【プレミア開幕】102試合97ゴール…規格外のストライカー参戦 アーセナルにもたらす”期待”と”懸念”

アーセナルのヴィクトル・ギェケレシュ【写真:ロイター】
アーセナルのヴィクトル・ギェケレシュ【写真:ロイター】

プレミア初挑戦名鑑:アーセナルFWヴィクトル・ギェケレシュ(スウェーデン代表)

 プレミアリーグが開幕を迎えるなか、「FOOTBALL ZONE」では2025-26シーズンにプレミア初挑戦を飾る選手を紹介。今回はアーセナルに加入したスウェーデン代表FWヴィクトル・ギェケレシュにスポットライトを当てる。ブライトン時代はリーグカップに出場したものの、プレミアリーグの試合出場は叶わなかったなか、時を経てワールドクラスのストライカーとしてイングランドに帰還したギェケレシュがついに、プレミアでデビューを飾る。(参照:データメディア「Opta Analyst」)

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 ギェケレシュは昨季、ポルトガル1部スポルティングで圧巻の成績を残し、アーセナル移籍を勝ち取った。2024-25シーズンのプリメイラ・リーガでは33試合で39得点、公式戦全体では52試合54得点、スポルティングに加入してからは通算102試合97ゴールという驚異的な数字を記録。満を持してイングランドに帰還し、移籍金は総額7600万ユーロ(約132億円)と報じられている。

 単なる得点マシンではない。ギェケレシュはオフ・ザ・ボールの動き、創造性、献身性にも優れた万能型ストライカーとして知られる。だが、アーセナルが最も求めたのはゴール前での決定力だ。ギェケレシュのデータはその期待に応えるものだ。

 ただし、懸念材料も存在する。ポルトガルでの活躍がイングランドで通用するとは限らない。過去にはプリメイラ・リーガで得点を量産しながら、プレミアリーグでは思うように結果を出せなかった選手もいる。近年では、ベンフィカから移籍したウルグアイ代表FWダルウィン・ヌニェス(リバプール→アル・ヒラル)がその代表例と言えるだろう。また、ギェケレシュの得点は下位チーム相手に偏っていた傾向も見られる。昨季のリーグ戦で挙げた39得点のうち、下位4チームとの7試合で17得点(全体の43.6%)を記録。一方で、2位〜5位の上位チームとの8試合ではわずか2得点にとどまった。

「Opta」のパワーランキングによると、ポルトガルリーグは世界で8番目のレベルとされており、プレミアリーグとは大きな差がある。実際、ギェケレシュが得点を挙げた相手チームの多くは、ランキングでイングランド2部(チャンピオンシップ)以下に位置付けられている。

 もっとも、ギェケレシュはイングランドでも実績を残している。スポルティング加入前は2部コヴェントリー・シティに所属し、チャンピオンシップで通算38得点をマーク。環境への適応力は証明済みだ。

 さらに、昨季のUEFAチャンピオンズリーグでも8試合6得点(xG4.6)を記録。リールやRBライプツィヒ、マンチェスター・シティといった強豪相手にも得点しており、欧州トップレベルでも実力を発揮している。欧州ゴールデンシューでは2位に終わったが、これはプリメイラ・リーガの得点係数(1.5倍)が影響してのもので、39得点は十分に評価される数字だ。1シーズンで39得点以上を記録した選手は、ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシ、ポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキ、元ウルグアイ代表FWルイス・スアレスに限られる。

 そして何より、現在アーセナルが抱える課題の解決策としては適任だ。アーセナルは昨季、リーグ戦で2桁得点者がゼロ。得点王はドイツ代表FWカイ・ハフェルツの9得点だった。とりわけ、守備的に引いた格下相手への得点に苦しみ、勝ち切れないドローを積み重ねてしまったのが、プレミア制覇に及ばなかった大きな要因となった。

 ギェケレシュの決め切る得点力が加われば、勝ち点を取りこぼした相手にも確実に勝利を重ねられるだろう。そういう意味では、アーセナルにとっての”ラストピース”という表現もできる。兎にも角にも、アルテタ監督はギェケレシュに賭けた。その決断がタイトル獲得という形で実を結ぶかどうか、注目が集まる。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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