J2降格で元日本代表が訴え ファン離脱懸念の危機に「今度は引き止めなければいけない」【インタビュー】
今夏に鳥栖へ加入も無念のJ2降格、清武弘嗣が抱く鳥栖への思い
元日本代表MF清武弘嗣は今シーズン、セレッソ大阪からサガン鳥栖へレンタル移籍した。近年、負傷に苦しんだ清武は、ここまでリーグ戦10試合に出場して1得点を記録。チームは2011シーズンのJ1初昇格後、14年ぶりにJ2降格に。今後待ち受ける茨の道へ、35歳のベテラン戦士が抱く思いとは。(取材・文=河合 拓)
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今年7月から在籍している鳥栖について、清武は「本当に未来のあるチームだと思う」と言う。そして、残り短くなった2024シーズンのなかで、できるだけ自身の経験を若いチームに伝えていきたいと語る。
「鳥栖の選手たちは素直で話を聞いてくれるんです。アドバイスとか、プレーの幅とか、現在のサッカーのトレンド、やってほしいプレーも伝えたら素直に聞いてくれるんです。夏に鳥栖に移籍して、自分のやりたいことを伝えたら、素直に聞いてくれるので、すごくいいですね。今後、1年で(J1に)上がるというタスクもあると思う。そういうことを考えたらチームに落とし込めるものは、落とし込んだほうがいい」
同じ九州に本拠地を置く大分トリニータの下部組織からトップチームに昇格した清武は、九州のクラブならではの共通した雰囲気をクラブに感じ、今は愛着を持っているという。
「もちろん鳥栖は大好きです。選手もそうだし、スタッフもそうだし、クラブも好きだし、地域の特性ってあるじゃないすか。都会にはない地域の温かさは、トリニータでも感じたものです。そういう地域の方々が熱くなれるものって言ったら今は佐賀だと、サガンとバスケのチーム(佐賀バルーナーズ)もあるんですよね。関西も熱いですけど、この地域の温かさもあるので、そういうのを含めて良いチームだなと思います」
来シーズン、鳥栖はJ2を戦うことになった。7月に加入した清武だが、先発出場は1試合、途中出場が9試合と怪我にも苦しめられている。それでも、自身が経験を伝えようとしている選手たちには、やるべきことがあると語気を強める。
「残留させるために来たのですが、なかなか勝てずに達成できませんでした。けど、今はしっかりと来年も応援してもらえるようにっていう気持ちがあります。本当に今後のことを考えたら、やっぱりJ2に落ちた次の年はすごくきついと思うんです。でも、そういう時にサポーターにも、スポンサーにも、鳥栖から離れないでもらわないようにしないといけない。やっぱり結果が出ちゃったから離れるのはすごい簡単で、そこを今度は引き止めなければいけない。それが自分にとってモチベーションですし、残りの1か月弱、全員が戦って、もう一回J1に早く上がってこれるということを信じてもらわないといけない。プレーだけじゃなく、そういう思いを選手たちが発信して、見せていかないといけない」
そして今の日本サッカー界には、Jリーグを盛り上げることも重要だと清武は言う。
「海外組が増えているなかで、Jリーグをもっと盛り上げないといけないし、Jリーグの選手が日本代表に入っていけるっていうのが、日本サッカーにとっては刺激になると思います。もちろん、海外に行くこともすごい大事だし、それプラス日本のサッカー、Jリーグを底上げじゃないですけど、もっとレベル高くしたり、盛り上げていったりしないといけないなと思っています」
[プロフィール]
清武弘嗣(きよたけ・ひろし)/1989年11月12日生まれ、大分県出身。大分トリニータU-18―大分―セレッソ大阪―1.FCニュルンベルク(ドイツ)―ハノーファー96(ドイツ)―セビージャFC(スペイン)―C大阪―サガン鳥栖。卓越したテクニックと攻撃センスを武器に持つ日本屈指のMF。U-23日本代表としてロンドン五輪、日本代表では2014年のブラジル・ワールドカップを経験した。
(河合 拓 / Taku Kawai)