日本代表帰りの“最新状態”…浅野拓磨が吐露「ちょっとしんどいなって」 復調途上の確かな手応え【現地発コラム】

浅野拓磨が「ちょっとしんどいな」と吐露【写真:Getty Images】
浅野拓磨が「ちょっとしんどいな」と吐露【写真:Getty Images】

バイエルン戦で値千金のゴールも「まだ(コンディションは)戻り切っていないかな」

「前回の試合(バイエルン・ミュンヘン戦)を含めて、アジアカップから戻ってきて、まだ(コンディションは)戻り切っていないかな」

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 第23節ボルシアMG戦後、日本代表FW浅野拓磨はそう話していた。アジアカップから所属クラブのボーフムに合流して3試合目。復帰後すぐのフランクフルト戦ですぐにスタメン出場を果たし、続くバイエルン戦(3-2)では見事なゴールも決めている。ただ、トップコンディションでプレーできているわけではないという。

「今日ピッチでやってても、『ちょっとしんどいな』ってずっと感じながらやってました。試合で感じるキツさであったり、キツいって感じながらも走れるかどうかっていうのは、コンスタントに試合に出てる時と感じ方は違う。良い時の感覚にはまだ戻り切ってないかなっていうのは思います」

 先日のアジアカップで日本代表として出場。シーズン中の離脱はどの選手にとっても簡単なことではない。試合感覚や試合での起用法も、代表とクラブチームとでは違う。心身への負荷とそこからの回復プロセスもやはり違う。

 残留争い真っただ中のボーフムはピッチ上の全員が90分間ハードワークをすることが絶対条件になっている。足を止めることはできず、常に走り、戦う。そのなかで浅野には攻撃の中心として、相手にとって脅威となるプレーも期待されている。それだけにコンディションを取り戻すことは非常に重要なテーマだ。

「ここ何試合かでインテンシティーの高い試合を続けてこれているので、明らかにコンディションも上がってきてはいるかなと思う。とにかく試合で100%出せるような準備っていうのを、いつも1週間でやらないといけない。僕自身は次の試合に向けてまず試合で100%出せる準備というのをやりたい」

 そう考えると、まだ本調子ではないなかで見せたバイエルン戦のゴールは値千金以上の価値があるものと言えるかもしれない。

バイエルン戦ではマヌエル・ノイアーからゴールを奪った【写真:ロイター】
バイエルン戦ではマヌエル・ノイアーからゴールを奪った【写真:ロイター】

クラブが浅野に寄せる大きな期待「契約延長のためにすべての力を尽くすつもりだ」

 リーグは残すところあと11節。ボーフムは第23節終了時で18チーム中15位。2部3位との入れ替え戦に回る16位に位置するケルンとの勝ち点差は8。だが、これで安心と言えるほどの差でもない。ケルン、そして17位マインツ、18位ダルムシュタットも必死の戦いで食い下がってくるはずだ。

 ボーフムにしても得意のホームでしっかりと勝ち星を重ね、苦手のアウェーでも勝てないまでも引き分けに持ち込む戦いができるようにならなければ、終盤どんなドラマに巻き込まれるかも分からない。

 それだけにチームの中心としての浅野に懸かる期待は大きい。その活躍ぶりに他クラブからの興味も増えつつある。

 ボーフムのトーマス・レッチュ監督は「タクのプレースタイルとボーフムのプレースタイルは完全にマッチするものだ」とコメントし、パトリック・ファビアンSDは「自分たちの限界がどこにあるかは分かっている。だが契約延長のためにすべての力を尽くすつもりだ」と語気を強めていたことからも、浅野が高めている価値の確かさが窺える。

 クラブを勝利に導く活躍とともに、さらなる成長を期待したい。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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