窮地でライバルに託した「後を頼む」 1年3か月ぶり先発復帰、ダービーで紡いだ友情のストーリー

G大阪はC大阪との大阪ダービーで2018年以来の7年ぶりとなるアウェー勝利
ガンバ大阪は7月5日、J1リーグ第23節でセレッソ大阪と対戦して1-0の勝利を収めた。50回目の大阪ダービーは意地と意地がぶつかる好ゲーム。DF半田陸が魂のゴールを押し込んで2018年以来、7年ぶりの敵地で白星を手繰り寄せた。前節の完敗から守備立て直しに大きく貢献したDF三浦弦太は昨年4月28日の鹿島アントラーズ戦以来、約1年3か月ぶりのリーグ戦先発復帰。脳震盪疑いでDF福岡将太と交代するまでの58分間、最終ラインの一角で体を張り続けた。チームに“カツ”を入れられる漢が戻って来た。
何より“気持ち”をプレーで示した。1-3で完敗した前節の京都サンガF.C.戦を悔い改め、守備を立て直した。ポヤトス監督は福岡に代わって三浦をスタメン起用。「相手のハットン選手やいいクロスがあるルーカス選手、相手の特徴を見て弦太の方が守れると思い起用しました」と、流れを断ち切るために託した。前半から相手の脅威となるサイド攻撃を最終ラインは食い止め無失点。後半25分にコーナーキック(CK)の流れから拾ったMF満田誠がフリーのMFネタ・ラヴィへパスを供給し、ネタ・ラヴィのシュートをDF半田陸が背中でコースを変えてゴールへ流し込んだ。三浦は58分間で退いたが、代わって入った福岡もクリーンシートに貢献した。
G大阪へ加入してから9年になる。日本代表にまで上り詰め、主将も務めてきた功労者。昨年4月に右膝前十字靭帯断裂、右膝内側半月板損傷の大怪我を負って、長期離脱を強いられた。長い長いリハビリを経て、戻ってきたリーグ戦のピッチがダービーだった。
「出るからにはやっぱり無失点にこだわりたかったし、自分のストロングとしている部分を出しながらチームに勢いを与えれたらという思いもあった。長くガンバにいさせてもらって、このダービーの大切さは分かっている。いつもターニングポイントになるタイミングでダービーがあるイメージが僕はあって。それを1個ものにできたのは大きい」
一方でベンチスタートとなったのは三浦の負傷後、最終ラインをずっと支えてきた福岡。京都戦の完敗で自身のメンタル面でも「個人的にもすごくイライラした週だった」と多く悩み、「今週の自分には反省している」とダービーを迎えた。三浦が起用され「いい意味での競争、負けたくない気持ちもまた芽生えた」という。複雑な胸中だったが、それは三浦の一言によって力へと変わった。
「後を頼む」
バトンを受け継ぎ、全員で意地を見せる守備を笛がなるその瞬間まで発揮し続けた。そして掴んだ勝ち点3。ポジション争いする2人だが、互いに互いの存在なくしては今の自分はない。そうしのぎを削ってきた。
この1勝はただの1勝ではない。重圧をはねのけて大きな自信を手にした。白星に詰め込んだたくさんの収穫を次節から再び実らせてくれるはずだ。