日本の主力SBと「肩を並べる出来」 金田喜稔が採点…森保ジャパン16選手の評価は?

金田喜稔氏がインドネシア戦出場の16選手を評価【写真:ロイター】
金田喜稔氏がインドネシア戦出場の16選手を評価【写真:ロイター】

【専門家の目|金田喜稔】鈴木彩艶の奮闘「嬉しかった」 毎熊晟矢も「素晴らしい」

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング17位)は、1月24日にカタールで行われたアジアカップ・グループリーグ第3戦でインドネシア代表(同146位)と対戦し、3-1と勝利した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、この試合に出場した日本代表の16選手を5段階(5つ星=★★★★★が最高、1つ星=★☆☆☆☆が最低)で採点した。

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   ◇   ◇   ◇   

<GK>

■鈴木彩艶(シント=トロイデン)=★★★★☆
 クリーンシートは逃したが、それでもパフォーマンスは高評価に値する。前回も称賛したが、改めてフィードは一級品であることを証明した。誹謗中傷や差別の問題が持ち上がったなかでも自らプレーで実力を示しており、その奮闘を見て素直に嬉しかった。

<DF>

■毎熊晟矢(セレッソ大阪)=★★★★★
 菅原由勢の良い時に肩を並べる出来。ポジショニング、パスの質、サポートやオーバーラップなども含めて総合的に素晴らしいパフォーマンスだった。球際でも身体を張り、激しい局面でも引かない勇気は称賛に値。菅原とのポジション争いは熾烈で、次戦はどちらか先発しても全く不思議ではない。今後もハイレベルな競争が予想される。

■冨安健洋(アーセナル)=★★★★★
(→後半37分OUT)
 やはりいるだけで安心感が違う。試合を重ねるごとに調子を取り戻しているし、この日も局面で質の高いプレーを披露。得点の起点となる素晴らしいパスも通しており、ラインコントロールも含めて、攻守において不可欠な存在であることを強く印象づけた。

■渡辺 剛(ヘント)=※時間短く採点なし
(←後半37分IN)
 正確かつスピードあるパスで相手を翻弄。カバーリングの際もいち早く危機察知能力を発揮し、素早く相手に寄せていた。

■町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)=★★★★☆
 ビルドアップ時にレフティーの良さをもっと発揮してほしいという部分があったが、それでも守備では一定の強度を保ち、対人プレーでも強さを披露。冨安とも連動しながらコンパクトな陣形を常に意識していた。

■中山雄太(ハダースフィールド・タウン)=★★★☆☆
 安易なミスが見られ、やや不安定な印象は拭えなかった。本来キック自体はいいものを持っているが、なかなか代表戦では発揮できないケースが多い。伊藤洋輝も控えているだけに、もうワンランク上のプレーを期待したい。

久保建英は「物足りない。それでも高く評価したい」 堂安律が見せた「強い思い」

<MF/FW>

■遠藤 航(リバプール)=★★★★☆
 中盤のダイナモとして奮闘し、ボールを回収する力を見せつけた。最終ラインからボールを引き出し、巧みなターンも駆使しながらボールを散らしてリズムも作った。イエローカードは正直不可解な判定で累積警告は今後の懸念だが、遠藤自体のプレーは素晴らしかった。

■旗手怜央(セルティック)=★★★☆☆
(→後半24分OUT)
 遠藤のポジショニングも見極めながらバランスを取り、攻撃によく顔を出していた。やや安易なパスミスやコントロールミスが目に付いた。そこの質が上がってくると、もうワンランク上に化けるか。

■南野拓実(ASモナコ)=★★★☆☆
(←後半24分IN)
 出場してすぐにファウルもしていたが、それだけ気持ちが入っていたという証拠。球際でガツガツいっていたのはポジティブに捉えたい。失点場面では十分にクリアし切れなかった。ビッグチャンスに絡めずに終わったが、中央寄りでプレーすれば再びゴールも生まれるだろう。

■久保建英(レアル・ソシエダ)=★★★★☆
(→後半37分OUT)
 思うようにボールをキープできない場面や抜けない場面もあり、本来の能力からすれば明らかに物足りない。それでも久保が積極的にチャレンジし、強引に相手を剥がそうとするプレーで相手を引き付けていたし、結果的に相手の守備に綻びが生まれた。少々のミスには目をつぶり、その積極性を高く評価したい。

■佐野海舟(鹿島アントラーズ)=※時間短く採点なし
(←後半37分IN)
 大きな見せ場はなかったが、狭い局面でもボールを受けるなどリズムを創出。難しい局面のなかでそつなくプレーしていた。

■堂安 律(フライブルク)=★★★★☆
(→後半41分OUT)
 ゴールを決めてほしいという部分はあったが、チームを引っ張ろうという強い思いがプレーに出ていた。1点目につながった上田へのパスも秀逸で、あそこに通せるのは堂安の魅力だ。中に切れ込んだ時の左足は期待を抱かせるし、状態も上向いている。2点目のアシストも視野の広さが際立った。

■伊東純也(スタッド・ランス)=※時間短く採点なし
(←後半41分IN)
 短い時間だったが、スピードを生かした突破の凄さは言わずもがな。サイドを駆け上がりゴールをお膳立てしたのは圧巻だった。抜け出すタイミングも秀逸だった。

中村敬斗の能力「周りの選手は非常にやりやすい」 上田綺世には「文句なし」

<MF/FW>

■中村敬斗(スタッド・ランス)=★★★★☆
(→後半24分OUT)
 サイドでボールを持った時に上がってきた選手を使う判断とタイミングが絶妙。周りの選手を生かすパスのスピード、タイミング、質、どれを取っても素晴らしい。周囲を生かす能力は極めて高い。そのうえ中に切れ込めばシュート精度も高い。この日ゴールは生まれなかったが、周りの選手は非常にやりやすいのだろうなと感じた。

■前田大然(セルティック)=★★★☆☆
(←後半24分IN)
 プレッシングではらしさを発揮。スピードを生かすスペースはある程度あり、クロスも供給していたが、自分の持ち味を十分に出し切るまでには至らなかった。

■上田綺世(フェイエノールト)=★★★★★
 記録上は2ゴールだが、ほぼハットトリックと言ってもいい。PKを奪取したシーンをはじめ、身体の強さは驚異的で、シュートのパワーとスピードは歴代でも指折り。枠に飛べば入ると思わせるような迫力もあるのだから、正直もっとシュートを打ってほしいというのは個人的な強い願いだ。高い期待に応えた文句なしの出来。採点も文句なしの最高点。

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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