J1ブレイク中に驚きの発見 20歳新助っ人がプレミアFW「苦しめた」…中断明けキーマン候補たち【コラム】
J1リーグが再開、ブレイク明けに活躍期待の5選手をピックアップ
2週間半のブレイクが明け、8月7日にJ1リーグが再開する。ここから優勝争い、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)争い、残留争いが懸かるラスト14試合でキーマンになり得る選手は誰か。この期間に来日した欧州クラブとの親善試合で、活躍が目立った選手を中心にピックアップした。
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■ジャン・クルード(MF/横浜F・マリノス)
ブレイク期間の最大の発見と断言しても良いかもしれない。今夏新加入した20歳のトーゴ代表は横浜FMが勝利したニューカッスル戦で右のセンターバックに入ったなか、ハイラインの見事なカバーと積極的なビルドアップでプレミアリーグの強豪を苦しめた。特に昨シーズン21得点のスウェーデン代表FWアレクサンダー・イサクを封じた対人守備は目を見張る。JリーグのFWとの対戦はまた違った難しさがあるかもしれないが、ジョン・ハッチンソン監督が率いるチームに欠かせない存在になっていく期待も。中盤とサイドバックをこなせるポリバレントでもあるが、当面センターバックでフィットしたら一番有難いだろう。ACLエリートでの働きも注目される。
■濱崎健斗(MF/ヴィッセル神戸)
フランス1部スタッド・ランスに1-0と勝利した試合で、途中出場ながら躍動感のあるプレーを見せて、見事なダイレクトスルーパスでジェアン・パトリッキの決勝点を演出した。そのパスセンスもさることながら、オフのポジショニングが素晴らしい。周囲とのバランス、距離感を頭に入れながらも、相手のディフェンスが対応しにくい立ち位置でボールを受けられるので、チャンスの起点として振る舞える。2007年生まれの17歳。1つ上の佐藤龍之介(FC東京)や中島洋太朗(サンフレッチェ広島)とともに、4年後のロス五輪で中心を担っていく可能性を秘めたタレントだが、今シーズンの終盤戦やACLエリートでのブレイクも。
■二田理央(FW/浦和レッズ)
サガン鳥栖のアカデミー出身で、欧州帰りの21歳。1-4で敗れたニューカッスル戦で、浦和にとって唯一のゴールを決めた。本来はセンターフォワードの選手ながら、ウイングで起用されてもFWの選手として「自分のスタイルは変わらない」と公言するとおり、持ち前のスピードと馬力を発揮して、果敢にゴールを狙う姿勢がチームに新たな迫力をもたらしている。左サイドの中島翔哉や本間至恩など、技巧的な選手と組み合わせると、より効果的かもしれない。またパリ五輪から帰還した左サイドバックの大畑歩夢は古巣の同僚であり、特長を理解し合っている。大畑のクロスに二田が合わせるようなゴールシーンも期待できそうだ。
広島に新加入のトルガイ・アルスランは逆転優勝へのキーマン候補
■西久保駿介(DF/ジュビロ磐田)
1-1と引き分けたスタッド・ランス戦で、鋭い切り返しから左足でゴールを決めた。右サイドバックの選手だが身体能力が高く、空中戦にも強さを発揮する攻撃スペックの高さは大きな魅力だ。ここまで磐田は大卒ルーキーの植村洋斗が同ポジションの主力を担ってきたが、元々の本職であるボランチの起用も増えてきており、7月30日に21歳の誕生日を迎えた西久保の出番はさらに多くなりそうだ。新戦力ジョルディ・クルークスとの縦コンビはもちろん、ランス戦で西久保の得点をアシストした特別指定選手の角昂志郎(筑波大)が合流可能となれば、残留争いが予想される終盤戦に向けて、攻撃のバリエーションがさらに広がる。
■トルガイ・アルスラン(MF/サンフレッチェ広島)
夏に加入した新外国人のボランチはいきなり中盤の主軸を担う期待が。最終的に2-5と敗れたシュツットガルト戦だが、前半45分間で大型MFのアタカン・カラゾルとマッチアップするなど、存在感溢れるパフォーマンスで価値を証明した。ドイツ国籍で、ミヒャエル・スキッベ監督とのコミュニケーションに問題がないこともアドバンテージだろう。33歳のベテランだが攻め上がりの推進力がある。中盤の強度を高めるだけでなく、メルボルン・シティ時代のAリーグでは多くのゴールとアシストを記録しているように、川村拓夢の移籍で不安視される中盤からの得点力でも頼りになる逆転優勝へのキーマンだ。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。