名門・静学卒業→“非エリート街道”でU-23日本の主力へ 大学SB転向で一変…「いけるかも」

日本代表の関根大輝【写真:2024 Asian Football Confederation (AFC)】
日本代表の関根大輝【写真:2024 Asian Football Confederation (AFC)】

柏レイソル&U-23日本代表の右サイドバック関根大輝が刻んだキャリア

 パリ五輪出場権を懸けたU-23アジアカップに臨む若き日本代表の右サイドバック(SB)として、DF関根大輝は柏レイソルでも、U-23日本代表としても不動の存在として活躍する。187センチというサイズを誇る関根は静岡学園高校時代、ビルドアップと1対1、ラインコントロールを得意とするセンターバック(CB)としてプレーしていた。

 ところが、その後進学した拓殖大学で転機が訪れる。これだけのサイズを持ちながら足もとの技術に優れ、かつスピードもあることに着目され、右SBにコンバート。そこから一気に世代屈指のSBへと成長を遂げていった。

 この人生を変えたコンバートは突然やってきた。関東1部リーグ後期の試合で、今まで一度もやったことがなかったポジションでの起用をいきなり告げられた。

「正直、かなりびっくりしました。自分でもSBで起用されるなんて夢にも思わなかったので。でも、やってみたら意外と出来たというか、『これいけるかも』と思えたことで、コンバートに対してポジティブな気持ちでやれました」

 もともと攻撃が好きな選手で、CBでありながらチャンスと見るや前線まで駆け上がって崩しの局面にも関わる選手だった。静岡学園は攻撃面では自由を与え、選手たちのイマジネーション、アイデアを大事にするチームだったこともあり、伸び伸びとその才を磨くことができた。だからこそ、SBですぐに自分の持ち味を発揮できるポイントを見つけ出すことができた。

 さらにSBは中央でのプレーが大きく求められるようになったことも幸いし、ビルドアップの面でCBの経験が生かされたことも成長に拍車をかけ、「CBより攻撃の選択肢が多いので、ものすごく楽しい」と語る関根は、このコンバートにおける重要な意義にも気づくことができた。

「日本や世界を見ても、小柄で速いSBが多いからこそ、長身SBは希少価値が高まるし、僕なりのSB像を作れるのではないかと思っています」

 マンチェスター・シティのカイル・ウォーカーのように高さ、上手さ、強さを兼ね揃えたSBになることで、日本でも世界でも上を目指せる可能性が高まる。当然、そのためには相当な努力が必要だが、彼は決してエリート街道を歩んできたわけではない。

 静岡学園高校時代は2年時に選手権優勝を経験しているが、出場時間は大会を通してわずか1分だった。高卒プロ入りが叶わずに拓殖大へ進学。コンバートもあって急成長をしたことで、大学卒業を待たずして柏入りが決まり、冒頭で触れたとおり、開幕からスタメンフル出場を続け、U-23日本代表でも主軸としてプレーしている。

 コツコツと自分にベクトルを向け、与えられた環境で力を磨いてきたからこその今。これからも関根は謙虚な気持ちを持ちながらも、自己発見を続けて日本トップレベルのSBに成長していくだろう。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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