森保ジャパンへ招集したい国内組「旬なタレント」5選 大ブレイク10戦10発ストライカーら厳選【コラム】

序盤戦で活躍が目立ったタレント5人をピックアップ【写真:Getty Images & 徳原隆元】
序盤戦で活躍が目立ったタレント5人をピックアップ【写真:Getty Images & 徳原隆元】

J1リーグの序盤戦で活躍が目立ったタレント5人をピックアップ

 森保一監督率いる日本代表は、3月シリーズでワールドカップ(W杯)2次予選4連勝を飾り、2試合を残して最終予選への進出を決めた。6月に行われるアウェーのミャンマー戦(6日)と広島で実施予定のシリア戦(11日)は新戦力の招集が期待される。

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 そこで今回はJ1リーグの序盤戦で活躍が目立った選手の中から6月シリーズでの招集が期待されるタレント5人を筆者の視点で厳選した。なおカタールW杯後にA代表の招集経験がある選手、またパリ五輪の本大会を前に大岩ジャパンで招集される可能性のある2001年以降の生まれの選手も対象外とした。

■ジャーメイン良(FW/ジュビロ磐田/29歳)
J1リーグ成績:10試合10得点

 今Jリーグで最も注目を集めるストライカーだ。昇格組の磐田で川崎フロンターレ戦の4得点など、ここまで10試合で10得点。記録的なペースで二桁一番乗りとなった。PKによる得点が4つあるが、そのうち3つは自ら獲得したものであり、それだけ相手ディフェンスの脅威になっているということだ。もともと並外れた身体能力やスピードは武器だったが、元A代表コーチの横内昭展監督の熱心な指導と試合経験を重ねながら、効果的に繰り出せるようになってきた。

 アメリカ人の父と日本人の母を持つジャーメインは流通経済大時代に、2017年のユニバーシアード代表として世界大会を経験しているが、いわゆる日本代表はアンダー世代から、なかなか縁がなかった。「特別それを目指してという年齢かと言われるとまあ、どうかなと思いますけど。結果的にチームを勝たせていって、結果を出した先に、そういうものがあると思っている」と語る。最終予選を前に、ストライカーの選択肢を広げるには格好のタイミングだけに、Jトップスコアラーに注目が集まる。

■中野就斗(DF/サンフレッチェ広島/23歳)
J1リーグ成績:10試合2得点

 3-4-2-1の右ウイングバックで昨年ブレイクしたヤングタレントで、待望の大型サイドバック(SB)として筆者も近未来の代表候補の1人として取り上げたことがある。今シーズンも同ポジションでダイナミックなプレーを見せていたが、3バックの中心を担うDF荒木隼人が左足の負傷で離脱すると、ミヒャエル・スキッベ監督は中野をコンバートさせた。すると中野は持ち前のスピードと対人の強さを発揮しながら“リベロ”と呼ぶに相応しい攻撃の関わりで、チームのタスクをこなしつつ、荒木ともまた違った存在感で活力を注入している。もし代表に招集されるならSBがメインになるが、サイドハーフやウイング、3バックの採用時にはウイングバックやディフェンスラインもこなせる超ポリバレントとして台頭してもおかしくない。

■田中駿汰(MF/セレッソ大阪/26歳)
J1リーグ成績:10試合1得点

 往年のスペイン代表MFセルヒオ・ブスケッツを彷彿とさせる展開力とバランスワークで、4-3-3の中盤を仕切り、自分たちから主導権を握るスタイルに強度とクオリティーの両面をもたらしている。招集の現実味という意味では今回の5人の中で、最も可能性が高い選手だ。東京五輪の有力候補だった田中は2019年のE-1選手権に初招集され、香港戦でA代表の試合を経験している。つまり森保監督も指導したことがある選手で、当時から期待されていたからだ。北海道コンサドーレ札幌時代はチーム事情で3バックの右を担当していたが、新天地でボランチとしての才能が改めて発揮された。MF田中碧やMF守田英正とも特長が異なり、今後のアピール次第ではMF遠藤航の後継者的な存在になっていくポテンシャルもある。

横浜FMの苦労人GK、神戸で覚醒したストライカーがアピール

■ポープ・ウィリアム(GK/横浜F・マリノス/29歳)
J1リーグ成績:8試合9失点

「去年、最後はJ2のベンチだったので。そういう中でも自分を信じて……苦しい時期もありましたけど、やり続けることでどんどん道を開いていく」。29歳の守護神はそう語った。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第2戦の蔚山戦で度重なるビッグセーブやクロス対応でピンチを阻止し、枠内シュートだけで20本を超える相手の攻撃に耐え抜き、横浜FMをファイナルに導いた。プロ入りから7クラブを渡り歩いた苦労人はJ1に昇格したFC町田ゼルビアから今年1月に加入したが、驚異的な早さでチームに順応して、ハリー・キューウェル監督の信頼を勝ち取った。

 東京ヴェルディのアカデミー育ちで、リオ五輪を目指すU-21代表に招集された経験があるポープだが、所属クラブで出番に恵まれない時期やJ2を舞台としていた時期も長く、A代表には縁がなかった。身体的な能力には定評があったが、苦しい時間帯での落ち着いた振る舞いは目を見張る。最近は21歳のGK鈴木彩艶など若手の台頭も目立つポジションだが、年齢に関係なく招集するスタンスであれば、このタイミングで招集する価値はある。

■宮代大聖(FW/ヴィッセル神戸/23歳)
J1リーグ成績:10試合4得点

 タレントが豊富な2000年生まれのミレニアム世代。10代からトップランナーとして日の丸を背負ってきた川崎育ちのストライカーが、昨シーズンのJ1王者である神戸で新境地を開拓している。開幕2試合はジョーカー的な起用法だったが、第3節のFC東京戦から4-3-3のインサイドハーフでスタメンに抜擢されると、そこから5試合で4得点1アシストを叩き出すなど、前向きにボールを受けられるポジションで類まれな個人能力が覚醒した。

 ここ3試合は得点を挙げられていないが、シュートを打つシチュエーションは持続的に作れており、うまく感覚を合わせていければ得点数は伸びていくはず。もちろん本来のポジションであるFWは選択肢になるが、A代表を見据える意味でも、現在の2列目から攻撃の起点として関わり、前向きにゴールを狙っていく役割は強力なアピールになり得る。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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