韓国に響いた指揮官のゲキ “バラバラ”急造チームが10日で激変…徹底した「基準」の舞台裏

「世界トップ基準」を求め続けた
森保一監督率いる日本代表は7月15日、韓国で行われたE-1選手権の第3戦で同国代表を1-0で下し、3連勝で大会2連覇を飾った。初の完全優勝で3度目Vのチームだったが、立ち上げ当初は森保監督の“ゲキ”からスタートし、それぞれの目標もバラバラ。だが、約10日間で急造チームを作り上げた。その舞台裏には指揮官をはじめ経験者たちのアプローチがあったーー。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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「待って! 待って! コーチから言われるだけじゃなくて自分たちで要求して! 出るよ試合の時に」
初戦のホンコン・チャイナ戦(6-1)から2日後の練習。前日はGK2人の特別トレーニングでフィールド選手だったため、この日が全体練習の再スタートだった。酷暑で集中力も削がれる中で、スローイン練習ではミス連発。名波浩コーチの声だけが響き渡り、痺れを切らした森保監督がチームにゲキを飛ばした。
このシーンは公開練習終了の数秒前だった。指揮官のカツは選手・スタッフだけでなく、報道陣も含めてピリッとした空気が流れた。それから4日後の全体練習、最終日。3チームに分かれたボール回しでは各組から大きな声が飛んだ。主将のDF長友佑都だけでない、若手も初招集も関係なく明るい雰囲気を作り出していた。わずか10日ほどで「チーム」になっていた。
まず、徹底したのが「世界トップ基準」だった。FWジャーメイン良は「例えばミーティングで1つのミスやポジショニングをしっかり指摘されるので、そういうところは90分通してパーフェクトにやらないといけない」と話す。長友も「練習のちょっとしたミスも含めて、世界のトップ・トップがそういうミスをやるのかとか、そういうところまで細かいところまで突き詰めている。みんなびっくりしてるんじゃないですかね。ここまで代表はやっているんだ、だから結果が出ているんだなっていうのはみんな思っているし、意識が確実に上がってます」と、目線を世界へ向けさせた。
名波コーチや斉藤俊秀コーチらは選手個々に的確な戦術を落とし込み、リラックスルームでは長友主将がかつて4大会出場したW杯について説く。1日フルで頭を使いつづけ、初招集14人の経験浅い若手たちも自然と自らの目標が定まっていった。
「より今回の活動を含めてW杯に行きてえなって心の底から思えた。今までは実際どうなんだろってのはありましたが、いろいろな話を聞いたり、スタッフもそうだけど、刺激的な環境でやることで、自分の成長につながると思う」(早川友基)
今大会は長友やDF植田直通、MF相馬勇紀、MF稲垣祥、MF川辺駿ら経験豊富なメンバーと18歳MF佐藤龍之介をはじめMF大関友翔、MF俵積田晃太、MF宇野禅斗ら若手も多く招集された。最初はそれぞれの立ち位置も目指すべき場所もバラバラ。だが、長友や名波コーチ、斉藤コーチ、前田遼一コーチ、長谷部誠コーチを含めてスタッフが日々を無駄にせずアプローチし続けた結果だった。
「選手たちはこの代表活動を通してW杯に向けて本気で夢として本気で自分がその場にいたいという思いを持ってくれたこと、本当に嬉しく思っています。我々コーチングスタッフで世界トップ基準ということで今回の招集した選手たちにも高い要求をしました」(森保監督)
E-1選手権メンバーも来年の北中米W杯に目が向いていなければ本当の意味で日本代表の底上げにならない。今大会の優勝を持って、国内組は“突き上げ”を改めて証明した。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



















