なでしこ25歳は「パーフェクト。穴がない」 新DFリーダーへOG岩清水が期待「できると思う」【見解】
【専門家の目|岩清水梓】25歳DF南萌華のポテンシャルに見解
なでしこジャパン(日本女子代表)は現地時間8月3日にパリ五輪の準々決勝でアメリカ代表と対戦し0-1で敗戦。これにより大会から姿を消した。今大会なでしこジャパンの戦いぶりをFOOTBALL ZONEで解説する元代表DF岩清水梓は、25歳DF南萌華について次のディフェンスリーダーとしての期待を込めつつ、ピッチ上で指揮を執っていくようなプレーを求めた。(取材・構成=轡田哲朗)
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日本はアメリカに対して5-2-3、あるいは5-4-1とブロックを作って守備から入った。アメリカにボールを持たせてのカウンターを狙うような形だったが、互いに大きなチャンスを作れないまま試合は延長戦へ。そして延長前半の終了間際にFWトリニティ・ロッドマンに決勝ゴールを奪われてしまった。
岩清水はASローマでも主将のDF熊谷紗希とチームメイトになった南について、次のリーダーになると期待を話す。そして前所属時代の浦和レッズレディース時代に対戦した経験からも「対人が強く、高さもあってセットプレーでゴールを決められたこともある。良いフィードもあるし、DFとしては技術的にパーフェクト。穴がない選手」だと話している。
このアメリカ戦では、全体に守備ブロックが低くなってしまったなかでも、縦パスに対して南が寄せてボールを奪う場面は何回か作っていた。その意味では好プレーが目立ったとも言えるが、一方で岩清水は「言われている仕事は遂行していたと思う。ただ、その先を見るなら、南選手がうしろから奪いに行って潰せたのはなぜかとなれば、その時に前がプレッシャーを掛けられたから。監督はブロックを作ってという戦術を選んでいるかもしれないけど、成功体験からチームに対して『プレッシャーが掛かれば私が奪える』と発信できるかどうか」と話す。
そして、「言われていることをやっているだけでは難しくなる。そのほうが奪いやすいなら、全体を動かして奪っていけばいい。臨機応変に中で変更することや、奪いやすい、分かりやすいプレッシャーの掛け方があるならそうやっていくことも必要だと感じた」と、1つ上のレベルでチームに影響力を与えるプレーを求めた。
南はU-17、U-20の両世代で年代別の女子ワールドカップ(W杯)を制している経験もあるだけに「その点では安心して見ていけると思うけど、年代カテゴリーがなくなれば上の世代もいる。世代が近いとできるけど、世代が広がるとできないのでは違うと思うので、アンダー世代の時にできたことをフル代表でもやるだけだと思うので、任せていけばできると思う」と今後への期待も込めた。
そして、岩清水は「監督のやっていこうとするものがベースにある中でも、『こうしていこう』と発信できる選手が多くないと厳しい。海外でプレーする選手が多くなり個々の成長があるなかで、海外クラブでリーダーシップを取ることの難しさもあると思うけれども、そういう選手がたくさん出てくるといいと感じた」と、ピッチ上での発信力がある選手が増えることが必要という見解を話していた。
[PROFILE]
岩清水梓(いわしみず・あずさ)/1986生まれ、岩手県出身。2001年に日テレ・ベレーザ(現日テレ・東京ヴェルディベレーザ)でリーグ戦デビュー。なでしこジャパンには06年に初選出され、女子W杯メンバーに3度、五輪メンバーには2度選ばれ、11年W杯の優勝を経験した。20年3月に第一子を出産し、“ママさん戦士”として現役を続ける。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)