【専門家の目｜栗原勇蔵】細谷の同点弾は幻…「VARがあることでネガティブな要素だと感じた」

　大岩剛監督率いるU-23日本代表は、現地時間8月2日に行われたパリ五輪の男子サッカー準々決勝スペイン戦に0-3で敗れ、ベスト8敗退となった。前半40分にFW細谷真大のゴールがビデオ・アシスタント・レフェリー（VAR）の介入によりオフサイドで取り消されたのが響く形となったが、元日本代表DF栗原勇蔵氏は「あんな形のオフサイドは見たことがない」と驚きがあったことを明かした。（取材・構成＝FOOTBALL ZONE編集部）

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　東京五輪の準決勝で敗れているスペインへのリベンジを期した一戦は前半11分、相手MFフェルミン・ロペスにゴール正面で前を向かれると強烈な左足ミドル弾を放たれ、GK小久保玲央ブライアンが鋭く反応して腕に当てるも、そのままボールはゴールに吸い込まれた。

　今大会初失点でビハインドを背負ったなかで迎えた前半39分、左サイドでDF大畑歩夢がボールを持つとMF藤田譲瑠チマを経由したボールがペナルティーエリア内の細谷へ。相手を背負って受けた細谷は力強く反転して右足ミドルを蹴り込んだ。しかし、ビデオ・アシスタント・レフェリー（VAR）の映像チェックで細谷がわずかにオフサイドポジションにいたとされ、ゴールは取り消し。幻の同点ゴールとなり、追い付けなかった。

　この判定の影響もあって流れを引き寄せることはできず、後半28分、同41分に無念の失点。0-3で敗れ、大岩ジャパンのパリ五輪での挑戦はベスト8で幕を閉じた。

　栗原氏は細谷の幻ゴールについて、「どういうこと？　という感じはする」「あんな形のオフサイドは見たことがない」とコメント。「戻りオフサイドはあるけど、敵がうしろにいるし、ゴールと逆側を向いて敵を背負っている状態で、上手く反転してゴールした。相手を上回った素晴らしいゴールだと誰もが見て思ったはず」と言葉を続けた。

「足が出ていたということですけど、（細谷が）白いスパイクじゃなかったら（オフサイドを）指摘されていなかったんじゃないかという際どいレベル。審判が悪いわけではなく、今のルール的には仕方ないですが、VARがあることによってネガティブな要素だと感じました」

　ダハネ・ベイダ主審は前半、日本の攻撃時にオフサイドの笛を鳴らしたシーンもあり、元日本代表MF本田圭佑が自身の公式X（旧ツイッター）で、「オフサイドちゃうやんけ！」と疑問を投げかけて注目を集めた。栗原氏も、「レフェリー（の判定）はかなりスペインに寄っていた」と率直な感想を語る。

「前半にオフサイドでないプレーでオフサイドを取ったり、審判が悪い意味でゲームをコントロールしている雰囲気は正直ありました。日本の選手はスペイン＋レフェリーと戦っていた。文句も言いたくなるだろうけど、最後まで戦い抜いたのは素晴らしいと思います」

　大岩ジャパンの戦士たちは、この悔しさを胸に次はA代表の舞台を目指す。