岡崎が語った王者レスター迷走の理由 「楽して勝とうとしている」の言葉に込めた真意とは

“天才ボランチ”流出と指揮官の方針転換

 フィールドプレーヤー全員が常にボールを追い回し、恐ろしいまでの集中力と極限の運動量で前からプレスをかけていく。非常にアグレッシブなスタイルで、高い位置でボールを奪い返したら、必殺のショートカウンターを発動。昨季に大化けしたように言われるFWジェイミー・ヴァーディだが、この時点ですでに抜群のスプリント能力を発揮して相手DFの裏に抜けてはゴールを奪い、イングランド代表に招集されていた。

 もちろん、岡崎が「やる方にとってはきつい」と語っていたとおり、90分間全く足を止めないサッカーを続けるのは肉体的に厳しい。ところが昨季、レスターはこの“きついサッカー”を1シーズン通してやり遂げていた。

 しかしラニエリは、レスターに奇跡の優勝をもたらした激しいプレスサッカーを、今季になってあっさりと封印した。それは、なぜなのか。

 その最大の理由として考えられるのは、フランス代表MFエンゴロ・カンテのチェルシー移籍だろう。昨季24ゴールを奪ったヴァーディや17ゴール10アシストを決めたアルジェリア代表MFリヤド・マフレズに並び、中盤で魔術師のようにボールを奪い返し優勝の立役者となったのが、169センチと小柄で童顔のフランス代表MFだった。

 2月4日に行われたチェルシー戦の直前会見で、アーセナルを率いるアーセン・ベンゲル監督が「昨季優勝のレスターが不振に悩み、昨季不振に苦しんだチェルシーが今、断トツの優勝候補でいる要因はカンテの存在が大きいのだろう」と語ったように、今や一昔前にレアル・マドリードやチェルシーで名声を得たクロード・マケレレと並び称されるほどの存在になったカンテを失ったことで、ラニエリがチームのスタイルを変えようと考えたのは理解できる。

 天才ボランチの穴を埋めるのは不可能だと判断したからこそ、カンテを3000万ポンド(約45億円)で売った一方、即戦力アタッカーであるナイジェリア代表FWアーメド・ムサを1700万ポンド(約24億6500万円)、アルジェリア代表FWイスラム・スリマニを3000万ポンドで補強したのだろう。

 しかし、この補強とラニエリの方針転換によって、今季のレスターから昨季の強さが完全に消滅した。

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