「勝ち点ください!!!」でバズったアイドル・佐野心音 ライブ後にスタジアム直行…貫く“横浜FM愛”

アイドルグループ・Peel the Appleの佐野心音【写真:増田美咲】
アイドルグループ・Peel the Appleの佐野心音【写真:増田美咲】

弟や父親と日産スタジアムで観戦

「勝ち点ください!!!」――。横浜F・マリノスのユニフォームを着て、チームの勝ち点獲得を願う“懇願投稿”がネットニュースとなり、ユニフォーム姿でスタジアム観戦する姿も取り上げられた女性サポーターがいる。その正体は、アイドルグループ・Peel the Apple(通称ぴるあぽ)の佐野心音。神奈川県生まれのライブアイドルが、サッカー選手の“推し”を持つようになったルーツを探った。(取材・文=小田智史)

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――佐野さんは4月、5月とF・マリノスのユニフォームを着たXの投稿がメディアに取り上げられ、SNS上でも注目を集めました。反響は大きかったですか?

「私、記事になっていたのを知らなかったんです。朝起きたら、F・マリノスを応援しているファンの方から『記事になっていますよ』と言われて、『何これ!』とびっくりしちゃって(笑)。スタジアム観戦に行った際のSNS投稿は、普段のインプレッションとかいいねの数と全然違うので。改めて記事にしていただいて、注目していただいたことを肌で感じました」

――サッカー好き、F・マリノス好きになったきっかけは?

「ずっと神奈川県に住んでいるので、身近にF・マリノスがありました。弟はずっとサッカーをやっていたし、父親もサッカーが好きで、日本代表戦も家族でテレビを観ていました。親戚もスタジアム観戦に行くくらい、私の周りはみんなF・マリノス好きです。初めてスタジアムでサッカーを観たのは、日産スタジアムでのキリンチャレンジカップでした。F・マリノスの試合を観戦しに行くようになったきっかけは、アウェーゲームのチケットがすぐに完売してしまって観られない悔しい経験が何回か続いた中で、昨年4月にようやく日産スタジアムに行けた時に目覚めました(笑)。サッカーの大きなピッチを目の前にして、こんなに広いピッチで90分間走り続ける選手たちは凄いと改めて感じて、『私ももっと頑張らなきゃ!』と刺激をもらって応援したいと思いました」

――普段はどのように観戦を? 5月14日に日産スタジアムで開催されたJ1リーグ第14節の横浜F・マリノス対柏レイソル戦は、佐野さんとは別に同じメンバーの佐藤涼風さんもスタジアムに足を運んでいて、「今度は一緒に行こう」と約束していましたね。

「私はほぼ家族としか行かないです(笑)。弟と行った時は全部私のおごりです。スタグルを買って半分ずつ食べたり、楽しく観戦しています。去年は三ツ沢(ニッパツ三ツ沢球技場)にも行って、父親と観に行った(24年6月の第13節)サンフレッチェ広島戦は(3-2)と逆転で勝利して、一緒に歓喜しました」

――観戦に行った際、アイドルだとバレたりしませんか?

「F・マリノスのサポーターの方はとても優しくて、声をかけずに見守ってくださり、後日『見かけました』と聞いたりすることがあります。弟は私とあまり似てないんですけど、父親はもうそっくりなので、隣に私と似ている男性がいると思われているかもしれません(笑)」

――ちょっとした推し活ミス、ちょっと恥ずかしかった照れ話などはありますか?

「う~ん……、どうだろう(苦笑)。時間ギリギリに行ったら、駐車場が空いてなくて、遅れて参戦したとかはありますけど、スタジアム内での失敗談はないかもしれません。あえて言うなら、今年の開幕戦で、プレゼントがもらえるハーフタイム抽選で私たちの後ろにいたちびっ子が当選して、父親がスタジアムの大型ビジョンに映り込む事態になりました(笑)」

“推し”選手は喜田拓也【写真:増田美咲】
“推し”選手は喜田拓也【写真:増田美咲】

夏フェスの出番後にスタジアム直行の“ガチぶり”

