Jリーグの秋春制移行は「最大の成長機会」 イタリア人が提言…日本人選手に求める“心構え”

欧州挑戦の日本人選手へ「もっとオープンマインドであるべき」
アルベルト・ザッケローニ氏が率いた日本代表チーム(2010年~14年)でテクニカルアシスタントコーチを務めたイタリア人のジャンパオロ・コラウッティ氏。欧州と日本サッカーの潮流を知るイタリア人コーチは、Jリーグの秋春制移行を「最大の成長機会」と捉えている。その一方、欧州で活躍する日本人も増えるなかで、自らの殻を破るために不可欠な資質とは何か。世界への扉を開くための心構えを説く。(取材・文=倉石千種)
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――イタリアは指導者の層が厚いという印象があります。
「イタリアには確かに伝統ある監督養成システムがあります。日本からイタリアに学びに来る指導者も増えていますし、ラツィオやインテルのもとを訪れたケースもあり、指導者の育成も日本で着実に進んでいると思います」
――そうした交流は日本サッカーの成長につながりますか?
「間違いなく助けになります。高いレベルを目指すなら、選手であれ指導者であれ、国際的な経験が欠かせません。育成年代でもA代表でも、他国と交流し、学ぶことが重要です。2026-27シーズンからJリーグが欧州と同じ秋春制になれば、日本のリーグもおおむね欧州と同じ時期に始まり、終わるようになります。例えばJクラブがヨーロッパ合宿を計画することもできるし、準備期間に欧州のクラブと対戦できれば学ぶ機会になります。イタリアには、日本のように設備が整った合宿施設は少ないかもしれませんが、いくつか優れた施設も存在します。日本の選手たちをスペイン、ドイツ、フランス、イングランド、イタリア、オランダなどに連れてきて、実際にプレーさせる。欧州の関係者に見てもらうチャンスでもありますし、それが最大の成長機会になるかもしれません」

――多くの日本人選手が欧州でプレーしています。今、最も注目しているリーグは?
「今、最も“美しい”リーグはイングランドのプレミアリーグ。スペインやフランスもレベルが高いですが、リーグと代表は少し別物です。ただ、フランスは育成環境が素晴らしい。選手を育てる土壌があり、実際に多くの優秀な選手が育っているし、選手層も厚いです」
――現在、世界でトップと言えるリーグは?
「やはりプレミアリーグですね。ヨーロッパで今最も重要なリーグです。次いでスペインのラ・リーガ。イタリアは過去の栄光の記憶にとどまっていてはいけない。ドイツのように、イタリアも若手が出場できる機会を増やし、再び競争力を取り戻す必要があると考えています」
――日本人選手がセリエAで活躍する可能性はどう見ていますか?
「日本人にも優秀な選手が多くいます。私がクラブの会長なら、EU圏外選手枠すべてを日本人選手に使う。日本人選手が真面目で、プロ意識が高いのはよく知っていますから。もちろん、現地の環境などに上手く適応できるかどうかはまた別の問題。かつてイタリアでもプレーした長友佑都のようなオープンマインドが望ましい。彼のことは『ジャポレターノ』(ジャポネーゼ+ナポレターノ)と冗談で呼んでいるぐらいですから(笑)」
――欧州で活躍するため、日本人選手に求められる資質をどのように考えますか?
「世界へ出ていくならば、技術面はもちろんですが、日本人選手はもっとオープンマインドであるべきです。堂々とチームに入っていける明るさや強いメンタルが必要です。若いうちに世界に飛び出すことで扉は開かれ、自分の殻も破れる。現実に触れることで、人は大きく成長できると思います」
(倉石千種 / Chigusa Kuraishi)

倉石千種
くらいし・ちぐさ/1990年よりイタリア在住。1998年に中田英寿がペルージャに移籍した時からセリエAやイタリア代表、W杯、CLをはじめ、中村俊輔、本田圭佑、長友佑都、吉田麻也、冨安健洋など日本人選手も取材。バッジョ、デル・ピエロ、トッティ、インザーギ、カカ、シェフチェンコなどビッグプレーヤーのインタビューも数多く手掛ける。サッカーのほか、水泳、スケート、テニスなど幅広く取材し、俳優ジョルジョ・アルベルタッツィ、女優イザベル・ユペール、監督ジュゼッペ・トルナトーレのインタビューも行った。





















