「下の世代からの突き上げ」問題解消へ 森保ジャパンで期待したい新世代の旗頭候補【前園真聖コラム】

前園真聖氏は五輪世代の突き上げに期待【写真:Getty Images】
前園真聖氏は五輪世代の突き上げに期待【写真:Getty Images】

W杯最終予選の戦力台頭が望まれるポジションは序列未確定のGK

 アジアサッカー連盟(AFC)は6月26日に2026年北中米ワールドカップ(W杯)のアジア3次(最終)予選組み合わせ抽選会を行い、日本の対戦相手がオーストラリア、サウジアラビア、バーレーン、中国、インドネシアに決まった。9月にスタートして来年6月までの長丁場、どんな選手が台頭してくるのか。元日本代表MF前園真聖氏に期待したい選手たちを語ってもらった。(取材・構成=森雅史)

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 いよいよ9月から2026年北中米W杯アジア3次(最終)予選がスタートします。前回の予選を考えると、この予選を通じていろいろな選手が台頭し、ポジションを掴んでいったことが思い出されます。

 今回まず誰が台頭してくるか楽しみなのは、日本代表で唯一序列が決まっていないポジション、GKです。

 2022年のカタールW杯後、森保一監督はさまざまな選手を起用してきました。シュミット・ダニエル(ヘント/ベルギー)、大迫敬介(サンフレッチェ広島)、中村航輔(ポルティモネンセ/ポルトガル)、鈴木彩艶(シント=トロイデン/ベルギー)、前川黛也(ヴィッセル神戸)、谷晃生(FC町田ゼルビア)がゴールを守りましたが、まだ誰も正位置を確保したとは言えない状況です。

 さらに、ここにU-23日本代表から有望な小久保玲央ブライアン(ベンフィカ/ポルトガル)、野澤大志ブランドン(FC東京)も加わってくるでしょう。この予選の中で誰が日本のゴール前に立つのか決まってくると思います。

 そして、GK以上に日本代表でポジションを確保してほしいのが、U-23日本代表の選手たちです。

藤田譲瑠チマは遠藤航らライバルを超えるパフォーマンスが必要

 前回の最終予選は2021年9月から2022年3月にかけて行われました。そこでは2021年7月~8月に開催された東京五輪のメンバーが次第にチームに馴染み、実力を発揮し、ポジションを奪っていく過程がありました。

 たとえば田中碧(デュッセルドルフ/ドイツ)は、2敗してあとがなくなった2021年10月12日、ホームのオーストラリア戦でシステム変更を機に起用され、前半8分に先制点を奪ったことでポジションを確保しました。

 三笘薫(ブライトン/イングランド)がどこで日本代表での立ち位置をしっかり掴んだかというと、2022年3月24日にアウェーで行われたオーストラリア戦です。そこで後半39分に投入された三笘が2ゴールを挙げて、日本をカタールW杯に導いたのです。

 今回も7月~8月にかけて開催されるパリ五輪のメンバーは、大会での活躍次第でアジア最終予選に選ばれることでしょう。そして日本代表の中で力を発揮することができれば、W杯本大会のメンバー入りを果たせるかもしれません。

 ただ、前回大会の時に比べればU-23日本代表から上に行くのははるかに難しくなっています。パリ五輪でよほどのインパクトを残せないと難しいのは間違いないのです。彼らが比べられるのは、たとえばきっと代表に戻ってくるだろう伊東純也(スタッド・ランス/フランス)や三笘、好調な堂安律(フライブルク/ドイツ)や中村敬斗(スタッド・ランス/フランス)です。

 期待されている藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン/ベルギー)にしても、彼がボランチを最も得意としているのなら、競らなければいけない相手は遠藤航(リバプール/イングランド)や守田英正(スポルティング/ポルトガル)、イングランドのクリスタル・パレス移籍が決定的とされる鎌田大地や田中です。そのライバルたちを超えるパフォーマンスを見せなければなりません。

 久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)や冨安健洋(アーセナル/イングランド)がしばしば口にする「下の世代からの突き上げがない」という不満を、パリ五輪のメンバーが解消してほしいと思います。そうすることができれば、この予選はすぐに突破できるでしょうし、W杯本大会でも期待が持てます。

 その意味でも僕はパリ五輪メンバーに期待したいと思いますし、もし活躍できる選手が出てこなければ、日本サッカーは危機感を持たなければならないことになるでしょう。

(前園真聖 / Maezono Masakiyo)

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前園真聖

まえぞの・まさきよ/1973年生まれ、鹿児島県出身。92年に鹿児島実業高校からJリーグ・横浜フリューゲルスに入団。96年のアトランタ五輪では、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」などをチームのキャプテンとして演出した。その後、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)、湘南ベルマーレの国内クラブに加え、ブラジルのサントスFCとゴイアスEC、韓国の安養LGチータースと仁川ユナイテッドの海外クラブでもプレーし、2005年5月19日に現役引退を表明。セカンドキャリアでは解説者としてメディアなどで活動しながら、「ZONOサッカースクール」を主催し、普及活動を行う。09年にはラモス瑠偉監督率いるビーチサッカー日本代表に招集されて現役復帰。同年11月に開催されたUAEドバイでのワールドカップ(W杯)において、チームのベスト8に貢献した。

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