佐藤寿人が唸った日本代表FWの“佇まい” 妨害行為にも動じず…ゴール裏から見た凄み【見解】
【専門家の目|佐藤寿人】上田綺世はバーレーン戦で2ゴールの大活躍
森保一監督率いる日本代表は現地時間9月10日、アウェーで北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選でバーレーンと対戦し、5-0の勝利を収めた。7-0で圧勝した中国戦に続いて連勝スタート。「FOOTBALL ZONE」ではバーレーン戦でスポーツチャンネル「DAZN」の中継リポーターとして現地取材した元日本代表FW佐藤寿人氏を直撃。歴代3位のJ1通算161ゴールを誇る日本屈指のストライカーがFW上田綺世に対する見解を語った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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灼熱の敵地。無料招待で大勢のファンが駆け付けたバーレーンナショナルスタジアムは完全アウェーの環境。バーレーンのゴール裏から戦況を見守っていた佐藤氏はある異変に気が付いた。MF堂安律がフリーキック(FK)を蹴ろうとした際、顔に緑色のレーザー光線が当てられていた。さらに攻めあぐねながらも前半34分に日本はPKを獲得。同37分にFW上田綺世がPKスポットに立つと、観客席からは顔を目がけてレーザー光線を当てられた。それでも上田は意に介さず冷静にゴール左隅に決め切った。勝敗を分けるゴールを決めた後追加点も奪い、エースとしての存在感を見せた。
「アウェーの中東の難しさというところがあったと思う。PKでしっかりゴール奪う。チャンスを作ったなかでのPK、決めて当たり前と思われがちだけど重圧もある。(上田は)中国に大勝しているなかでシュートを打てなかった。得点に関与していたけれどストライカーとしては得点ができなかった悔しさは絶対にあったと思う。その分PKのシーンは集中していたし、試合前から言うと国歌斉唱でブーイング、レーザーポインターでセットプレーの時に邪魔が入っていたのに集中力保っていた。コースは読まれたけど綺世のシュートスピードだからこそ」
PKスポットから動かなかった上田。佐藤氏は「スポットから離れるタイプ」だったというが、そのメンタルには驚きも感じられたという。
「(PK前の行動は)いろんなタイプがいると思う。(上田は)自分と向き合って相手のGKも邪魔しようとしていたけど、そういうところも結果的に影響されずにフィニッシュできたことを考えると、PK獲得からの一連の佇まいはストライカーとしての姿、ゴールを奪う姿を見られたかなと」
国歌斉唱でブーイングされたり、セットプレー時のレーザー光線。ピッチ上で戦った選手は正々堂々としていただけに「残念ですよね。バーレーンは(初戦)アウェーでオーストラリアに勝って、W杯初出場に向けてダメなことですけど、サポーターのなんとかしたいという思いが悪いほうに出たシーン」と落胆。「そういうものに動じることなく、力で、ピッチ上でサッカーで示したのは代表チームが強い組織なんだなと」。日本代表が見せた雄姿を佐藤氏も称賛していた。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)