18位低迷も「悲観してない」 ”18/38”で「ガムシャラに」…同期の松木玖生らに「負けたくない」

FC東京を「覚醒させる若手」にフォーカス
J1リーグも全38試合中19試合を終え、シーズンは折り返し地点を迎えた。FC東京は現在18位と、残留争いを強いられている。そのなかで若手選手に焦点を当て、現状への思いや後半戦にかける意気込みを聞いた。今回はアカデミー出身のFW野澤零温。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・上原拓真)
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18試合を終えて「全部が全部悪かったわけではない」と振り返る野澤。今季は第10節の柏レイソル戦を除くすべての試合でベンチ入りし、リーグ戦8試合に途中出場。ルヴァンカップ3回戦・湘南ベルマーレ戦では今季初の先発出場を果たしている。
多くの試合でベンチ入りしながらも出場時間が伸びず、もどかしい日々が続く。それでも「チャンスがまったくなかったわけではない」と前向きに捉え、「しっかり数字を残していれば、もっと出場時間や出場数は伸びていたと思う」と自らの課題にも向き合っている。
1学年下のMF俵積田晃太は6月シリーズの日本代表に選出され、15歳でプロデビューを飾ったMF北原槙も台頭してきた。ライバルとも言える後輩たちの活躍を「嬉しい気持ちもあります」と感じながらも、「出場時間が少ない中でも、チャンスを作って、そこを仕留めきるっていう仕事をしないと、色々な人に抜かされていっちゃう」と危機感を募らせる。
そんな状況でも「すごいもどかしい気持ちはあります」と自分の感情に向き合い、悔しさや、もどかしさを良いエネルギーに変えられているという。
「チャンスがあったからこそすごい悔しかったというか、すごいもどかしい気持ちはあります。それが現状なので、それを受け入れて力に変えていかないといけない」
シーズン序盤では髪の毛の色をクラブカラーの青色に染め、ファン・サポーターの間でも話題になった。アカデミー出身の生え抜きだからこそ、FC東京というクラブへの想いは人一倍強い。「個人的にもチーム的にも難しい状況ですけど、やることは変わらない」とブラさずに前を見つめ、「自分の気持ちを結果で、皆さんに伝えていければなと思います」と、ファン・サポーターと向き合う姿勢も見せた。
FC東京U-18から昇格して今季で4年目。22年にはSC相模原、23年には松本山雅FCとJ3のカテゴリーでプレーしたなか、FC東京に復帰した昨季はJ1初ゴールも決めた。「自分のスピードだったり、抜け出しだったり、ドリブルだったりっていうところはどのカテゴリーでも通用するなと思っている」と、日本のトップカテゴリーでも自分らしさが出せる場面もあったと振り返る。
それでも、「個人で打開する力がもっともっと必要」とさらなるアップデートが必要なことも理解し、「通用する武器を磨いていければ、別にできないことはない」と自分がJ1で活躍するイメージもできている。
「絶対に負けたくない相手」に挙げた同期の3人
後半戦への意気込みを話すなかで、「絶対に負けたくない相手」について聞くと、同期でFC東京に加入したMF松木玖生、MF安田虎士朗、MF梶浦勇輝の名前を挙げた。
松木は今季、イングランド1部サウサンプトンからトルコ1部のギョズテペSKに期限付き移籍。安田はテゲバジャーロ宮崎、梶浦はFC今治でプレー。そんな3人の試合を「結構見たりしてる」と話す野澤。松木はトルコでストライカーのポジションでも活躍も見せたなか、「(ポジションが)もうなんか被ってるので」と笑いながら、「特別な感情がある」と話してくれた。
安田と梶浦は、2021年9月20日のリリースでトップチームへの昇格が発表されたアカデミーからの同期。「各々の場所でみんなちゃんと活躍してますし、しっかり評価してもらってると思ってる」とそれぞれの活躍を刺激にしながら、「絶対に負けたくない選手」について思いを馳せた。
「彼らとはやっぱりいい関係性でいたいですし、一緒に上がったからこそ負けたくないっていう気持ちはすごくあるので。やっぱり、同期には特に負けたくないなってのはありますね」
そして、「(3人を)本当にリスペクトしてますし、ただ自分もこのまず東京で。今与えられた場所で、アカデミーから昇格した若手として引っ張って中心になってやっていけたらなと思ってます」と、野澤の強い思いも垣間見えた。

18位からの巻き返しへ「自分のここを見てほしい」
巻き返しが求められる後半戦について「自分のここを見ろ」というテーマで話を聞くと、「そうだなぁ…」と少し考えながら、「自分のストロングポイントは見てほしい」と切り出し、「自分は『すごいわかりやすい選手』」と、ファン・サポーターに見てほしい自身の特徴を話してくれた。
「自分は本当に気持ちで戦ってる、じゃないですけど。必死に戦って、ガムシャラにやり続けて、チームのために、ファン・サポーターのために、っていうところが1つ特徴でもあるので。そこはずっと見てほしい」
今季の後半戦だけでなく、これからも“ガムシャラに戦い続ける姿勢”を貫くと誓った野澤。チームが置かれている立場を冷静に見つめながら、最後に力強く語った。
「別に悲観もしてないですし。これ以上、下がることはないぐらいまで来てると思うんで。これから、ひとりひとりもそうですし、クラブとしても上がっていくだけ。そこは全員で同じ方向に矢印向けてやっていきたなと思ってます」
(FOOTBALL ZONE編集部・上原拓真 / Takuma Uehara)