高2でインハイ制覇…名門大でも“不動の守護神” 成長を示す185cm逸材「僕もプロで」

早稲田大の雨野颯真【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
早稲田大の雨野颯真【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

早稲田大の雨野颯真「本当の実力で守護神の座を掴み取ったとは思っていない」

 関東大学リーグ2部の早稲田大はリーグ6戦負けなし(5勝1分)と開幕ダッシュに成功し、同じく無敗の法政大と激しい首位争いを展開している。

 名門大学のゴールマウスを守るのは、185センチのサイズと安定したセービングを誇る2年生GK雨野颯真。昨年は東京都社会人1部リーグに所属する早大ア式FCとしてプレーをし、今年からトップチームに昇格。3年生のGK海本慶太朗と激しいポジション争いをしていたが、開幕戦でスタメンの座を掴み取ると、そこから海本の負傷もあり、不動の守護神の座を掴んでいる。

 第5節の法政大との全勝対決。前期の天王山となる一戦で、雨野は「無双状態」に入った。法政大はFC東京内定の3年生FW小湊絆と196センチの規格外ストライカーの相澤デイビッドの大学屈指の2トップ、右サイドには横浜F・マリノスでJ1デビュー済みのMF松村晃助、ボランチにU-20日本代表の小倉幸成と2部とは思えない豪華陣容を敷く。

 前半はお互いが譲らない膠着状態だったが、後半になると試合は一気に法政大ペースとなった。だが、何度も訪れる決定機の前に立ちはだかったのが雨野だった。

 後半20分に相澤はDFをなぎ倒しながら突進し、1対1になると「コースを切りながら前に出て、最後は1つだけ空いているコースに誘い込んでシュートを打たせることができた」とニアに放ったシュートを完璧に読み切ってブロック。その直後にも相澤の決定的なヘッドを横っ飛びで弾き出した。同28分にも完全フリーだった松村の決定機を鋭い反応でビッグセーブすると、同35分には小倉の強烈なミドルシュートも冷静にセーブ。クリーンシートを達成した。

「GKとして隙をみせたらダメだと常に思っています。早稲田は去年、一昨年とあと一歩で1部昇格を逃しているからこそ、リーグを通してなるべく隙を見せないようにしないといけない。昇格を今年は絶対に実現したいので、チームのために集中力だけは高め続けたいと思っています」

 勇ましい姿は高校時代と比べるとよりオーラが出てきた。フィジカル面でも大きな成長の跡が見える。

「1部に上がれなかった悔しさを味わっているなかで、後輩たちが快進撃を見せてくれて、嬉しかったし、同時にめちゃくちゃ悔しくて、『今年は自分の年にする』と心に決めたんです」

 前橋育英高校時代、彼は2年生からトップチームの守護神としてプレー。2022年の徳島インターハイでは全国制覇に大きく貢献をしている。だが、高校3年時は2連覇をかけたインターハイで3回戦敗退。選手権では2回戦で神戸弘陵に0-2で敗れた。

 そして昨年、後輩たちが選手権で大快進撃を続け、7年ぶり2度目の選手権制覇を成し遂げたことで、「1個上と1個下が日本一になったのに、僕らの代だけ何も取れていない。これはずっと悔しさが残るからこそ、大学で頑張らないといけない」とモチベーションの大きな源となっている。

「まだ僕は本当の実力で守護神の座を掴み取ったとは思っていないので、ここでいかに経験を積んでスケールアップできるかが将来にかかってくると思っています。大学サッカーの強度は非常に高いし、同じチームにも山市秀翔(4年、川崎フロンターレ内定)というビッグクラブに行く選手と一緒にプレーできる。これは財産だと思うので、出られていることに甘えることなく、僕もプロで活躍できるGKになるためにやるべきことは全力でやり続けたいです」

 こう語る雨野には確かな実力がある。ハイボールの安定感、反応速度とステップワークのスムーズさ、そして冷静に駆け引きができる頭脳。GKとして必要な能力を持ち合わせている逸材だからこそ、地道にコツコツとやり続けることで、未来は大きく拓かれるのは間違いない。大学屈指のGKへ。彼はその階段を着実に登ろうとしている。

(FOOTBALL ZONE編集部)

page 1/1

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング