【天才キッズ】湘南の強化特待クラス合格 スポーツ一家の系譜…新天地移籍で人間力向上

神奈川県在住の小学3年生・加納陽向くん【写真:パウロ吉田】
神奈川県在住の小学3年生・加納陽向くん【写真:パウロ吉田】

未来のスター候補生を発掘「BLAZE A NEW PATH~天才キッズを探せ No.79」

 日本サッカー界の未来を担う将来有望な天才キッズを探す「FOOTBALL ZONE」の連載「BLAZE A NEW PATH」(新しい道を切り開く)。謎のスカウトマン・パウロ吉田が日本全国を回って未来のスター候補生を発掘するなか、今回は神奈川県在住の小学3年生・加納陽向くんに迫る。(取材・文=パウロ吉田)

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 今回紹介するのは神奈川県に住む加納陽向(ヒナタ)、小学3年生だ。ヒナタを初めて見たのは彼がまだ幼稚園の時、姉が参加していた。グローバルエリートキャンプの会場の片隅でひたすらリフティングをしている姿だった。

 小学校に上がると自身もキャンプに参加するようになり、3年生になった昨年の夏、大きな成長を見せ、見事に優秀選手に選ばれた。ヒナタがこれまでどのようにサッカーと向き合い成長してきたのかを紐解いてみたい。

 ヒナタのお父さんは、小学校1年生から中学校3年生までサッカーをやっていた経験者。足が速かったこともあり、陸上部のない中学校では陸上競技会などにも出場し、実家にはサッカーや陸上の数々のメダルがあるそうだ。ヒナタの叔父にあたるお父さんの弟は、剣道で全国大会に出場するほどの実力者。ヒナタの父方のおじいちゃんは機械体操や野球、おばあちゃんはバレーボールに興じるなど、スポーツ一家である。

 一方、お母さんはスポーツを見るのは大好きだが、1つの種目に打ち込んだことはなく、身体を動かすと言えばダンスをやっていたくらいだというが、足も速く運動は得意で体育で苦労したことはなかったという。

 日向の叔父にあたるお母さんの弟は最終的にはバドミントンを真剣にやっていたそうだが、その足の速さと運動神経の良さから陸上部にしょっちゅう借り出され、バドミントン部でありながら、高校から陸上で推薦が来るほど。母方のおじいちゃんとおばあちゃんはボディーボードに真剣に取り組んでいたそうで、非常にアクティブな印象だ。

きっかけは近所の幼児サッカークラス参加、ひたすらボールを追いかける日々

 そんなヒナタがサッカーを始めたのは2歳の頃、近所にエスタジオの幼児サッカークラスがあったため通ってみたことがきっかけだ。お姉ちゃんがいるヒナタは姉の友達と遊ぶ機会が多く、おままごとなど女の子の遊びが中心だった。髪が長く、女の子に間違われたりもしたので男の子の友達を作ってほしいという思いもあり、スクールに通うことになった。

 2歳クラスでは泣いてコートに入れない子供もいるなか、ヒナタは1度も行きたくないと言わず、ひたすらボールを追いかけていた。そこからさまざまな練習方法などをインターネットを通じて調べ、自主練の参考にしていた。

 その時に本企画、vol.1(現山梨学院高校サッカー部新キャプテン)の山田タクト選手、vol.50の山田エイト選手のお父さん(kohdy soccer academy代表)のブログに出会い、練習方法はもちろん、子供たちからも多大な影響を受けた。

 また東京のボノスのスクールに通っていた際に現在5年生の岩田ゆうせい君に出会い、サッカーの実力はもちろん、そのかっこいい存在自体に心を奪われ自分ももっとサッカーが上手くなりたい、成長したいという思いを強く持った。

 ヒナタが5歳の時だった。さらなる成長を求め、ドリブルスクールのハビスケーロにも通い高度な技術の習得に取り組んだ。筆者が初めてリフティング少年ヒナタを見たのは、ちょうどこの頃だったのだろう。

自分のプレーを分析&言語化する能力も向上、相手監督から声をかけられることも

 年長から正式にチームに加入し、外せない選手として活躍していたが、さらに足りないものを補うために、1年生の終わりに新しいチームに移籍した。

 人前で自分の意見を述べたりすることがあまり得意ではなかったヒナタに足りないと感じていたのは人間力だった。少数精鋭を掲げサッカーだけではなく、自立心などサッカー選手になるために必要なものを植え付けてくれるチームで、ヒナタはさらなる成長を遂げた。

 それはピッチ上だけではなく、自身のプレーの自己分析などをしっかりと言語化できるようになってきたり、自ら補食のおにぎりを倍にしてほしいとお願いしたり、生活面でも、人としての成長が見られる。ヒナタのプレーは見てる人をワクワクさせると言われるそうで、試合後に相手チームの監督から度々声をかけれることも。親の知らないところで、敵も味方も年齢も関係なく、多くの人に愛される存在になっている。

 ヒナタの人のつながりや成長過程を聞くと、まさに本企画「BLAZE A NEW PATH」の申し子と言える。晴れて、湘南ベルマーレの強化特待のセレクションに合格したヒナタ。人に恵まれ、ご両親の深い愛情とサポートに支えられ偉大なBLAZEの先輩たちを追い越し夢を叶えてほしい。

天才キッズ「プロフィール&1日のスケジュール」

【プロフィール】※2024年3月時点
加納陽向(HINATA KANO)

生年月日:2014年10月21日
出身地:神奈川
身長・体重:131センチ・26キロ
足のサイズ:22センチ
ニックネーム:ひーくん、ひなた
サッカー歴:5年
所属チーム:FC Testigo
スクール:湘南ベルマーレ強化特待クラス/ハビスケーロ品川/エスタジオ横浜
憧れの選手:ロナウジーニョ(元ブラジル代表)/フィル・フォーデン(マンチェスター・シティ)

【1日のスケジュール】
6:00 起床
6:15~7:15 朝練
7:20 朝食
8:00 登校
15:00 帰宅
15:30 スクール移動/捕食/宿題
17:00~19:00 スクール
19:00~20:00 移動/補食
20:00~21:30 帰宅/入浴/ストレッチ/夕食
21:30 就寝

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パウロ吉田

パウロ・ヨシダ/世界65か国以上を旅するクリエイティブアスリート。多様なスポーツに精通し、それらを実践している。日本の体育教育をカルチャーに変えるべく、さまざまな競技にさまざまな角度から刺激を与えている。好きなサッカー選手はジョージ・ウェア。

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