レーザー光線妨害「規制して」 日本代表OBがFIFAに提言「勝ち点剥奪とか処分を」【見解】
【専門家の目|栗原勇蔵】レーザー光線妨害は影響が少なくても「正当化できない」
森保一監督が率いる日本代表(FIFAランキング18位)は、現地時間9月10日に敵地で行われた北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第2戦でバーレーン(同80位)に5-0と快勝した。前半37分にFW上田綺世がPKを蹴り込むも観客席からレーザーポインターが当てられ、妨害されるシーンがあった。中東でのW杯最終予選を経験している日本代表OB栗原氏は、「FIFAも厳しく取り締まらないといけない」と提言している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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日本代表は前半34分、MF鎌田大地が相手のハンドを誘ってPKを獲得。FW上田綺世がPKスポットに立つと、観客席から顔を目がけて緑のレーザー光線が当てられた。それでも上田は意に介さず冷静にゴール左隅に決め切った。
その後、後半の立ち上がりに上田が2点目を決めると、MF守田英正も2ゴールを奪取。途中出場のFW小川航基も後半36分にこぼれ球を頭で押し込み、ダメ押しゴールを決めて5-0とした。
日本はボール支配率76.1%対23.9%、パス本数607本対188本、シュート本数14本対3本(うち枠内9本対1本)と圧倒。ヨルダン、オマーンという中東勢との対戦経験を持つ元日本代表DF栗原氏は、「(2013年に)ヨルダンにはアウェーで(1-2)と負けましたし、中東勢がホームでやる強さは感じました。まだVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)もなかったので、多少“中東の笛”チックな部分はありましたけど、そこまで荒々しい印象もなかったです」と語りつつ、今回のバーレーン戦に関しては「今日は(日本の)レベルが違った」と語った。
一方で、PKの際の上田の目元、コーナーキックの場面ではMF堂安律に向けてレーザーポインターが当てられ、SNS上ではファンから苦言が殺到。遡れば、日本は2013年3月27日のW杯最終予選ヨルダン戦でGK川島永嗣やMF遠藤保仁らセットプレーの際に緑色の光線を当てられた過去もある。栗原氏は「昔、ヤット(遠藤)さんもやられていたけど、規制しないといけない」と主張する。
「中東だけでなく、中国とか韓国でもありますよね。スタジアムの照明もあるからか、レーザーポインターが目に当たっても、やられている選手本人はそこまで気にならないのかもしれない。あまり嫌がっている選手はいないイメージはあります。とはいえ、影響は少ないかもしれないけど、正当化できるものではない。PKだから(レーザー光線を)当てやすいかもしれないけど、流れの中でGKとかディフェンスに当たって目がくらんでミスしてしまうとかあるかもしれない。将来的には、(ファン・サポーターが)やったら代表チームは勝ち点剥奪とか処分を下して、FIFA(国際サッカー連盟)も取り締まらないといけないと思います」
栗原氏はフェアな戦いが繰り広げられる環境作りの必要性を訴えていた。
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。