久保建英のレアル復帰は「ノー、可能性はない」 現地記者が課題指摘「ドリブルに頼りすぎ」

レアル番記者が語る久保の改善点「上手くいったらどのビッグクラブも欲しがる」
カルロ・アンチェロッティ監督とルカ・モドリッチのお別れムード一色に包まれたサンティアゴ・ベルナベウが、久保建英にとってスペイン6シーズン目最後の舞台となった。
【PR】DAZNを半額で視聴可能な学生向け「ABEMA de DAZN 学割プラン」が新登場!
久保は今季最終戦のレアル・マドリード戦で8試合連続の先発出場。クロスやスルーパスを狙ってドリブルを仕掛けるも、最後まで相手の堅固な守備を崩せず。チームは0-2で敗北し、最終順位はレアル・ソシエダ加入後ワーストの11位となった。
久保個人の最終成績は、公式戦52試合(先発40試合)、3493分出場、22勝9分21敗、7得点4アシスト。ラ・リーガのマッチMVPに9回選出され、クラブの地元紙「エル・ディアリオ・バスコ」による採点(最高5点)の合計がチームトップとなった(145点、1試合平均3.5点/2位アレックス・レミーロ135点、3位ミケル・オヤルサバル133点)。出場数、出場時間はともにスペインでのキャリアハイとなったが、得点とアシストは昨季と同じで、ソシエダ初年度の9得点6アシストを上回れなかった。
6月4日に24歳の誕生日を迎えるなか、イマノル・アルグアシル監督が去り、セルヒオ・フランシスコを新指揮官に迎えるソシエダ同様、久保にも変革の時が訪れるかもしれない。前述の地元紙が今季最後の久保戦評で、「我々は彼の残留を願う」と綴ったことが示すように、地元サン・セバスティアンも退団の可能性を感じているようだ。
今回はこのような状況にある久保について、スペインのラジオ局「オンダ・セロ」でレアル・マドリードの番記者を務め、ソシエダの今季最終戦を実況したアルベルト・ペレイロ・ムニョス氏に見解を聞いた。
――今季の久保のパフォーマンスをどのように感じていますか?
「私はラ・レアル(ソシエダの愛称)のファンであり、彼がスペインに来てから、マジョルカや短期間所属したビジャレアル、ヘタフェでプレーしてきた様子を見てきた。特にラ・レアルで多大な貢献をしているが、今季は多くの試合でパフォーマンスが不安定だし、そのことで彼自身も苦しんでいたように見える。もし今季もっとその点が上手くいっていたら、間違いなく彼は世界中のどのビッグクラブも欲しがる選手になっていたはずだ」

古巣レアル復帰と新天地予想「プレミアリーグが合わないと思っている」
――選手としてより大きくなるために改善すべき点はありますか?
「グティがレアル・マドリードでプレーしていた時のことをよく覚えているが、今の久保は彼に似ている選手だと私は思っている。グティはどのポジションでプレーしても一流だったが、もしもっと安定したパフォーマンスを発揮できていたら、世界トップ20の選手の1人として語り継がれていただろう、という思いが常にあった。久保は優れた選手なので、調子の波がなくなればより良くなれる。また、今のようにドリブルに頼りすぎたプレーをしていると、さらなる進化を遂げるのが難しくなると思うので、その点も何らかの改善が必要かもしれない」
――久保は今夏、レアル・ソシエダを離れると思いますか?
「久保は決定的な役割を果たせる選手として、イマノル・アルグアシルの指揮下で自分の長所や影響力を存分に発揮してきた。彼のことを獲得したいと思う監督はたくさんいると思うので、ラ・レアルを退団する可能性は十分にあるだろう。そして、もし彼がより大きなクラブに行くとしたら、それは外国のクラブになると思う。でも私としては、素晴らしい選手はラ・リーガにいてほしいと思っているので、彼が残留することを願っている」
――久保の契約解除金として設定されている6000万ユーロ(約96億円)の約半額で買い戻す権利を保有しているレアル・マドリードに戻る可能性はあると思いますか?
「ノー。その可能性はないだろう」
――久保が今夏移籍する場合、どのチームが向いていますか?
「ラ・レアルがやっているように、3トップやサイドアタッカーを配置するチームの方が向いているんじゃないかな。以前からイングランドのクラブがいくつか移籍先候補として噂されているが、久保は今、そこまで高いレベルの守備を求められていないので、前線でより良い判断を下せるようになっているんだと思う。例えばプレミアリーグでプレーする場合、より多くの守備の仕事やハードワークを求められるので、私はプレミアリーグが合わないと思っている」
久保はこの後、苦しんだシーズンの疲れを癒すオフを過ごしながら、すでに本戦出場を決めているワールドカップ予選を戦い、7月に始まるソシエダのプレシーズンで日本ツアーを控えている。あっという間に新シーズンが訪れるなか、久保が来季に向けてどのような決断を下すのか、大いに注目となるだろう。
(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。