日本代表17選手の“元日”明暗「格の違い」「アピールできず」 金田喜稔がタイ戦採点
【専門家の目|金田喜稔】鈴木彩艶に「凄いの一言」 右SBは熾烈なサバイバル
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング17位)は、1月1日に国立競技場で史上初の元日開催となる国際親善試合でタイ代表(同113位)と対戦し、5-0で勝利。国際Aマッチ歴代最長となる9連勝を記録した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、この試合に出場した17選手を5段階(5つ星=★★★★★が最高、1つ星=★☆☆☆☆が最低)で採点した。
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◇ ◇ ◇
<GK>
■鈴木彩艶(シント=トロイデン)=★★★★☆
ピンチは少なく、枠内シュートも落ち着いてセーブ。190センチのサイズがあり、足もとも自信を持って捌けるのは心強い限り。カウンターを発動できそうなスローイングも素晴らしい。「凄い」の一言。
<DF>
■森下龍矢(名古屋グランパス)=★★★★☆(→後半23分OUT)
あの運動量はセールスポイント。激しく寄せるところは寄せて、攻撃時には果敢な上がりを見せた。守備に軸足を置きながら、機を見た攻撃参加で厚みを加えていた。上々のアピールだったが、中山雄太や伊藤洋輝らもいるため層は厚い。
■三浦颯太(ヴァンフォーレ甲府→川崎フロンターレ)=★★★★☆(←後半23分IN)
限られた時間だったが、ゴールの起点となるパスを通した。J2甲府からの選出で注目を浴びたなかで上々の存在感を示し、今後への期待が膨らんだ。
■町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)=★★★★☆
日本代表メンバーとして、徐々に貫禄が出てきた。A代表初出場の藤井陽也をカバーしながら、ソツのないパス出しで後方からチームを支えた。
■毎熊晟矢(セレッソ大阪)=★★★★☆(→後半33分OUT)
あの上下動は魅力だし、伊東純也とのコンビネーションも着実に向上している。攻守ともに安定していた。菅原由勢とはまた違ったタイプで、右サイドバックの競争はしばらくこの2人が繰り広げていくのだろう。
■菅原由勢(AZアルクマール)=※出場時間短く採点なし(←後半33分IN)
4点目の場面で見せた絶妙な抜け出しとクロスは見事。堂安律らとも息の合ったプレーを披露し、レギュラー格の風格を示した。
■藤井陽也(名古屋グランパス)=★★★★☆
A代表初出場のなか、最終的に無失点で抑えたのは評価したいポイント。23歳で伸びしろもあり、187センチのサイズも魅力。さらなる成長に期待したい。
流れを変えた堂安は「どれも一級品」 佐野海舟の際立った「球際の強さ」
<MF/FW>
■田中 碧(デュッセルドルフ)=★★★★☆(→後半33分OUT)
先制点の場面では良さが光った。やはり前線に顔を出してこそ真価が発揮されるタイプ。プレースタイルを熟知する堂安律が入った影響も大きく、上手く連動しながら結果を残した。
■川村拓夢(サンフレッチェ広島)=★★★★☆(←後半33分IN)
デビュー戦でゴールは見事。あのエリアを狙っていたからこそ生まれた。投入された時点で試合の大勢はすでに決していたが結果を残し、代表で第一歩を刻んだ。
■佐野海舟(鹿島アントラーズ)=★★★★☆
やはり球際の強さは際立った。狙いを絞ってボール奪取する力は森保ジャパンに求められる能力。まだ23歳で、ここからさらに成長も期待できる。ボール奪取後の判断力は課題だが、このままガツガツいくスタイルには磨きをかけてほしい。
■伊東純也(スタッド・ランス)=★★★★★(→後半23分OUT)
キャプテンとして先発し、多くのチャンスに絡んだ。スピードを駆使した仕掛けだけでなく、賢いポジション取りで脅威を与えた。後半、堂安律らが出場すると、さらに攻撃のテンポが上がった。
■南野拓実(ASモナコ)=★★★★☆(←後半23分IN)
シュートに持っていくターンの上手さは圧巻。ここぞという場面でも余裕がある。投入された直後にゴールを決め、改めて存在感を示した。
■伊藤涼太郎(シント=トロイデン)=★★★★☆(→ハーフタイムOUT)
個人技でドリブル突破し、シュートを放った場面は持ち味が出ていた。ボールを持った時に安定感がある一方、初めて組む選手もいてコンビネーション面で難しさも感じられた。能力的にはもっとできる選手だし、もっと見ていたかった。
■堂安 律(フライブルク)=★★★★★(←ハーフタイムIN)
ゲームの流れを完全に変えた。左足の精度、視野の広さ、身体の強さ、キープ力……どれも一級品だった。プレーで格の違いを見せつけた。
奥抜侃志は「プレーに迷いがあったのか…」 中村敬斗のゴールは「偶然ではない」
<MF/FW>
■奥抜侃志(ニュルンベルク)=★★★☆☆(→ハーフタイムOUT)
プレーに迷いがあったのか、自分の持ち味を発揮し切れないまま前半45分が終わった。左サイドでコンビを組んだ森下龍矢、攻撃陣とのコンビネーションも今ひとつで、アピールできず。
■中村敬斗(スタッド・ランス)=★★★★☆(←ハーフタイムIN)
終盤、ややプレー判断が遅れた場面は改善点だが、今回も1ゴール。国際Aマッチ出場5戦5発は偶然ではない。まずシュートが上手いし、ゴールへの嗅覚も優れている。堂安とともにゲームの流れを変えた。攻撃性能が全般的に高い。
■細谷真大(柏レイソル)=★★★☆☆
動き出しは速いがゴールの匂いがあまりせず、インパクトも残せなかった。オウンゴールを誘発したシュートはあったが、それ以外の場面では脅威になり切れなかった。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。