カズが58歳初出場へ「チャンスある」 指揮官が起用示唆…影響力に期待「サッカー界の長嶋ですから」

6月1日のマルヤス岡崎戦で今季初のベンチ入り
JFLアトレチコ鈴鹿FWカズ(三浦知良、58)が、ピッチに戻ってくる。調整不足などで出遅れていたカズだが、1日のマルヤス岡崎戦で今季初のベンチ入り。4日には山本富士雄監督がホームで行われる次戦(8日、対クリアソン新宿)での起用を示唆した。出場すれば昨年11月24日のリーグ最終戦以来6か月半ぶり、58歳初出場となる。
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チームの練習を終えた山本監督は笑顔で話した。「いつでもプレーできる状態にはあります。いいタイミングで使いたい」。オフ明けのこの日、カズは練習を欠席したが「休養にあてただけで、明日からは合流します。問題ありません」と説明した。
今季は開幕から出遅れ、その後も調子が上がると他の部位に痛みが出るなど一進一退。なかなか納得のいく状態に持ってこれなかった。それでも、練習試合や紅白戦で徐々に調子を上げ「点を取ったりゴールに絡んだり、いい動きをしている」と同監督は目を細めた。
変則日程だった5月を終え、週1回のリーグ戦が再開する6月の初戦でベンチ入り。マルヤス戦は強風でコンディションが悪く「なかなか使うタイミングがなかった」が、初めてカズがベンチに座った試合で0-0と引き分け。2試合で9失点と崩壊気味だった守備が粘り、3試合ぶりに勝ち点を獲得した。
「彼がベンチにいるだけで、まったく違う」と山本監督。「試合中ずっと声を出して、チームを鼓舞してくれる。チーム全体が前向きになるし、元気になりますよね。やっぱり『サッカー界の長嶋』ですから」と、前日に亡くなった長嶋茂雄さんに例えて話した。
チームは3分の1の10試合を終えて3勝3分4敗と黒星先行の11位。上位進出に向けて、カズを「起爆剤」にしたい考えだ。「ゴールに絡めるような場面で起用したい。走り回るようなことは難しくても、ボールが収まれば良さが出る。シュートだったり、ラストパスだったり、ゴールに絡む動きに期待しています」と話した。
シュート練習などでも、カズの技術は際立っているという。「PKの練習もしていますが、うまいですよ。動きの中でのゴールはもちろんですが、そういう場面でも任せられる」と、前身の鈴鹿ポイントゲッターズ時代以来、3年ぶりの公式戦ゴールにも期待した。
8日の新宿戦に向けて「(カズ起用の)チャンスはあると思います」と話した山本監督。3月の開幕から3か月、58歳のカズがファンの待つピッチに戻ってくる。
(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)
荻島弘一
おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。