「生ぬるい」と叱責された磐田内定の東福岡エース イニエスタを見据える10番藤川が抱く葛藤とは

東福岡が鹿児島城西を3-0で撃破し8強進出 藤川も2得点に絡む

 東福岡(福岡)は3日、第95回高校サッカー選手権の3回戦で鹿児島城西(鹿児島)と対戦し、3-0で快勝した。しかし、東福岡のエースMF藤川虎太朗は、どこか神妙な面持ちで試合後の取材に応じた。

「ハーフタイムに、総監督の方から生ぬるい前半だったと。恥じないプレーをしろ、と言われて、悔しい気持ちが込み上げてきた」

 前半2分に幸先良く先制。東福岡はリードを保って前半を折り返したが、ロッカールームに和やかな雰囲気は存在せず、ジュビロ磐田への加入が内定している藤川は名指しで辛辣な言葉を浴びた。プレー自体は決して悪くはない。しかし、背番号「10」に要求されるレベルは常に高い次元にある。常勝軍団の昨季王者であれば、なおさらだ。

 「悔しさを後半にぶつける」と意気込んで迎えた後半には、その才能を見せつける。多くのチャンスを演出してきたなかで迎えた後半36分、中央でボールを受けた藤川は相手DF陣を引きつけ、前線の空いたスペースにスルーパス。そこに走り込んできたMF濵田照平が落ち着いて右足を振り抜きゴールに突き刺した。藤川の類稀なセンスが光るゴールシーンとなったが、森重潤也監督は試合後にあえて厳しい言葉を投げかけた。

「パスだけじゃダメ。彼は2年生時のインターハイの得点王でもあるし、去年は3年生に中村健人という中盤の選手がいて、そこから質の高いパスがあったけれども、藤川はその仕事をしながらでも強引にでもゴール前に顔を出すことを、彼自身がやらないといけない」

 監督がエースに注文したのは、あくまで“得点力”。藤川は「シャドーの選手なのに、裏に抜けないというところを指摘されて、中盤で回すだけの選手は怖くない、と言われた」と明かし、「自分の考えもあるが、そういうのも一理あると思うので、受け止めて自分のプラスにしたい」と語った。

 

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