「なんかカッコいいなと」指揮官が明かしたジーコの流儀…鹿島が常勝軍団となった理由

1993年の開幕戦と同じ対戦カードだった
鹿島アントラーズは4月25日、J1リーグ第12節で名古屋グランパスを1-0で下し、J1史上最速となる通算600勝を達成した。1993年の名古屋との開幕戦でハットトリックを決めてチームに歴史的1勝目をもたらしたジーコ氏もこの日に来日し、スタンドに駆けつけて祝福した。
指揮官の采配が全てを変えた。前半は距離感が悪く、名古屋に押し込まれる展開。シュート数も名古屋の5本に対し、わずか1本だった。そんな劣勢だった前半を終えて、鬼木達監督はハーフタイムに動いた。MF柴崎岳、FW田川亨介に代えて、MF船橋佑と松村優太を投入。2枚替えで流れを引き寄せると、後半9分にセットプレーから最後はMF知念慶が頭で押し込み、決勝点を挙げた。自らの采配で、J1史上最速の600勝目をチームにもたらした。
鬼木監督は、1993年のJリーグ元年は、当時鹿島で高卒1年目の19歳。この日と同じカシマスタジアムで行われた名古屋との開幕戦でジーコ氏がハットトリックを決めた瞬間をスタンドで見ていた。「普段はそういう(記録)のはあまり気にしていないと言いますけど、ただやっぱり感慨深いものもありましたし。そういうゲームで、その1勝目の瞬間を僕はスタンドで見ていたので。今日ジーコさんが来日されたタイミングで勝てて良かったなと。ちょっとホッとしています」と振り返った。
指揮官は、試合後のジーコ氏とのやり取りを明かした。「特別何かというよりは、お互いハグして、おめでとうというぐらい。まあジーコさんらしというか、みんな(選手たち)に紹介したかったですけども、今日じゃなくていいっていう形でサッと去っていったので。なんかカッコいいなと思って。また明日(の練習で)みんなと顔合わせられればなと思います」。
メモリアルな勝利も、あくまで1勝。鹿島を常勝軍団に築き上げた“神様”が見せた流儀だった。