日本代表16選手…「感心した」「中途半端」なのは? 金田喜稔がアジア杯ベトナム戦採点

日本はベトナムと対戦【写真:ロイター】
日本はベトナムと対戦【写真:ロイター】

【専門家の目|金田喜稔】鈴木彩艶は「対応が不安定」 菅原由勢は「やや低調」

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング17位)は、1月14日にカタールで開催中のアジアカップ・グループリーグ初戦でベトナム代表(同94位)と対戦し、一時1-2とリードされたものの、最終的に4-2と勝利を収めた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、この試合に出場した日本代表の16選手を5段階(5つ星=★★★★★が最高、1つ星=★☆☆☆☆が最低)で採点した。

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   ◇   ◇   ◇

<GK>

■鈴木彩艶(シント=トロイデン)=★★★☆☆
 この日はプレーに落ち着きがなく、バックパスの対応もやや不安定で安易なキックも見られた。1失点目は相手のスーパーシュートで防ぐのは難しかった。しかし2失点目は防げたミス。迷いがあったのか対応が中途半端になり、結果的に弾き切れなかった。

<DF>

■菅原由勢(AZアルクマール)=★★★☆☆(→後半32分OUT)
 パフォーマンスはやや低調。中途半端な攻撃参加となり、相手に上手くサイドを使われていた。伊東純也との連係も今ひとつで、狙われていた感もある。守備でも後手を踏んで、あわや退場のファウルもあった。

■谷口彰悟(アル・ラーヤン)=★★★★☆
 2失点はいずれもセットプレーからで致し方ない面もあった。流れの中から崩されてはおらず、最終ラインの統率は1試合を通じてコントロール出来ていた。

■板倉 滉(ボルシアMG)=★★★★☆
 守備の対応自体は力強く、安定していた。まだコンディションは完全ではないような印象も受けたが、それでもカバーリングなどは的確だった。

■伊藤洋輝(シュツットガルト)=★★★★☆
 守備は安定し、中村敬斗とのコンビネーションも上々。ボールを受ける場所も工夫し、左サイドにも中央にもパスを出せるような位置取りと身体の向きを常に意識していた。

■毎熊晟矢(セレッソ大阪)=★★★☆☆(←後半32分IN)
 攻守のバランスを取りながらソツのないパフォーマンス。相手に隙を見せず、攻撃面でも厚みを加えた。菅原がやや低調だっただけに、第2戦のイラク代表戦でスタメンの可能性もあるか。

南野拓実は「文句なしの最高点」 久しぶりに「今ひとつ」の伊東純也

<MF/FW>

■守田英正(スポルティング)=★★★★☆(→後半32分OUT)
 遠藤とバランスを取りながら中盤の安定化に貢献。前から積極的な守備に加え、攻撃面でも高い位置でギャップに顔を出し、チャンスに絡んでいた。

■遠藤 航(リバプール)=★★★★☆
 1失点目の場面では結果的に前で合わされたが、背後から入り込まれたため対応は難しかったか。南野への股抜きパスは圧巻。その後も中盤でバランスを取り続け、守田や南野をサポートし続けた。

■南野拓実(ASモナコ)=★★★★★(→後半39分OUT)
 絶妙なファーストタッチ、そして相手の股下を通したシュート。いずれも一級品のスキルだった。ゴール前の局面で、よくあんな落ち着いて決められるなと感心したほど素晴らしい出来。先制点と同点弾、文句なしの最高点だ。

■中村敬斗(スタッド・ランス)=★★★★☆(→後半18分OUT)
 誰が見ても分かるようなスーパーシュート。伊藤洋輝が上がった時にタイミング良く使うし、周りも生かせる。そのうえでカットインから、あんなスーパーシュートを打てるのは素晴らしい。三笘薫が完全復活した時のポジション争いが楽しみだ。

■伊東純也(スタッド・ランス)=★★★☆☆
 この試合ではちょっとミスが目立った。ボールが足に付いていないような印象。これまで見せていた「らしさ」もなく、久しぶりに今ひとつのパフォーマンス。それでも90分間起用されたのは信頼の証。次戦に期待したい。

■堂安 律(フライブルク)=★★★☆☆(←後半18分IN)
 上田のゴールシーンでは、上手く中に入り込んで起点となった。積極的な仕掛けの姿勢も見せており、気迫がプレーにみなぎっていた。

■佐野海舟(鹿島アントラーズ)=★★★☆☆(←後半32分IN)
 上田のゴールは、佐野が見せた縦への推進力と打開から生まれた。中央を突破した流れからゴールが生まれており、ゴールへ向かう積極性が結果に結び付いた。

久保は「存在感抜群」 上田の1ゴール「チームにもたらした安堵感」

<MF/FW>

■久保建英(レアル・ソシエダ)=※出場時間短く採点なし(後半39分IN)
 短いプレー時間で採点自体はなしとしたが、存在感は抜群。久保が入った直後にすぐさま空気が変わった。あんなに短い時間でも堂安、上田と絡んで、上田のゴールをアシストする活躍を見せた。

■細谷真大(柏レイソル)=★★★☆☆(→ハーフタイムOUT)
 ボールが収まらず、攻撃に絡む回数も少なかった。守備に奔走したものの、攻撃面で存在感を発揮し切れなかった。ストライカーとしての怖さがほしい。

■上田綺世(フェイエノールト)=★★★★☆(←ハーフタイムIN)
 チャンスの数は決して多くなかったが、苦しい時間帯の1ゴールでチームを助けた。あの1点がチームにもたらした安堵感は大きく、結果を残せたのも素晴らしい。

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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