵地に赴くのではなく、ブラジルを日本に招いての対戦となる。
「ブラジルも人気の国だから、いろいろなところから声もかかるし、いろいろなお金も動く。マッチメイクにつながったのは、お金だけじゃないものもある。日本とやれることのメリットを感じてもらえる力が大事になる」
アジア最終予選でも圧倒的な強さを誇り、世界最速でW杯出場を決めた。遠藤航や久保建英、三笘薫といった面々をはじめ、ほとんどの選手が欧州でプレーしており、その実力は世界的にも一目置かれ始めている。W杯本大会に向けて、アジアの強豪と戦うことをブラジル側もメリットとして捉えたのだろう。
「もうひと押し」 宮本会長が“直談判”
宮本会長自身も積極的に動いた。「例えば、FIFAの総会が5月にあった時に、もうその時点でブラジルとの話は進んでいたので、顔を合わせてもうひと押ししたりはした」。協会トップによる“外交”である。「対戦したい相手の会長さんに会った時は『今度、東京に来て対戦してよ』とストレートに言ったりもします。やっぱりフェイス・トゥ・フェイスでやるというのはすごく大事」。自らブラジル協会会長への念押し、一押しを行った。
本大会に向けた強化試合には明確な狙いがある。9月は開催国のアメリカ、メキシコと対戦。「アウェーというかW杯をやる国でやれるのはすごく大きい」。開催地での試合経験を積むことが何より重要だ。続く10月の南米勢との対戦にも戦略的な狙いがある。
「アジアカップで苦しんで、アジアの国への対応をして、最終予選を勝ちきった。今度はまた違う対戦相手とやるというところで、準備という観点でいろんなタイプの国でやるというのはすごく大きい」
アジア杯では準々決勝でイランに敗れ、アジアでの戦いの難しさを痛感させられた。その後の最終予選では中国戦の7-0大勝を皮切りに圧倒的な強さを見せつけた。ただ、W杯本大会で勝ち上がっていくためには、アジアとは異なるスタイルを持つ相手との対戦が見込まれるだけに、バラエティーに富んだ強化プランが求められる。
さらに来年3月のインターナショナルマッチウィークでは、W杯予選の戦いを終えた欧州の強豪との対戦も視野に。遠征が実現すれば、日本代表にとってもW杯を控えたなかで、欧州を拠点に置く選手のコンディションを維持することができる。
「ヨーロッパの国とやれるチャンスっていうのは3月にあって、それを実現するには、来てもらうよりも行った方がいいが、様々な観点でベニュー(開催地)は決めないといけない。今話せるのはそれくらい」
協会としても、森保ジャパンが本大会で躍進するために、あらゆるプランを考えている。9月のアメリカ遠征、10月の南米勢との対戦という一連の強化プランは、W杯本大会に向けた重要なステップとなる。開催国、南米の強豪との真剣勝負で、日本サッカーの新たな扉が開かれることを期待したい。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)





















