引退や移籍選手も…つないだ世界への道 浦和主将が込めた思い「いつもお祭り感覚になってしまうけど」

浦和の関根貴大【写真:徳原隆元】
浦和の関根貴大【写真:徳原隆元】

関根貴大がクラブW杯へ向けてコメント

 浦和レッズは6月1日のJ1第19節で横浜FCに2-1で勝利した。試合後にクラブ・ワールドカップ(W杯)へ向けて旅立つチームを代表して挨拶をした主将のMF関根貴大は、大会出場に向かってつないできた歴史に触れた理由を「サポーターに伝えるというよりも、仲間に伝えた部分もある」と話した。

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 今月半ばから米国で行われるクラブW杯に出場する浦和は、この横浜FC戦が出国前のラストゲームだった。前半に押し込みながらカウンターで失点した浦和だが、後半にMFサミュエル・グスタフソンの2ゴールで逆転勝ちした。試合前の時点で、結果にかかわらず挨拶を行うことが決まっていた関根は、これまで引退する選手や退団する選手のセレモニー前のゲームに敗れることが多かった歴史を思い返し「良くない状況を味わってきたので、逆転勝ちで良かったですね」と、少しホッとしたのだという。

 その挨拶の中で関根は「このW杯は今いる選手、スタッフだけでなく、たくさんの仲間たちが関わって出られる戦いでもあります。そういった選手たちの思いも背負って戦ってきたいと思います」という言葉を用いた。

 振り返れば、2021年に天皇杯で優勝したところから道がつながった。大分トリニータとの決勝では、アディショナルタイムにMF柴戸海のシュートをDF槙野智章が頭でコースを変えゴールに押し込んだ。槙野は浦和との契約満了が決まっていたラストゲームであり、今は現役を引退している。

 この優勝で22年にはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の戦いに臨んだ。天皇杯からこの年に行われた東地区の戦いまでを率いたのは、現柏レイソルのリカルド・ロドリゲス監督だった。現柏のMF小泉佳穂や現ファジアーノ岡山のMF江坂任がグループリーグから印象的な活躍を見せ、準決勝の全北現代(韓国)戦で延長戦終了間際の劇的な同点ゴールを導いたのは、DF酒井宏樹とFWキャスパー・ユンカー。いずれも、すでに移籍によりチームを離れている選手たちだ。

 そして、23年にはACLの決勝が行われ、アル・ヒラル(サウジアラビア)との決戦を制した。初戦のアウェーゲームで得点したFW興梠慎三は現役を引退し、今は浦和のクラブスタッフとして働く。最終ラインを支えたDFアレクサンダー・ショルツや中盤で持ち味を出したMF岩尾憲も、昨季途中で移籍によりチームを去った。もちろん、関根やGK西川周作のようにそれら全てを知る選手たちも残るが、そうした歴史の上に今回のクラブW杯への出場権がある。

 だからこそ関根は「選手一人一人が感じてプレーしなければいけないので、サポーターに伝えるというよりも、仲間に伝えた部分もあります。思いを乗っけてプレーしないといけないよということですね。いつもクラブW杯はお祭り感覚になってしまうと思いますけど、今回初めて4年に1回のクラブのW杯という形になり、いろいろな人たちが関わって出られる。今いる選手たちにとってはご褒美ではないので、その責任を強く持ってプレーしないといけないと思います。それを強く思っていたので、このようないい機会を無駄にしないようにしたいです」と話した。

 試合後のスタジアムに広がったビジュアル、バックスタンドに「URAWA AIR」の文字が入った飛行機が動いた演出は、23年のACL決勝の時にもあったもの。関根は「あの景色を知っている選手がだいぶ減ってしまいましたけど、サポーターの皆さんにもそういう意図があると思います」と受け止めていた。

 取材対応を終えた選手たちはあらためてスタジアム内でサポーターによる大声援での送り出しを受けていた。全ての始まりとなった天皇杯の初戦は21年の6月9日だった。まさに4年間にわたる集大成として、クラブ世界一を決める大舞台での戦いに臨んでいく。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

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