【専門家の目｜栗原勇蔵】パスセンスと技術は「天性のもの」

　なでしこジャパン（日本女子代表）は現地時間7月31日、パリ五輪の女子サッカー・グループリーグ第3戦でナイジェリアと対戦し、3-1で勝利した。先発出場したMF長谷川唯は後半15分までプレーしたなかで、絶妙なスルーパスで先制点の起点となるなど存在感を発揮。日本代表OB栗原勇蔵氏は「女子版シャビ」と、そのプレー精度を称えている。（取材・構成＝FOOTBALL ZONE編集部）

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　引き分け以上で準々決勝進出を決められる日本は、ナイジェリア戦でブラジル戦からスタメン4人を変更。DF北川ひかる、DF石川璃音、MF林穂之香、FW植木理子が今大会初先発を飾ったなか前半22分、長谷川のスルーパスに反応した植木がペナルティーエリア内左へ突破したところから中央へのラストパスをFW浜野まいかが押し込んで先手を奪った。

　さらに日本は前半32分、右サイドからDF守屋都弥が上げたクロスに植木がヘディングで合わせるとボールはクロスバーを直撃。跳ね返りにFW田中美南が詰めて押し込み、日本がリードを2点に広げた。

　前半42分にナイジェリアに1点を返されたなか、日本は前半アディショナルタイムにゴール正面やや右寄りの位置で得たFKを北川が左足で直接狙うと、ニアサイドのギリギリに吸い込まれる鮮やかな軌道での追加点。3-1としてハーフタイムを迎えた。

　この2点のリードを守り切り、グループ2位通過で準々決勝に駒を進めた日本。長谷川はボランチで後半15分までプレーし、チームを牽引した。日本代表OB栗原氏は、「長谷川は技術が高いからボールを失わない。試合を決定づけられるパスも備えていて、常にチームの中心にいる」と27歳のゲームメーカーを高く評価する。

「男子顔負けのパスの正確さ。あそこに出せる上手さと感覚は天性のものだし、ボールを散らすのも上手い。受けてターンしてはたく、スルーパスを出せる、ゲームを作れるパサー。ああいうタイプはどんどん減っているイメージ。『女子版シャビ』、『女子版ピルロ』といったところでしょうか」

　栗原氏は、イタリアサッカー界の歴史に名を刻むレジスタの元イタリア代表MFアンドレア・ピルロ、元スペイン代表MFシャビ・エルナンデスを引き合いに出し、長谷川の能力の高さを称えていた。