顔を見た瞬間…溢れ出た涙「彼がいなかったら今はない」 言葉に詰まり「すみません」

神戸30周年記念チャリティーマッチに出場した永島昭浩氏【写真:徳原隆元】
神戸30周年記念チャリティーマッチに出場した永島昭浩氏【写真:徳原隆元】

永島昭浩氏が語るスチュアート・バクスター氏「彼ほどの人格者はいなかった」

 ヴィッセル神戸は8月2日、ノエビアスタジアム神戸で30周年記念チャリティーマッチ「LEGENDS MATCH」を開催した。ミスター神戸として活躍した永島昭浩氏は、KOBE DREAMSの監督を務めながら選手としても出場。試合後にスチュアート・バクスター氏の話になると言葉に詰まり、「すみません」と語った。

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 1995年1月17日、誕生したばかりの神戸の初練習が予定されていた日の朝に阪神・淡路大震災が発生。当時、清水エスパルスでプレーしていた永島氏は、同年のシーズン途中に故郷の神戸へと移籍した。そのときに神戸を率いていたのが初代監督のバクスター氏。今回の試合で再会を果たすと、涙を堪えられなかった。

「もう本当に顔を見た瞬間、ちょっと涙が溢れていたんですけども。彼がいなかったら、おそらく今のヴィッセルはないと思いますし、本当に大変な時期に踏ん張って、神戸のクラブに寄り添った指導をしていただいた。彼ほどの人格者はいなかったと思うし、彼が初代の監督で、本当に良かったなと思います」

 試合前に行われたトークショーでも、「ちょっと走馬灯のように昔のことがリアルに映像として蘇ったもんですから」と感極まった永島氏。「僕だけではなくて、関係者全員が苦労したと思いますし、何よりも被災者の方や、多くの方が苦しんだなかでの時間を多くともに過ごしたので」と絆の強さを明かした。

 1996年には永島氏がエースとして17ゴールをマークし、JFL準優勝でのJリーグ昇格に貢献。「その辺もやはり良い舵取りで、バクスターが先頭を切ってくれたことが、チームとしてもJリーグにつながったと思います」と歓喜の瞬間を思い出した。それから30年、神戸はJリーグを代表するクラブへと成長した。

 迎えたこの日、ピッチに入るときに深く一礼した永島氏。試合後、そのときの思いについて問われると、しばらく言葉に詰まり沈黙。「今こうやって毎日仕事があって、準備ができて、考えることができて、人と交わってということをできる環境が非常に僕にとっては感謝しかないんですけども」と語り出した。

「その原点を考え、何が大事かということを教えられたのが、この地でもあったので。そういう意味ではまたこういう形で、いい準備ができてプレーすることへの感謝の気持ちがあったと思います」と理由を明かしたミスター神戸。涙を堪えながら故郷への思いが溢れ出し、最後には、「すみません」と漏らした。

(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)



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