【プレミア開幕】時速36kmでゴール&アシスト量産 リバプールに変革もたらす攻撃型サイドバック

リバプールのジェレミー・フリンポン【写真:ロイター】
リバプールのジェレミー・フリンポン【写真:ロイター】

プレミア初挑戦名鑑:リバプールDFジェレミー・フリンポン(オランダ代表)

 プレミアリーグ2025-26が開幕を迎えた。「FOOTBALL ZONE」では2025-26シーズンからプレミア初挑戦を飾る選手を紹介。今回はリバプールに加入したオランダ代表DFジェレミー・フリンポンにスポットライトを当てる。リバプールの中核として活躍しつつ、レアル・マドリードへと移籍したイングランド代表DFトレント=アレクサンダー・アーノルドの後釜に指名されたわけだが、前任者を凌駕するスタッツが際立っている。(参照:データメディア「Opta Analyst」、現地メディア「LIVERPOOL NEWS247」)

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 3000万ポンド(約56億円)で加入したフリンポンのリバプール移籍は以前から注目されていた。2025年1月のインタビューでは、かつてリバプール加入寸前だったことを明かしており、少年時代にマンチェスター・シティを選んだ背景には「通いやすさ」があったと語っている。また、同年3月の代表合流時にはMFライアン・フラーフェンベルフにスカウス訛りで挨拶するなど、移籍を予感させる一幕もあった。

 レバークーゼンでは現レアル指揮官のシャビ・アロンソ監督の下、右ウイングバックとして活躍。2023-24シーズンにはクラブ史上初のブンデスリーガ無敗優勝に貢献し、DFBポカール制覇、UEFAヨーロッパリーグ準優勝も経験。公式戦47試合で14得点10アシストを記録し、攻撃面で強烈なインパクトを残した。昨季も公式戦48試合で5得点9アシストと安定した成績をマーク。2シーズンでシーズン90試合超に出場し、フィットネスの高さと継続性を証明した。

 そして迎えた2025-26シーズンのプレミアリーグ開幕節。フリンポンはホームでのボーンマス戦(4-2)に右サイドバックで先発出場し、プレミアデビューを果たした。攻撃面での数値は、チャンス創出0回、ファイナルサードへのパス1本、相手ボックス内でのタッチ0回と厳しい内容だった。一方、スピードとオフ・ザ・ボールの動きによって、右サイドのモハメド・サラーに大きなスペースをもたらしていたのは今後の礎となりそうだ。

 想定以上だったのは、守備面での貢献だ。フリンポンは試合中に最高時速22マイル(約35.4km/h)を記録し、相手のカウンターにも素早く戻って対応。試合途中で交代した直後にリバプールが2失点を喫したことからも、そのリカバリー能力の重要性が浮き彫りとなった。守備スタッツでは、クリア2回、インターセプト1回、ボールリカバリー1回を記録。さらに地上戦デュエルでは4回中3回に勝利し、成功率75%という数字を残している。これにより、かねてから守備に不安があるとされたアーノルドに代わる守備的アップグレードとして期待が高まっている。

 フリンポン最大の武器はスピードとボールキャリー能力だ。2024-25ブンデスリーガでは1021回のスプリントでリーグ2位を記録し、トップスピード36.34km/hは、アタッカー陣を含め、同リーグ7位だった。ボールを運ぶ力にも長けており、5メートル以上のドリブル(キャリー)において平均前進距離8.3メートルを記録。これは今季250回以上キャリーを試みたブンデスリーガ選手の中で2位に相当する。109回のキャリーで10メートル以上の前進を達成しており、止めるのが難しいタイプの突破力を持つ。
 
 一方、プレースタイルはアーノルドとは対照的。アレクサンダー=アーノルドが昨季299本のロングパスを記録したのに対し、フリンポンはわずか32本。代わりにドリブルでの前進やサイド突破からのクロスを武器とする。クロス精度も、昨季ブンデスリーガで116本のオープンプレークロスを放ち、22本が成功。アーノルドの23本とほぼ同等の水準であり、ペナルティエリア付近まで深く侵入してからのクロスが多いのも特徴だ。

 守備面でも過小評価されがちだが、ブンデスリーガ2024-25シーズンではドリブル突破を許した率が24.5%と、リーグでも上位の数値を残している。また、マンチェスター・シティ在籍歴があるため「ホームグロウン枠」として登録可能な点もクラブにとってプラス。右ウイングでもプレー可能で、アフリカ・ネイションズカップで離脱するFWモハメド・サラーの穴埋め役としても期待される。しかし21日にスロット監督が代表ウィーク明けまで負傷離脱することを明かし、リバプールにとっては手痛い離脱となる。今季新風を吹き込むであろうスピードスターは、アーノルドを超える存在としてプレミアで名を残すことができるのか、世界最高の右SBへの挑戦が始まる。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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