日曜朝の大学に大勢の小学生 東大サッカー部が運営するサッカースクール…大人気の秘密とは?【インタビュー】

東大サッカー部が運営するサッカースクールの様子【写真:東京大学運動会ア式蹴球部】
東大サッカー部が運営するサッカースクールの様子【写真:東京大学運動会ア式蹴球部】

東大サッカー部運営のサッカースクールが人気の理由「運動機会の確保&競技の入り口に」 

 ベルギー1部シント=トロイデンVVとの提携など、近年先進的な活動を見せる東京大学運動会ア式蹴球部(体育会サッカー部。以下、ア式蹴球部)。そんな彼らが活動する東京大学本郷キャンパス内の御殿下グラウンドには、毎週日曜日の朝になると子供たちの楽しそうな声が響き渡る。

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 ア式蹴球部では、大学が位置する文京区の子供たちを対象としたサッカースクールを運営し、現役のア式蹴球部員も学生コーチとして活動に携わっている。「御殿下サッカースクール(以下GSS)」として親しまれるこのスクールは創設50年以上を数え、文京区に賑わいをもたらしてきた。今回は、そんなGSSで現在責任者を務める岡野陸さん(3年)にインタビューを行い、GSSに込める想いを伺った。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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「毎週日曜日の午前8時40分から10時まで、サッカースクールを開講しています。近年はコロナの影響で大学内での開講ができず、文京区内の公園などで細々と活動を続けていましたが、去年から大学内で開催できるようになり、今では毎週大賑わいです。現在は130名以上の方々に入会いただいております」

 大学1年生の時からGSSの運営に関わっているという岡野さん。運営に関わることになったきっかけは、自分自身が感じていた課題とGSSがマッチしたからだという。

「自分自身も文京区で生まれ育って、ずっと感じていたことなのですが、文京区、というよりも都内共通かもしれませんが、やっぱり大きな公園が少ないなと感じています。大きくて、しかも芝生の公園となると本当に少ないと思います。コロナ禍で大学を使用できず近くの公園でGSSを開催していた時も、子供たちは思いっきり走り回ることができず、親御さんたちもどこか不安そうな表情をしていらっしゃるなというのは課題として感じていました」

 さらに、教育という観点でも問題を感じていたという。

「教育熱心なご家庭も多いので、なかなかスポーツ団体に入る余裕がない子供たちも多いです。実際にGSSに来る子供たちに聞いてみても、小学校3、4年生から塾に通って、それこそGSSのあとにすぐ塾に直行する子もいるくらいです。

 そういった子供たちが、大学の人工芝の大きなグラウンドで、思いっきり走り回って、週1回のこの時間だけは全力でサッカーを楽しめるような機会を作るこの活動に魅力を感じて、僕も運営に関わることにしました。やってみると本当に楽しくて、子供たちの笑顔を見るたびにやっていて良かったなと思えるし、中にはGSSでサッカーの楽しさを知って地域のサッカークラブに入団される方もいらして、競技の入り口としての役割を実感しています」

御殿下サッカースクールの責任者を務める東大サッカー部3年の岡野陸さん【写真:東京大学運動会ア式蹴球部】
御殿下サッカースクールの責任者を務める東大サッカー部3年の岡野陸さん【写真:東京大学運動会ア式蹴球部】

理想のGSS像とは? 「純粋にサッカーを楽しいと思ってもらえる場所に」

 岡野さんは、GSSが持つ大きな特徴として「大人も楽しめるところ」が挙げられるという。

「GSSでは年代ごとに小学生低学年クラス、高学年クラスなどクラスを分けているのですが、その中には大人クラスというものがあります。これは文字通り大人の方がサッカーをするクラスです。例えばお子さんは低学年クラスに預けて、親御さん自身は大人クラスで楽しむ、というような方も多いです。そしてスクールが終わると親子仲良く自転車で帰っていく。そんな誰でも気軽に体を動かせるのが魅力かなと思います」

 GSSは「スクール」を名乗ってはいるが、サッカーの技術を教えるだけの場所ではない。大人も子供も一緒になり、参加する人全員がサッカーの楽しさを感じられる場所というのが、GSSが描く理想の姿なのだという。

「サッカースクールというとサッカーを教えるというイメージがあるかもしれませんが、GSSではサッカーを教えるというよりもサッカーの楽しさを知ってもらう、という色が強いです。経験者も未経験者も、何歳であっても純粋にサッカーを楽しいと思ってもらえるような場所として、GSSを今後も運営していきたいなと思っています」

 ピッチ内外で大きな進化を続ける東京大学ア式蹴球部はこうした地域とつながる活動も積極的に行っている。今後のさらなる発展に注目だ。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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