世代屈指FW君臨でFC東京の昇格街道から脱落 「調べたら長谷部誠さんの母校」…遅咲きストライカーが持つ覚悟

藤枝東の木全悠太【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
藤枝東の木全悠太【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

藤枝東FW木全悠太、9番の誓い「ゴールを決めないと納得できません」

 180センチと屈強なフィジカルを持ち、1トップとして最前線に君臨する藤枝東のストライカー・木全悠太。インターハイ静岡県予選準決勝の磐田東戦では、ゴールこそなかったが、前線からの守備、ポストプレーなど献身的なプレーを80分間、最後までやり抜いた。

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「やっぱり9番を背負っている以上、ゴールを決めないと納得できません。まだチームの勝利に貢献できていないと感じているので、決勝では必ず結果を出せるように1週間、妥協しないで準備をしていきたいと思います」

 木全は都心で生まれ、4歳から10歳まで父親の仕事の関係で中国の上海で過ごし、小学校5年生で帰国、中学時代はFC東京U-15むさしでプレーをしていた。なぜ彼は静岡の伝統校・藤枝東にやって来たのか。

「正直、藤枝東のことは知りませんでした」

 希望はU-18への昇格だった。だが、中学入学時はチームで2番目に背が低く、中学3年生でも170センチ。ポジションも中学途中からFWとなったが、ここには世代トップレベルの大型ストライカーである尾谷ディヴァインチネドゥがいた。自身の身体的な成長速度、強烈なライバルの存在もあり、U-18昇格が叶わなかった。

 当時、暁星中学校に通い、勉強も得意だったこともあり、サッカーと勉強が両立できる環境を探そうとしていた矢先、同じくU-18に昇格できなかったチームメイトの泉孝太郎が藤枝東に進むという話を耳にした。

「孝太郎に誘われたわけではないのですが、その話を聞いて、『藤枝東ってどんなところだろう?』と自分で調べてみたら、長谷部誠さんの母校で、全国優勝もしているし、有数の進学校だということが分かりました。それで孝太郎に聞いてみると、『文武両道ができる学校だよ』と教えてくれたので、『僕もそこに行こう』と思いました」

 すぐにFC東京U-15むさしのスタッフに伝え、練習会に行かせてもらった。ちょうどこの時、2学年上にはFC東京U-15むさしの先輩にあたる泉新之助(現・早稲田大、泉孝太郎の兄)と、188センチの大型ストライカーである植野悠斗(難関国立大に進学)が主軸でプレーしていた。

「孝太郎のお兄ちゃんは上手いし、植野さんはフィジカルが強くて、かつ上手い。2人とも勉強もすごく頑張っていって、『凄いな、かっこいいな』と思って、進学を決めました」

中学時代から一緒にプレーしてきた盟友に感謝「救ってもらった」

 藤枝東にやって来ると1年時から活躍する孝太郎に対し、トップに上がれない時間を過ごしたが、身長がさらに伸び、高2の途中で180センチに達すると、徐々にFWとして出番を掴めるようになった。

 そして、今年は植野がつけていた背番号9を託され、不動のストライカーとして最前線に君臨するようになった。

「今はようやくフィジカルもついてきて、相手を背負ったり、フィジカルコンタクトで負けずにできるようになった。成長が遅かった分、ここからだと思っているので、もっと貪欲にゴールを目指し、チームのために身体を張って、信頼されるFWになりたいです」

 そして中学時代からずっと一緒にプレーをしてきた孝太郎とのコンビもあと1年を切っている。

「試合中は孝太郎からのパスをいつも待っていますし、僕も常に集中してポジションを取ったり、動き出したりして、孝太郎のパスを逃さないようにしたい。準決勝(磐田東戦)は孝太郎に救ってもらったので、決勝は僕が救えるようにしたいと思っています。やらないといけないと思っているので、しっかりと準備したいです」

 7年ぶりの全国の扉を打ち破るのはエースストライカーである自分だ。遅咲きのストライカーは強い自覚と責任感を持って、決勝のピッチに挑む。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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