森保J初選出の21歳は「不思議」 天才司令塔が見つけた…三笘ではなく久保に似た“特徴”

【専門家の目|高萩洋次郎】俵積田晃太のドリブルを分析
サンフレッチェ広島やFC東京などで活躍した元日本代表MF高萩洋次郎氏が、森保ジャパンに初選出された21歳のFC東京MF俵積田晃太に期待を寄せた。最大の武器であるドリブルの特徴や今後の伸び代など、“後輩”について言及した。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎)
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高萩氏がFC東京に在籍していた2022年2月にトップチーム登録(2種)された俵積田。試合に同時に出ることはなかったが、練習では何度か一緒にプレーしたこともあった。
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「僕がその年の7月ぐらいには栃木に移籍したので、一緒に出てはいないですけど、あのドリブルはすごいですよね。不思議ですよね。スルスルっといくので速そうに見えないんですけど、実際は速いですよね」
類稀な突破力から関係者やメディアからは「ネクスト三笘」と呼ばれることもあるが、「三笘選手とはちょっと種類違いますね」と見解を示す。そのうえで、もう一人の日本代表と共通する“特徴”を挙げる。
「タケ(久保)もそうだったんですけど、いつでもボールを触れる所にボールを置ける。体に近い所において、タッチが細かいですよね。相手が飛び込めないのは、取りに行って足を出したらかわされると思うからでしょうし、よーいドンになったらスピードで抜くことができる。三笘選手はタイミングとか、ボールを1回止めてとか、切り返しが深いじゃないですか。彼は切り返しが深いというよりは、スピードとドリブルのコースで相手をかわしている印象ですね」
4月25日のガンバ大阪戦では自陣でボールを受けると、ドリブルを開始。70メートルを独走し、3人をかわして今季初ゴールを挙げた。もし同じピッチに立ったら、司令塔として、抜きん出た特徴を持つ21歳を生かすために、どのようなアドバイスを送るのだろうか。
「最後(シュート)までいけるのは強みですよね。僕がたぶん一緒にプレーしたら、東京で一緒だった(永井)謙佑もそうだったんですけど、最後まで行けって言っちゃうと思います。GKまでドリブルでかわすぐらいのイメージで行った方がいいよと言うと思います」
今季クラブではウイングではなく、シャドーのポジションを任されている。これまでよりも中央寄りの位置からスタートすることで、本領を発揮できているとは言い難いが、さらなるプレーの幅を広げるチャンスだと見る。
「ポジショニングが違う分、彼の得意なパターンに持っていく数が少ないですし、まだ特徴を出しづらいのかなと思います。でも開幕前に東京に練習を見に行った時に、結構シャドーの位置からポケット(ペナルティーエリアのサイド付近)の所に飛び出していたんですよね。松橋監督のやりたいサッカーを意識してできていたので、柔軟性もあるのかなと。飛び出すタイミングは上手だったので。内側から外側に走ってボールを受けて、そこから仕掛ける場面が増えるといいなとは思います」
今回の森保ジャパンは俵積田を含め7人が初招集。それでも遠藤航や鎌田大地、久保建英ら主力も参加している。21歳が殻を破る“きっかけ”になる可能性がある。
「僕が2013年に初めて代表に行った時は、みんなこんなうまいんだと。また一段レベルが違う人とサッカーするのは刺激にもなるし、一種の挫折じゃないですけど、まだ全然レベル足りていないと感じれば、成長にもつながる。ヨーロッパで活躍している選手たちと一緒にやることできっかけになって、またさらにステップアップにもつながるんじゃないかなと思います」
(FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎 / Shintaro Inoue)

高萩洋次郎
高萩洋次郎(たかはぎ・ようじろう)/1986年8月2日生まれ、福島・いわき市出身。高校から広島ユースに入団。2003年4月のJ2湘南戦で、当時のJリーグ最年少記録となる16歳8か月3日で出場を果たした。同11月に17歳でプロ契約。2010年にナビスコ杯(現ルヴァン杯)でニューヒーロー賞を受賞。12年にはリーグ最多13アシストを記録し、広島の初優勝に貢献。ベストイレブンにも選ばれた。14年シーズン限りで広島退団後はウェスタン・シドニー・ワンダラーズ、FCソウルを経て、17年にFC東京に加入し、中心選手として活躍。その後は栃木SC、アルビレックス新潟シンガポールでプレーし、2025年1月に現役引退。日本代表では3試合に出場。