――アイドル活動とサッカー観戦の両立は、難しさを伴うようにも思えます。

「全然、苦じゃないです。むしろ、マネージャーさんに『この日(サッカー観戦に)行っていいですか?』って頻繁に聞いています(笑)。仕事が入るかもしれないので、基本的に4日前までは予定を空けておかないといけないルールがあります。でも、今年の開幕戦だけはどうしても行きたくて、かなり前からお願いし続けて、無理やりこじ開けてもらいました(笑)。大々的に言ったら行けるかもと思って敢えてX上でやり取りして(笑)、OKが出て、『よっしゃー!!』となりました。3-1で勝った(25年5月25日の第18節)鹿島戦はライブでスタジアムには行けなかったんですけど、試合がライブの合間の時間で、ゴールを見てからステージに立ったのですごく機嫌が良かったです(笑)」

――昨年7月には夏フェスの出演を終えたあと、そのまま日産スタジアムに向かってナイターを現地観戦(24年7月14日の第23節鹿島アントラーズ戦)するというフットワークの軽さも発揮しました。ライブやレッスンがあっても、佐野さんを突き動かす原動力は?

「その少し前(24年5月)にF・マリノスはACL(AFCチャンピオンズリーグ)で決勝を戦いました。私はキャプテンの喜田(拓也)選手を尊敬しているんですけど、(チーム密着)ドキュメンタリーで喜田選手がチームにかける熱い言葉を聞いて、サッカー選手とアイドル、職業こそ違えど、自分と重なる部分を感じました。『サッカー選手もこうやって悩むんだ』『チームを支える存在がいるんだ』と知って、もっと応援したいという気持ちが強くなったんです。だから、夏フェスの出番を終えて汗びしょびしょ、ボロボロになったあとでも、(F・マリノス)のユニフォームに着替えて、タクシーに飛び乗って、日産スタジアムに向かいました。会場についたのは試合残り15分くらいでしたけど(笑)。日産スタジアムに行くと気持ちが上がるというか楽しいし、『ここが自分のホームだ』という感覚に近い気持ちを抱くようになりました」

――佐野さんにとっては、喜田選手がいわゆる“推し”にあたる存在だと思います。「推しがいるから頑張れる」というのはありますか?

「私はアイドルという職業に対して、熱い思いを持ってやっているつもりです。喜田選手からもサッカーに対する熱い気持ちを常に感じます。喜田選手が(25年5月21日の第13節ヴィッセル)神戸戦でとんでもないゴラッソを決めた時、泣きそうになりました。もちろん他の選手も喜田選手と同じく『やってやるんだ!』という気持ちで戦っているとは思いますが、あそこでゴラッソを決められるのは喜田選手だからこそだなと感じました。覚悟が感じられるから、喜田選手について行きたくなるんです。一つひとつのインタビューを見ても、喜田選手の人間性が感じられて好きです」

「F・マリノスさんに関わるお仕事ができたら」と夢を口にする【写真:増田美咲】
「F・マリノスさんに関わるお仕事ができたら」と夢を口にする【写真:増田美咲】

“推しクラブ”の存在で「人生が楽しくなった」

――佐野さんは、F・マリノスのホームゲームでハーフタイムにライブをしたいと「夢」を公言しています。

「今一番の夢です! 私はF・マリノスを積極的に応援するようになってから人生が楽しくなったし、支えてもらったからこそ、自分たちが同じピッチに立って、F・マリノスのことを応援できたらいいなと思っています。もちろん、これまでもアイドルとしての夢はありましたけど、こうやって大々的に口にする夢はなかった気がします。いつかハーフタイムにライブしたいと言うようになったら、周りのファンの方も『絶対にあのピッチに立とう』と応援してくださるようになりました。もし、日産スタジアムでライブができたら、こんな凄いことはないので、絶対に叶えたいです!」

――他に、サッカーで挑戦してみたいことはありますか?

「今、アイドル界でF・マリノスのことをトップクラスで好きな自信があります! これからもずっと応援していきたいし、私たちぴるあぽがF・マリノスさんに関わるお仕事ができたら、きっと勝率を上げられます。アウェーを含めて、全国どこにでもついていきますので、ぜひ呼んでください! トリコロールを背負って応援できたら嬉しいし、応援番組にも呼んでいただける機会があったら、普段のライブでもMCをやったりしているので回せます!」

□佐野心音(さの・ここね)2001年8月28日、神奈川県出身。“Bメロの佐野”とも呼ばれる抜群の歌唱力、ダイナミックなダンスとパフォーマンス面でグループをけん引。熱いハートの持ち主で、ライブ中はあおり役としても存在感を発揮する。もしサッカーをやるとしたら、ポジションはボランチを志望。横浜F・マリノスのタオルマフラーを愛用し、日々のレッスンに励んでいる。

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