身長183cmの左利きCB…FC東京U-15出身の逸材高校生 プロ入り先輩から継いだ名門20番

センターバックとして帝京の守備を支える高橋遼【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
センターバックとして帝京の守備を支える高橋遼【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

帝京の高橋遼「莉旺くんの気持ちを背負うつもりで1年間やりたいです」

 今年の帝京の新DFリーダーは昨年のリーダー・田所莉旺(V・ファーレン長崎)から20番を引き継いだレフティーCB高橋遼。FC東京U-15深川からやってきた183センチの彼にとって、田所はずっと『越えられない壁』でもある。

「莉旺くんはフィードや対人の強さ、カバーリングのうまさなど、CBとして必要な能力が高水準で備わっています。何より、声の部分でもチームにおける影響力が凄まじくて、僕とは圧倒的な差がありました」

 田所は187センチのサイズを誇り、右足から繰り出される多彩な縦パスと対角のフィードはずば抜けていた。だが、高橋は帝京入学後に左サイドバックからCBにコンバートされるなど、まだ歴が短い中で、183センチの高さと左足で多種多彩のキックを操り、縦パスを入れるタイミング、インカーブやアウトカーブを駆使して、アタッカーのスピードを殺さない絶妙なパスは田所に全く引けを取らない。それを伝えると、彼はこう口にした。

「縦パスは自信がありますが、莉旺くんがいきなりライバルになったときは戸惑いましたし、2年間一緒に過ごしたことで差を感じるなかで、一生懸命くらいついて行こうという気持ちが生まれました」

 2年間、田所の壁は越えられなかった。昨年度の選手権ではベンチの外から試合を見ることしかできなかった。だが、今年は新しいDFリーダーとして田所から思いを託された。

「藤倉(寛)監督から20番を渡されたときは、言葉で何かを言われたわけではないですが、僕のなかでは『莉旺くんの跡を継いでリーダー的な存在になってほしい』というメッセージだと受け止めました。実際に莉旺くんからも『存在感を出してやってほしい』と言葉をもらって、より自覚と責任感が生まれました」

 プリンスリーグ関東1部第4節の矢板中央との一戦では終盤の失点で敗れはしたが、前半から彼の左足から繰り出される受け手のことを考えた多彩な縦パスはチームの攻撃の重要な起点となっていた。

 守備面でも屈強なフィジカルを持つ選手が揃い、縦に早いサッカーを展開してくる相手に対しても、的確なカバーリングや球際でも臆さない姿勢を見せ、DFリーダーとして堂々たるプレーを披露した。

「プリンスを4試合戦って、徐々に自信は積み重ねていますが、やっぱり莉旺くんと比べるとまだまだ足りないところだらけ。対角のキックは自分の大きな課題でもあるので、そこは徹底して取り組んでいきたいし、存在感という面ではまだ周りからも物足りなさを感じられていると思う。やるべき事は本当に多いですが、全てはチームのため、自分のためだと思って取り組もうと思います」

 CBになってまだ2年。左利きでサイズのあるCBというだけで希少価値は高いし、本職であるサイドバックに加え、ボランチもこなすことができるユーティリティー性も魅力だ。

 今年のエースストライカーである宮本周征も、「新チームが始まってからDFリーダーとしての自覚が出てきたとは思います。日に日に頼もしくなっています」と成長ぶりを評価する彼に、今の決定的に足りていないのは経験とフィジカル。裏を返せば、それが身につけば、確実に将来性豊かなタレントになることは間違いない。

「選手権ではスタンドからですが、帝京が高校サッカーにおいて絶対的な存在であることを痛いほど体感したので、先輩たちが積み重ねてきてくれたこの伝統と、莉旺くんの気持ちを背負うつもりで1年間やりたいです」

 カナリア軍団の最終ラインの番人として。高橋は変幻自在の左足をさらに強烈な武器にすべく、一歩ずつ着実に成長の階段を登っていく。背番号20のプライドと共に。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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