想像を超えた“カオルブーム”「どんどん増えている」 CEOが語る…切り拓いた日本のマーケット

ブライトンのポール・バーバーCEOが三笘薫について話した【写真:荒川祐史】
ブライトンのポール・バーバーCEOが三笘薫について話した【写真:荒川祐史】

昨年7月にブライトンはジャパンツアーを行った

 イングランド・プレミアリーグ、ブライトンのポール・バーバーCEOが、「FOOTBALL ZONE」のインタビューに応じた。日本代表MF三笘薫の獲得をきっかけに、ジャパンツアーや原宿でポップアップストアを開催するなど、ブライトンの名を日本人に定着させた“仕掛人”。世界のサッカー界を幅広く見てきたCEOが、カオルブームについて語った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎)

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 ブライトンは4月26日のウェストハム戦で6試合ぶりに勝利し、9位に浮上。来季の欧州チャンピオンズリーグ(CL)に出場できる5位までは勝ち点9離れているが、カンファレンスリーグ(ECL)出場圏内の7位までは、まだ6差。残り4試合と厳しい状況ではあるが、可能性を残している。

「チャンピオンズリーグはともかく、またヨーロッパの舞台でぜひ戦いたいと思っています。(昨季初めて出場したヨーロッパリーグに続き)2回目のヨーロッパの大会出場は我々にとって非常に名誉なこと。しかし、競争が激しいことはわかっています。これからシーズンが終わるまでの間、ベストを尽くし、ハードワークを続けていきたいと思います」 

 ブライトンで3シーズン目を迎えた三笘は、中心選手としてチームをけん引している。リーグでは自己最多となる9得点を記録し、2ケタ得点に王手をかけている。持ち味のドリブルに加え、ゴール前でのプレーを増やすなど選手としての幅を広げている。

「現在、カオルはブライトンのファンだけでなく、イングランドの全サッカーファンの間で大人気になっている。彼のエキサイティングで攻撃的なプレースタイルと、ピッチ外でのとても礼儀正しい振る舞いが人気を上昇させているのでしょう。そしてカオルはいつも楽しそうにしているところが素晴らしい」

 2021年8月に川崎フロンターレから獲得した時の違約金(移籍金)は約300万ユーロ(当時3億9000万円)。今では市場価値は4500万ユーロ(約73億円、transfermarkt調べ)にまでなった。「もちろん全ての選手にできるだけ長く残って欲しいと思っていますが、我々のモデルでは適切なタイミングで売る準備はしています」と話すように、クラブの経営モデル的に近い将来、移籍が起こる可能性はある。だが想像を超えていた“カオルブーム”は、クラブに大きな恩恵をもたらしている。

「本当に日本のファンがどんどん増えています。ロンドン在住の多くの日本人が来てくれるのはもちろん、大学が春休みになると、若い日本人が大勢試合を見に来ています。みんなカオルをブライトンで見たいし、ゴールを決めるところを見にやって来ます。彼らはブライトンのファンでもある。私たちのシャツ(ユニフォーム)を着て、スカーフや旗を持っている。そんな彼らを見ると、私たちもとてもうれしく思います」

 昨年7月には当初は他地域でやる予定だったプレシーズンツアーを日本で実施。約1週間の滞在で、鹿島アントラーズ、東京ヴェルディと対戦し、多くの日本のファンが国立競技場に駆けつけた。昨年夏には女子チームに、なでしこジャパンのFW清家貴子を獲得。今年3月には東京・原宿でポップアップストアも開催するなど、様々な施策で日本人に“ブライトン”というブランドを定着させた。

「素晴らしいツアーでした。東京では本当にとてもよくしてもらった。出会う人全てがフレンドリーで、ファンも何千人も来てくれて、とても楽しめました。日本は素晴らしい国です。カオルの母国にブライトンのチームを連れて行けたことをとても誇りに思いました。感謝に絶えません。女子チームには清家も獲得して、日本との繋がりを強めています」

 バーバー氏は2012年にブライトンのCEOに就任する前は、英国サッカー協会(FA)のマーケティング責任者やメジャーリーグサッカー(MLS)のバンクーバー・ホワイトキャップスでCEOを務めるなど、幅広い視点でサッカー界を見てきた。今の日本サッカーはどう見えているのか。

「昨年夏にJリーグのチームと対戦しましたが、レベルは確実に向上していると思います。10年前よりも日本人選手はより強く、より速く、よりテクニカルになっています。カオルの獲得は素晴らしいものだったし、清家もうまくいっています。私が2010年にバンクーバーに行ったとき、アメリカのメジャーリーグサッカーの水準は今ほど高くなかった。この10年間で、どんどん良くなっている。Jリーグも同じように進化していると思います」

 ブライトンは、広範なデータベースを駆使したリクルート方法で、アジアや南米など世界中の地域から選手を獲得している。“第2の三笘”の出現を期待している。

「今後の日本人選手の獲得?それはまだわかりません(笑)。ですが、イングランドでは日本人選手はよりフィジカル的にもフィットし、技術的にも優秀だと認識されるようになりました。Jリーグの試合はより良く、より強くなっているのは間違いないと思います。今後数年の間に、日本からイングランドにもっともっと多くの選手がやってくると期待しています」

(FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎 / Shintaro Inoue)



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